世界一コーヒーを飲む国・フィンランドのコーヒー事情とは その2
ヘルシンキの秋 (C)Luckshare Trade, All rights Reserved

その1の続きです

-フィンランドと日本の各国でコーヒーの売れ行きに季節変動はありますか?-

日本ではやはり寒い時期(秋から冬)の販売量が増えます。日本の夏はアイスコーヒーがメインですが、フィンランドには日本式のアイスコーヒーはありません。アイスコーヒーといえばエスプレッソベースの冷たいアレンジドリンクです。そして夏にもふつうのコーヒーが変わらずよく売れています。

-フィンランドは北欧食器でも有名ですが、人々のコーヒー周りの食器に対するこだわりは感じられますか?-

当たり前にイッタラのカップにコーヒーが注がれたりしますので、こだわりというより、とても自然に生活に溶け込んでいると思います。カップ専用のソーサではなく、ちょっと大き目のソーサを使い、そこに紙ナプキンを敷いて、お菓子をいくつかのせてコーヒーと一緒にだすこともあります。

-熊谷さんが、ロバーツコーヒーを輸入するようになったのは、お土産でもらって、そのおいしさに衝撃を受けたのがきっかけと伺いましたが、このときの「衝撃」を振り返っていただけますか?-

ロバーツコーヒーは今までに飲んだことのないようなコーヒーでした。味の立体感というか広がる味の奥行きというか、フルーティで品のいい明るい酸味から続く、1本芯の通った力強さ、さらにコーヒーの豆の持つ甘みが口の中に広がるようなアフターテイスト。とても感動した記憶があります。そのとき日本でそのコーヒーを常時販売しているところはなく、自分で勝手に使命を感じてロバーツコーヒー社にメールをだしました。そしていろいろな方の協力をいただき、異業種だったコーヒーの輸入元という仕事に飛び込みました。

-実際にフィンランドの空の下で味わわれたコーヒーの味はいかがでしたか?-

ヘルシンキの空港からバスに乗り、中央駅に降り立って、そこにあるロバーツコーヒーのカフェに入りました。寒い時期だったからかもしれませんが、冷たく澄んだ空気のなかでのむコーヒーは、日本で飲むものとはまた違った美味しさを感じました。でもやはりすごく美味しい。あらためて、日本でもっと知ってもらいたいコーヒーだとぐっと力が入りました。

-熊谷さんが感じられたフィンランドのコーヒー会社のこだわりを教えてください-

「出来る限り品質の良いコーヒーであるべきだ」というロバート会長の言葉に凝縮されます。世界中の産地から厳選し、自分の農園や契約農園で栽培した納得のいくコーヒー豆をを使っています。会長自身がロースターでありブレンダーでもあるため、品質へのこだわりはとても強く、現在でもよく工場に顔を出して出来上がりのチェックを行っています。

また「農産物であるコーヒー豆はワインと同じようにその年ごとにできが異なるものなので、それによって製造工程も変わる、とても繊細なもの」という会長の言葉にもとても納得しました。さらに環境に対する意識も強く、コーヒー豆精製の段階で出る廃棄物が原産国に悪影響を与えないような取り組みも行っています。日本でのカフェ事業にあたっても、できるだけコーヒーの廃棄物をださない取り組みを考えるようにいわれています。

-記者(編集部T)は百貨店の催事でロバーツコーヒーを知りました。ふだん自分が飲んでいるものよりも、しっかりしていて、ただ濃いというのとは違うコクや深みが感じられました。これはどこから来るものでしょうか?-

一言でいうと豆の品質になりますが、別の観点から回答します。通常は産地に応じて「~ブレンド」といったコーヒーがよく見受けられますが、ロバーツコーヒーはテーマやストーリーから商品作りに入ります。例えば「ウィープリンコーヒー」です。これは現在はロシア領なのですが、戦前は多国籍な人々が住む街でした。ここではいろんな民族が生活していながら、誰もが美味しいと感じるコーヒーが飲まれていたそうです。しかしそのレシピは第二次大戦で消失し、幻のレシピとも言われていました。ロバーツコーヒーが創業した頃、第1号店にある老人が現れ、「自分は当時のレシピを知っている」と即興のブレンド作業が始まりました。これが大変できの良いコーヒーで「ウィープリンコーヒー」という定番商品になりました。また「メイヤーズブレンド」という商品はロバート会長から7代さかのぼる18世紀にヘルシンキ市長でフィンランドに初めてコーヒーを持ち込んだ人物をテーマに作られており、当時のレシピを一部いまだに使用しているクラシックなコーヒーです。このようにひとつひとつの商品にはストーリーやテーマがあり、それを表現するには、その原材料となる豆がとても重要になるのです。

-ありがとうございました。ラクシアトレードの熊谷代表にお話を伺いました- 

温かいコーヒーが特に美味しい季節です。フィンランドのコーヒーを、そのストーリーとともに味わってみませんか。【レタスクラブ編集部】写真/(C)Luckshare Trade, All rights Reserved