乾物四天王のひとつ 「麩(ふ)」をもっと使いたい!
えびと麩の卵どんぶり

調理:藤井恵 撮影:福岡拓

「麩」は、湯葉、高野豆腐、干ししいたけと並んで、乾物四天王と呼ばれています。

ハンバーグの具として肉に混ぜたり、すき焼きや麺類に入れるとボリュームアップするほか、植物性のたんぱく質が豊富で低カロリーのため、ダイエットの強い味方でもあります!今日は「麩」についてご紹介します。

●いろいろな形やご当地の麩がたくさんあります

「麩」といえば、一般的に「焼き麩」を指します。年輪のように層になった「車麩」、板状の「板麩」、色づけした小さくかわいい「花麩」や「てまり麩」など、形も大きさもさまざまです。

また、地方独自のものもあります。山形・庄内地方の板状の「庄内麩」、石川の「加賀麩」、岩手県や宮城県の旧仙台藩の地域で食べられている「油麩(仙台麩)」、沖縄の「車麩」、京都の「丁字麩」などが有名です。

また、京都でおなじみの「生麩」は寺院とともに発展しました。粟(あわ)や、よもぎ、ごまを練り込んだものや、色づけして紅葉や花をかたどったものなどもあります。また、関東の「ちくわ麩」は、おでんの具として、よく食べられています。

●一般的に食べられるようになったのは、明治に入ってから

麸が日本に伝わったのは、室町時代の初期。中国へ修行に渡った僧が持ち帰ったのが始まりと考えらています。

当時、禅僧たちは殺生禁断で、肉食を断っていました。そこで肉に代わる栄養たんぱく源を大豆や小麦に求め、大豆は「豆腐」や「湯葉」として、小麦は「麸」として珍重されました。当時の日本は小麦の作付けがとても少なく、そのため麩も大変高価で、宮中や僧堂で特別な時にのみ食べられていたようです。

桃山時代には、千利休が茶会のお菓子として、麩を焼いた「ふのやき」というものを供したという記録があります。これは、水車や石臼で麦を挽いた、粒子の粗い小麦粉を水で練り、こねてから、うすくのばして焼いたものといわれています。

江戸時代に入り、1800年に徳川幕府は西洋小麦の生産方法を導入し、日本での小麦の生産が本格化しました。さらに1859年には、機械で挽かれた「精白小麦粉」の輸入も始まりました。この精白小麦粉によって、麩の生地がなめらかになり、現在の「焼き麩」が生まれ、明治時代に入って一般的に食べられるようになりました。

●栄養は?

麩は、植物性たんぱく質のかたまりで、たんぱく質である小麦粉のグルテンが分解してできる成分、グルテンペプチドが豊富です。

グルテンペプチドには、鎮痛、血圧低下、胃液の分泌抑制などの作用があるとされるので、血圧の高い人や、胃・十二指腸に潰瘍(かいよう)性の症状がある人におすすめです。

●おいしい食べ方

種類によって、形状や味わいが異なるので、料理に応じて使い分けるようにしましょう。

まずは水につけて、しっかり戻すことが大切です。大型のものは、煮もの、鍋もの、すき焼きに入れたり、刻んでからお吸いものやみそ汁の具に。小型のものは、そのままお吸いものやみそ汁に入れてください。

●生麩を使ってみませんか?

高級スーパーの豆腐コーナーや、京都や金沢の物産展でよく売られている「生麩」。一度食べるとその食感からやみつきになる人も多い食材です。

簡単な食べ方は、食べやすい大きさに切って焼くだけ。切るときは、包丁の刃と麩を押さえる手をかるく水でぬらしておくと、麩がくっつきません。

フライパンにうすく油をしき、麩を焼きます。きんつばのように、全面に焼き色をつけましょう。このときも麩がくっつくのを防ぐため、菜箸は水でかるくぬらして使ってください。全面に焼き色がついたら、辛しじょうゆで食べたり、照り焼きのたれをからめたり、甘いのが好きな人は砂糖じょうゆもおすすめです。

また、生麩は煮ものに入れると「おもてなし煮もの」になりますよ!切って、ほかの具が煮える少し前に加えて、しばらく一緒に煮てください。もちろん、そのまま入れてもOKですが、上記の要領で、全面に焼き色をつけてから入れると、さらによそ行き度がアップします!

また、天ぷらにしても、とてもおいしいです。

生麩は生鮮食品で賞味期限は短いのですが、冷凍できます。買ってもすぐに使わない場合はパッケージのまま冷凍してOK。残ってしまったときはラップに包んで、保存袋などに入れて冷凍してください。使うときは冷蔵庫で自然解凍しましょう。

日本の伝統食になった「麩」。ぜひ毎日のごはん作りに役立ててくださいね。【レタスクラブ】

取材協力:協同組合 全国製麩工業会