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「3ヶ月集中連載」子どもと楽しむ 台所化学-キッチンサイエンス-

みそ汁の貝はいつ入れるといいの?

水から煮ればうまみ成分が溶け出る!

水から入れても、沸騰したお湯に入れても、口自体はあく貝類。
だからこそ、みそ汁にあさりやしじみを入れるとき、どっち? と悩みがちですが、正解は水から。!

なぜなら、貝のうまみ成分であるコハク酸は水になじみやすい親水性だから。
水から煮るとうまみがにじみ出てきますが、沸騰した湯に入れると先に身が熱で固まってしまい、うまみが外に出てこないからです。

なので、うまみを充分に引き出したいみそ汁の場合は、水から入れて煮れば、よくだしが出て、おいしくいただけるというわけ。
はまぐりの潮汁を作るときも同じです。

ただし、煮すぎると身がかたくなるので、口があいたらいつまでも煮ないこと。
すぐに火を止め、味つけを。

ちなみに砂抜きの方法は、あさりとしじみで異なります。
あさりは水1カップに塩小さじ1の割合の塩水、しじみは真水。
その貝が住んでいる環境(あさりは海水、しじみは淡水)に近い状況を作ってあげれば、リラックスして砂をよく吐き出します。

科学的おいしいまとめ

■水から煮る

貝のうまみ成分は水から煮るとにじみ出てくる! だしにしっかり有効利用しよう。

■口があいたら煮すぎない

貝の口があいたら、すぐに味つけを! いつまでも煮ていると身がかたくなる。

>>料理のコツを応用してみよう! しじみを使った「しじみ汁」のレシピをチェック!

なめらかな茶碗蒸しを作るコツは?

“す”の正体は水の泡立ち。ゆっくり加熱すれば入らない

茶碗蒸しを作ったら中に“す”が入ってガッカリ……という経験ありませんか。

実はこの失敗、最初からふたをして蒸せば簡単に解決できます
茶碗蒸し用の器にふたがついているのは、保温のためだけではなく調理時にも重要な役割があるからなのです(プラスチック製のものは除く)。!

“す”が入る原因は、蒸気で急激に卵液(卵+だし汁)の温度が上がってしまうから。
約100℃もある蒸気にいきなりさらされると、卵液中の水は急な加熱で動きが激しくなり、水蒸気になろうとして泡を作ります。
この泡が、熱によって凝固しはじめた卵液の中で行き場を失って“す”になるのです。

卵のたんぱく質凝固温度は約60℃なので“す”をふせぐには、なるべくゆっくり温度を上げていくことが大切。
だから、ふたをして高温の蒸気が直接、卵液に当たらないようにすればいいのです。

さらに、蒸し器(鍋)のふたを少しずらして温度の急激な上昇をふせげばカンペキ!
ふたがなければラップかアルミホイルでもOKです。

科学的おいしいまとめ

■器にふたをする

卵液に高温の蒸気が直接当たらないよう、ふたでカバーすれば、“す”が入らない!

■鍋のふたをずらす

蒸気の逃げ道を作っておけば、卵液は急激に温度上昇せず、“す”が入らない!

>>料理のコツを応用してみよう! 「ミニ茶碗蒸し」のレシピをチェック!

天ぷらのころもをサクッと揚げるコツは?

“ころもにビール”で粘り発生を封じる!

天ぷらがベチャ〜となるのは、揚げる前にころもに粘りが出てしまっているのが原因。
この粘りの正体は、小麦粉に含まれる「グルテン」というたんぱく質です。
グルテンが多いほど、粘りもアップ。つまりいかにグルテンの生成を抑えるかがサクサク天ぷらへの近道なのです!

