ゲップやおならがたくさん出る。「呑気症」のせい?
おなかが張って、ゲップやおならがたくさん出るのは、もしかして「呑気症」かも?

イラスト=林 ユミ

おなかが苦しく、ゲップやおならがたくさん出て恥ずかしい…。食べ過ぎ?それとも胃腸の病気?と思いがちだが、実はその原因は意外なところにあるかもしれない。

「そのような症状は呑気(どんき)症によるものかもしれません」と、ベイサイドさちクリニック院長で、歯科医の顔も持つ小野繁先生。「呑気症は、唾液を飲み込むときに、空気を一緒に飲んでしまう『空気嚥下(えんげ)』により起こる症状をいいます。口をあけたときに見える、のどの奥のスペースである中咽頭には、常に空気がたまっており、食べ物や唾液と一緒にこの空気も自然に飲み込んでいます。これが胃、大腸へと移動し、胃からはゲップとして、最終的にはおならとして排出されます。空気嚥下は誰もが行なっていますが、鼻から息を出さないで早食いをしたり、炭酸飲料を飲み過ぎたりすると、空気を飲み込む量が多くなり、ガスが大腸にたまりやすくなるため、不快な症状を引き起こしてしまいます」

また、意外な原因から呑気症が起こることもある。

「歯をかみしめることが原因で起こる、『噛(か)みしめ呑気症』に悩んでいる人も少なくありません。これは、ストレスと大きな関係があります。緊張したり、集中しているときに、無意識に歯をかみしめていた経験はありませんか? 歯をかみ合わせていると、舌が上あごについて口腔(こうくう)内の容積が狭くなり、唾液を飲みやすくなるのです。咬筋(こうきん)や側頭筋が盛り上がるほどグッと強く歯をかみ合わせたときはもちろん、上と下の歯が軽く接触しているだけでもこの状態は起こります。これが習慣化すると、咬筋や側頭筋が常に緊張状態に置かれ、頭痛やあご、目の奥などに痛みが起こることもあります。この症状は顎関節(がくかんせつ)症と間違われやすいのです」

食欲があり、胃腸には問題がないのにおなかが張る、おならやゲップは出るけれど臭いはない、という場合は呑気症の可能性が。「呑気症から重篤な病気に発展することはありませんが、症状がひどくなれば日常生活に支障を来すことも。ストレスが原因の場合は二次障害を引き起こすこともありますので、早めの注意と適切な対策を心がけましょう」

呑気症の原因が食生活にあるのか、歯のかみしめにあるのか、よくわからない場合はまず食事のしかたを見直すことから始めてみよう。

●食事中の空気飲みに注意

空気嚥下を起こしやすい食べ方に気をつける。食べ物や飲み物を慌てて一気に飲み込んだりすると、鼻から空気が出にくく、その空気を飲み物や食べ物と一緒に飲み込みやすくなる。

●無意識にあごが上がっていないかチェック

あごが上がった状態で食事をすると、気道が広がるため空気を飲み込みやすくなる。食事に集中しているときは、無意識に軽くあごは下がっているが、テレビを見ながらや楽しくおしゃべりをしながら食事をとっているときは、自然とあごが上がりやすくなる。食事の際の姿勢にも注意しよう。

同時に、歯のかみしめもチェックを。無意識に歯をかみしめている人は意外と多く、緊張や不安により起こりやすいといわれている。上と下の奥歯が常に合わさっている状態を普通と感じている人も少なくないが、その状態が続くと頭頚部や消化器など体に悪影響を及ぼす可能性も。食事をするとき以外は、上下の歯が離れ、舌が上あごについていないのが正常(下顎安静位の状態)。夢中でスマホをいじっていたり、考え事をしているときは、無意識にかみしめが起こりやすいので気をつけて。

「『噛みしめ呑気症』の治療として、私が推奨しているのがマウスピース。といっても、歯ぎしり防止のため睡眠時に装着するものとは異なり、下前歯の一部にはめて、日中の歯の接触を防止する、というものです。およそ3カ月の使用で、かみしめ癖が軽減できます。ただし、噛みしめ呑気症の場合は、根本的な治療として、原因となっているストレスを取り除くことも重要です」と小野先生。

食生活を改善しても症状が緩和されない場合は、一度歯科医に相談してみては? 重篤な病気に発展しなくても日常生活を快適にすごすために、ぜひ早めの対処を!【東京ウォーカー/記事提供=レタスクラブ】