女性はご用心!「変形性股関節症」って何?
歩いたり、脚を動かすと股関節に違和感や痛みがある人は、「変形性股関節症」の可能性が…

イラスト=林 ユミ

歩いたり座ったり、脚を使った動作の際に股関節に痛みが起こる……。もしかしたらそれは「変形性股関節症」かも。東京都済生会中央病院整形外科部長で股関節外科が専門の柳本 繁先生に詳しい話を伺った。

歩いたり、脚を広げたり回したりと、脚を動かす動作に関連している大事な関節が股関節。「股関節はいろいろな方向に動きやすいように球のような形をしています。骨盤にあるお椀形の寛骨臼(かんこつきゅう)と、大腿(だいたい)の先端にあるボール形の大腿骨頭とでできています。体重の重みを受け止めるため、常に大きな負荷がかかっており、寛骨臼と大腿骨頭の表面には、関節軟骨という衝撃を吸収するクッションのような組織があります。この軟骨が老化現象ですり減るとクッションの役目を果たせなくなり、股関節に痛みが生じます。これが変形性股関節症です」と、柳本繁先生。

男性に比べて女性の患者が圧倒的に多いのが特徴だ。

「女性は骨格的に股関節が小さかったり、ホルモンの影響で男性より関節軟骨が弱かったりする人が多いためです。従来、日本人の変形性股関節症は、生まれつき骨盤のお椀形部分の寛骨臼が小さい寛骨臼形成不全と呼ばれる場合に発生しやすいとされてきました。この程度がひどい場合は若年期から関節軟骨にダメージが出やすく、手術により骨の形を改善することがありました。現在は幼少期に予防や治療を行なうことが多く、割合は減ってきています。逆に加齢や過度の肥満などが原因で起こる変形性股関節症が増加しています」

症状が進行すると、徐々に股関節の痛みも強くなっていく。「最初はそけい部に違和感がある程度ですが、次第に動かしたときや歩行時に痛みを感じ始め、最後は安静にしていても痛みが出るようになり、日常生活に支障が生じます。早期に見つけて、整形外科で進行予防の指導を受けることが重要です。指導は生活習慣の改善、運動療法が基本。さらに進行して日常生活での障害が大きくなった場合は、人工股関節の手術を受ける選択肢もあります」

変形性股関節症は加齢とともに進行しやすい疾患だが、早いうちから日常生活に注意することが予防策の一つ。「体重が重ければ重いほど、関節に負担がかかるため、太り過ぎは禁物です。逆にやせ過ぎもよくありません。股関節を支える筋力や骨量が減少すると、さらに障害が進みかねません。また脊椎の異常により歩行のバランスが悪くなると股関節への負担が増加します。日頃からできるだけ骨盤を正し、座ったり歩いたりするときにいい姿勢を心がけることが大切といえるでしょう」

長年の生活習慣が、股関節のトラブルの引き金となることもある。無意識に行ないがちな日常生活の悪い姿勢や座り方に気をつけるところから始めてみよう。

【関節と骨を元気にする生活習慣のコツ】

1.食事はバランスよく肥満に気をつける:過度なダイエットや偏った食生活は、将来、骨と関節の病気や筋力低下を招く原因の一つとなる。食事はバランスよく食べることが基本。筋肉のもととなるたんぱく質や、骨の材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンDなどをしっかりとって。また、肥満の場合は関節に負担がかかるため、炭水化物の食べ過ぎに注意するなど、健康的にダイエットを行おう。

2.適度な運動で、筋肉&関節を元気に:筋肉や関節の動きをスムーズにするために、適度な運動も必要。1日20~30分の軽いウォーキングは、体への負担も少なく誰でもできるのでオススメ。また、うつ伏せになり片脚ずつゆっくり上げ下げする動きや、クッションを太ももに挟んで10 秒間キープする体操も、下半身の筋力アップに効果的。

【股関節に痛みがあるときは…】

歩くときはよい姿勢で、ゆっくりとしたペースを心掛けよう。さらに、靴は足をしっかりと包み込むような安定性の高いもの、靴底のクッション性があるものを選ぶといい。【東京ウォーカー/記事提供=レタスクラブ】