小麦粉にはグルテンの量が多い順に、強力粉・中力粉・薄力粉の3種類があります。
揚げ物はまず薄力粉を選ぶのが基本。

次に、グルテンは温度が高くなるほどたくさん作られるので、薄力粉も水も直前までしっかり冷やしておくことが大切です。

さらにおすすめしたいのがころもに冷たいビール(発泡酒でもOK)を加えるウラワザ。
グルテンを構成するたんぱく質はアルコールに溶けるので、グルテンの生成が抑制されるうえ、ビールに含まれる炭酸ガスで、ころも内にたくさん気泡ができ、よりサクサクの食感に!!
ただし、混ぜすぎ&時間の経過によってもグルテンの量は増えるので、ころもは作りおきはしないこと。

科学的おいしいまとめ

■ビールを入れる

ころもに加えるとグルテンの生成を抑え、より多くの気泡を作るのでサクサクに。

■ころもは冷やす

温度が高いほどグルテンはたくさん作られる。ころもの材料はしっかり冷やしておく!

■ころもを混ぜすぎない

こねればこねるほどグルテンはできる。ころもは粉と水分を切るようにさっと混ぜるべし。

■短時間で

時間がたつほどグルテンの量は増える! ころもを作ったらすぐに揚げはじめよう。

>>料理のコツを応用してみよう! 「白身魚のビールころもフライ」のレシピをチェック!

煮魚をきれいにおいしく作るコツは?

沸騰した煮汁でうまみ成分を閉じ込める!

煮物は時間をかけて味をしみこませるべし。そう思っている人も多いのでは?
でも、煮魚でそれをやってしまったら、身はぐずぐずにくずれ、生臭い仕上がりに。

魚肉の筋肉の構造やたんぱく質の成分は、牛や豚などの畜肉とは異なり、加熱しすぎるとかたくなると同時に、くずれやすく繊維状にほぐれやすくなるからです。

だから、煮魚をきれいにおいしく作るコツは、短時間でさっと煮ること!
あらかじめ作っておいた煮汁を煮立て、そこに魚を入れてたんぱく質を熱で手早く凝固させ、魚のうまみ成分・イノシン酸を閉じ込めてしまうのがポイント。
熱で生臭さのもと・トリメチルアミンなどが揮発して消えるメリットもあります。

また、うまみや栄養が溶け出すのをふせぐために、煮汁はなるべく少なめにすることも大切。
そこで、落としぶたの登場です。熱を有効利用できるのはもちろん、魚が動くのをふせいでくれるので、身もくずれにくくなります。
さらに煮立った汁が落としぶたにあたって対流し、魚の上からかかるので短時間でも味はしっかり!

科学的おいしいまとめ

■煮汁を沸騰させる

あらかじめ煮汁(水+調味料)を作っておき、それを沸騰させたところへ魚を入れる!

■落としぶた

短時間で味をしみこませる秘密兵器が落としぶた。煮くずれもふせいでくれて一石二鳥。

>>料理のコツを応用してみよう! 「子持ちがれいの煮つけ」のレシピをチェック!

網にくっつかせず魚をきれいに焼くコツは?

“ふり塩&網加熱”のふたつのワザでくっつき防止

焼き魚のやっかいなところは、網にくっついてしまうこと。

それをふせぐポイントはふたつ。まずは塩の浸透圧を利用して、焼く前に魚に塩をふり、余分な水分を抜いて身を引きしめておくこと! 生臭さもとれて一石二鳥です。

また、たんぱく質は熱によって凝固しますが(熱凝固=熱を加えると固まること)、特に筋肉の中の球状たんぱく質は熱で分子の形が変わると金属と結びつきやすくなるため、網にくっついてしまいます。これは“熱凝着”といって、50℃くらいで起こります。
ということは、冷たい網に魚をのせて焼くのは、わざわざ熱凝着を起こしているようなもの。

そこでふたつ目のポイントは、網をあらかじめ充分に熱しておくことですが……。それも面倒という人向けのウラワザは、焼く前の網もしくは魚に酢をぬっておくこと! あらかじめ酢でたんぱく質を変性させておけば熱凝着は起こりません。

肉を焼く前にフライパンに油をひくのも、肉と金属の間に油の膜を作って熱凝着をふせぐためです。

科学的おいしいまとめ

■塩をふる

焼く前の魚に塩をふり、余分な水分を抜いておけば、身が引きしまってくずれにくくなる。

■網を充分加熱しておく

たんぱく質と金属の熱凝着が起こる温度50℃前後を避けるようにする。

>>料理のコツを応用してみよう! 「あじの塩焼き」のレシピをチェック!

