すべてマンガに描いてある(3)…心に効くのは料理マンガより「献立マンガ」!
『きのう何食べた?』よしながふみ著 講談社

(c)よしながふみ/講談社

日々感じる喜びも悲しみも、すべてはマンガに描いてある…! マンガライターの門倉紫麻と申します。大人の女性のお悩み解決のヒントや知っておきたい今どき事情を、マンガを通して考察する連載3回目。今回のテーマは「料理とマンガ」。

料理がうまい人ってどんな人だと思いますか? どうも適切なことばでいい表わせないなと思っていたら…、それは『きのう何食べた?』に描いてあった!

美容師と同棲中の敏腕弁護士(男同士のカップルです)が、毎日の夕食を考えて買い物して料理する、という料理マンガ、いや、献立マンガと呼びましょう。料理がうまい、は献立がうまいだと教えてくれたマンガなんです!

「ちっ…こいつ味オンチじゃないんだけどきんぴらと肉じゃがといんげんのごまあえという全て砂糖じょうゆ味のおかずを一遍に作っちゃうよーな奴だからな…」「ナスとトマトの煮込みが汁っぽいから今日はこれで汁物はナシ」…いかがでしょうか(興奮)! 『レタスクラブ』の読者の皆様ならぐっときていただけるのではないかと思い、長々と引用してしまいましたが、こんな献立名言が続出するのです。さらに、「で、この間ににニラ1束をさっと茹でて…」と心の中で手順を逐一つぶやくのもおもしろい(かつ役立つ)! フィニッシュまでの工程にむだなし! 主人公も毎回「充実感」を味わってますが、読んでいるこちらもスカッとします。

献立→フィニッシュが鮮やかな作品をもう1つ。短編集『茄子』には、映画の撮影隊の夕食にカレーを出したあと、夜中に急きょ33人分の夜食も託された女子高生が登場。食材を買い足せない中で、カレーを食べた人は「少しでもよくて」、空腹の人は「食べた気になる」献立として彼女が選んだのは…水ギョーザ! ストックの乾物を具にして、大鍋に熱々の水ギョーザが完成。んーお見事!

毎日料理を作る人には、「よくぞそこを描いてくれた」(材料使い切りも登場)と細部まで楽しめる献立マンガ、おすすめです!

【文中に登場する作品】

●『きのう何食べた?』よしながふみ著 講談社:水炊きにレンコンのキンピラなど、今晩それにしよう!的な「献立」がずらり。レシピマンガとしても最強です。市販の麺つゆを使ったり、年越しにインスタントのみそラーメンを食べたりするのもいい!

●『新装版 茄子』黒田硫黄著 講談社:ナスがテーマの短編集。女の子が早朝お弁当を作る話で、ごはんを「冷ますあいだに服考えるか」という手順が混じったりするのがなんともリアル! 収録作『アンダルシアの夏』は2003年にアニメ映画化も。

※このコラムは『レタスクラブ』2011.1.10売り号掲載に掲載されたものです。月1回、漫画コラムを掲載していきます。