遺糞(いふん)症ってなに? 子どもの便秘は早めの対処を!
たかが「便秘」と侮るなかれ。子供の便秘は放置しておくと、徐々に悪化していき、1~2年で腸が異常に膨らむ「巨大結腸症」となり、広がった直腸に溜まった硬い便のまわりから、軟らかい便が漏れ、お漏らしをする「遺糞(いふん)症」になる可能性があると言われています。
パルこどもクリニック院長・友政剛先生によれば、現在、子どもの便秘の受診者や相談される機会が増えているそうで、子どもが小さいうちは、親がしっかりと子どもの排便状況をチェックしてあげてほしいとのこと。実際、森永乳業が今年3月に行ったアンケート(調査対象:2歳~小学生までの子どもを持つ母親300人とその子ども)では、「排便を我慢している」と回答した子どもは約40%、「自分の子どもは便秘だと思う」と回答した母親は21%という結果が出ており、子どもの排便に関して悩んでいる家庭が意外に多いということが明らかになりました。
では、どうすれば子どもの便秘の治療や再発防止ができるのでしょうか? 友政剛先生は「生活習慣と食生活を見直すことが大切」と強調します。軽症の便秘では、それでよくなることも多く、また、便秘は一旦よくなっても、再発することが多い病気なので、まずは下記について気をつけてみてほしいとのこと。
【生活習慣】
・朝のトイレに行く時間をしっかり確保
・便意を感じたら我慢せずにトイレに行くよう指導
・日常的に適度な運動を
【食生活】
・こまめに水分を補給する
・便のもとになるものを食べる(食物繊維などを多めに)
・ヨーグルトを試してみる
どれもそれほど大変なことではないですよね? これなら忙しいご家庭でも続けられそうです。
ちなみに、ヨーグルトと言えば、腸内環境を良くする「ビフィズス菌」が入ったものが人気で、現在ではその効能もよく知られるところになりましたが、実はこの「ビフィズス菌」、約50菌種にも分類され、そのうち人間の腸内に生息するのはおよそ10種類だということをご存知でしたか? 一般的に「ビフィズス菌」は腸で乳酸と酢酸を生成することで、悪玉菌に増殖を抑えたり、腸の蠕動運動を活発にし、排便を促す作用がありますが、種類によって特徴が異なるそうです。例えば、森永乳業が1969年に発見した「BB536」という種類は、他の種類より酸や酵素に強く生きたまま大腸に到達できるということが特徴なんだとか。
本来「ビフィズス菌」は酸や酵素に弱く、乳製品への応用は困難なのだそうですが、この「BB536」の発見によってヨーグルトや育児用ミルクなど、健康食品や乳児用食品へ応用されることになったそうです(日本で最初に応用されたのは森永乳業のビヒダスヨーグルト)。今や「ビフィズス菌=ヨーグルトに入っているもの」みたいな認識になっている方も多いと思うので、ちょっと意外ですよね。
子どもから大人まで、多くの人が悩む便秘。ちょっとした生活習慣や食生活を見直すことで改善できるので、まずはお子さんの排便状況をチェックするところからはじめてみてはいかがでしょう?