野菜を色よく 調理するには?

色素成分によって 変色防止法を使い分ける!

りんごやごぼうなどを切ったまま放置しておくと、色が茶色く変わってしまいます。
これは“褐変”という現象。

なぜ、こんな現象が起こるかというと、野菜や果物を切ると細胞内から「ポリフェノールオキシダーゼ」という酵素が出るから。
この酵素が野菜や果物に含まれるポリフェノールなどの色素成分と反応して褐変するのです。

調理用語でいうところの「色止め」とは、この褐変をふせぎ野菜の色を生かす調理のこと。素材によって方法は異なります。

●水によくさらす→ポリフェノールを洗い流してしまう。じゃがいもやさつまいもなどに。

●酢または酢水につける→酸性にして酵素の働きを低下させる。ごぼうやれんこん、なすなどに。

●食塩水につける→塩には酵素の働きをふせぐ効果が。りんごや桃などに。

●熱湯に塩を加えゆでる→青菜の色素成分・クロロフィルは長時間加熱すると分子内のマグネシウムがはずれて褐変するので、熱湯に塩を加えて分子を安定させ、さっと短時間ゆでる。

科学的おいしいまとめ

■水・塩・酢

ポリフェノールを洗い流すか、酵素の働きを酢か塩で低下させれば、茶色くならない!

■塩&短時間加熱

青菜系は長時間加熱すると褐変するので、塩を入れた熱湯で短時間加熱がポイント!

>>料理のコツを応用してみよう! 「さつまいもの甘煮」のレシピをチェック!

えびをプリップリに調理するコツは?

レモンと一緒にゆで、“酸”で食感をキープ!

サラダに、酢の物に、炒め物に。
和洋中幅広く活躍してくれるえびは、低脂肪・高たんぱく質でダイエッターにもうれしい食材。

ただ、難点は加熱しすぎると身が縮んでしまうこと。
かといって加熱時間が短いと、なんとなく生臭かったり。

それをふせいでくれるのが、レモンです!
沸騰した湯にレモンのスライスを1枚またはレモン果汁を数滴入れ、えびをゆでるとプリプリの歯ごたえのゆで上がりに。

これは、たんぱく質の“酸”による変性を利用したワザ。
たんぱく質は酸や熱などさまざまなものの影響により、固まったり、ほぐれやすくなったり、その性質が変わります。これをたんぱく質の変性といいます。

えびのたんぱく質はレモンの酸の作用で、水分を抱え込みやすい性質に変わります。
この保水性が高い状態で加熱すれば、熱による身の縮みを最低限に抑えることができるので、プリプリの食感が楽しめるというわけです。

レモンがないときは、かぼすやゆずなどほかのかんきつ類や酢で代用できます。

科学的おいしいまとめ

■レモンを加える

レモンの酸でえびのたんぱく質の保水性をアップさせれば、プリプリ感キープ!

■生臭みカット

かんきつ系のさわやかな風味が加わり生臭さもカット。かぼすやゆずで代用もOK。

>>料理のコツを応用してみよう! 「えびとにらのサラダ」のレシピをチェック!

骨つき肉をやわらかく煮るコツは?

酢で煮て、たんぱく質の保水力を高める!

いかの皮をむいたり、れんこんのシャクシャク感をキープしてくれたり、大活躍の酢ですが、骨つき肉を料理するときにも、またまたその偉大なパワーを発揮!

酢やワインビネガーなどに肉を漬けこむと、たんぱく質の保水力が高まり、やわらかくなります。
なぜなら、酢の主成分・酢酸によってたんぱく質の分子が形を変え、水分を抱え込みやすい性質になるから。
たんぱく質は熱で凝固しますが、あらかじめ保水性をアップさせておけば、加熱後もやわらかいまま、ジューシーに仕上がるのです。

クエン酸を含むレモン果汁でも同じ効果が得られますが、酢の酢酸には骨に含まれるカルシウムを溶かす働きもあり、そのカルシウムやマグネシウムの消化吸収を促進する働きまであるのです!

なので、酢で骨つき肉を煮込むと、肉がやわらかくおいしくなるだけでなく、骨のカルシウムが煮汁に溶け出し、より多くのカルシウムをとることもできます。
骨粗しょう症防止にも効果あり! の賢い調理法なのです。

科学的おいしいまとめ

■酢に漬ける

酢の作用でたんぱく質の保水力が高まり、加熱後もふっくらジューシーに!

■酢で煮込む

骨つき肉を酢で煮込めば、骨のカルシウムが煮汁に溶け出し、より多く摂取できる!

>>料理のコツを応用してみよう! 「とうがんと手羽元のビネガー煮」のレシピをチェック!

食べきれない魚をおいしく保存するには?

みそに漬ければ、うまみ倍増&長もち!

切り身魚が残っちゃった! とりあえず冷凍して……というのはよくあること。
でも、たまにはほかの保存法を試してみませんか。

おすすめは、みそ漬け。みそ(甘みそ除く)に11〜13%含まれている塩の浸透圧で長もちさせる方法です。
きゅうりに塩をふると、中の水分が外に出てきてしんなりしますが、これも塩の浸透圧による脱水効果。魚の中の水分を適度に抜くことで腐りにくくなる=日もちする、というわけです。

しかも、魚のうまみ成分・イノシン酸に、みそのうまみ成分・グルタミン酸が加わるので、うまみ成分の相乗効果でおいしさがグッとアップ! みそを使う利点はここにあります。

調理法は切り身魚の表面をみそでおおうだけ。
ただし、日もちするといっても、長く漬けておくほど塩けは強くなるので、おいしく食べるなら冷蔵庫で3日以内が目安。それ以上おく場合は冷凍庫へ。

ちなみに塩の浸透圧を利用したこの保存方法は“塩蔵”といって生わかめや塩鮭などにも用いられています。

科学的おいしいまとめ

■みそで長もち

みそ中の塩の浸透圧を利用して、魚から適度に水分を抜けば腐りにくい=長もちする!

■うまみ成分の相乗効果

魚のイノシン酸とみそのグルタミン酸。うまみ成分の相乗効果で、さらにおいしくなる!

大根をおいしく煮るには?

米を入れた湯で“えぐみのもと”を取る!

煮物に、みそ汁に、サラダに、おろしに。大根は主役にも脇役にも年間を通して活躍してくれる食材。
でも、煮たときになんとなく苦みや独特のにおいが残っていることがありませんか?

その原因は、大根に含まれている「シュウ酸」。このシュウ酸が“えぐみ”や“アク”を生み出す犯人です。

これをなくすには、米をパラリとひとつかみ入れた湯で大根を下ゆですること。
米に含まれる「ぬか」のカルシウムが、大根のシュウ酸と結合して湯に溶かし出すからです。

湯に米を入れるかわりに、米のとぎ汁を使ってもOK。
洗米の際、水に溶け出したぬかで同じ効果が得られます。

もちろん、ぬかそのものを湯に入れるともっと効果的。
大根よりもアクの強いたけのこをゆでるとき、ぬかを使うのは、このためです。

また、下ゆでしておくと味がしみこみやすくなるというメリットも!
加熱されてやわらかくなった組織には、調味料が浸透しやすいのです

科学的おいしいまとめ

■米を入れた湯で下ゆで

大根のアクのもの・シュウ酸を、米の「ぬか」が溶かし出して、おいしくなる!

■味がしみこむ

下ゆでして大根の組織をやわらかくしておけば、調味料がしみこみやすく、味もしっかり。

味しっかり! のポテトサラダを作るには?

熱いうちに下味、粗熱がとれてからマヨネーズ

なんとなく水っぽい、味がたよりない……ポテトサラダにありがちな悩みも、味つけ順さえ“科学的根拠”でマスターすればらくらくクリア。

まず大事なのがじゃがいもの下味つけ。
塩や酢などの下味をしっかりしみこませるには、じゃがいもがまだ熱いうち! が決め手。 ゆでた野菜は組織がやわらかくなっていて塩や酢を吸収しやすいからです。

もちろん、そのためにはゆでたてあつあつ状態のじゃがいもを手早くつぶしておくことも大切。さめると、でんぷんの粘りが出てつぶしにくくなります。

そして、マヨネーズを加えるのはそのじゃがいもの粗熱がとれ、さめてから!
熱いと塩や酢を吸収しやすいということは、水分を吸い込みやすいということ。
そこにマヨネーズを加えてしまうと、マヨネーズ中の酢と油が分離して別々にしみこんでいくことに。
なぜなら酢と油では分子の大きさが違い、分子の小さい酢から先に浸透するからです。
そうなるとなんとなく油っぽくなったり、酸味の立ったポテトサラダになってしまうのです。

科学的おいしいまとめ

■下味は熱いうち

熱いうちにじゃがいもをつぶし、塩や酢などの下味をつければ、味がしっかりしみこむ!

■マヨネーズはさめてから

下地をつけたじゃがいもがさめてからマヨネーズであえれば、分離せずおいしく仕上がる。

もやしをシャキッと炒めるコツは?

油で沸点を上げた湯にさっと通して水分キープ!

シャキシャキ感がたまらないもやし。
価格もお安く、節約メニューにはたのもしい味方です。

でも、シャキッと炒めるのはなかなか難しいもの。
もやしは組織がやわらかく、90%が水分なので炒めすぎると細胞を覆う半透膜やその外側の細胞壁がこわれて水分がどんどん出てきてしまいます。
しかも、うまみや栄養も一緒に流出。
上手な調理ポイントは高温で一気に加熱! です。

ただ、料理店と違って家庭の火力は小さいので、1本1本が細く表面積の大きいもやしは量が多いほど熱されかたにむらができ、均等に火を通すのは至難のワザ。

そこで、炒める前に油を少し入れた熱湯で20秒ほどゆでてしまいましょう。
熱湯に油を入れるのは、沸点を上げ、より短時間で熱を通すため。
もやし全体にむらなく熱が通るので、炒めタイムでは最後にほかの食材とさっと合わせて味つけするだけでOKです!

シャキシャキ感はそのまま、栄養やうまみも逃がさずおいしくいただけます。
中華料理で野菜を炒める前に“油通し”するのも同じ理由です。

科学的おいしいまとめ

■高温で短時間加熱

炒めすぎは食感喪失のもと。事前に湯通ししてむらなく加熱、シャキシャキ感をキープ!

■熱湯には油を

油を加えて沸点を上げれば、短時間加熱が可能。さっと湯通しするだけでラクに熱が通る。

しこしこ絶品パスタをゆでるコツは?

湯加減と塩がゆで上がりを左右する!

家庭でも人気のパスタ。歯ごたえのあるアルデンテにゆでる極意は、お湯の扱いにあります。

パスタの鉄則は、最初から最後まで沸騰したお湯でゆでること。
湯量が少ないとパスタを入れたときに温度が急激に下がってしまい、おいしくゆで上がらないのでお湯はたっぷり。パスタ100gにつき湯1リットルが目安。

火加減は水面が“フツフツ”する程度に保ち、湯の中で泳がせることが大切。
“ブクブク”沸騰させすぎたり、箸でかき混ぜすぎるとパスタの表面が傷つき、ツルツルした食感を損ねます。

次に、絶対忘れてはいけないのがお湯に塩を加えること!
グルテンたっぷりの強力粉で作られているパスタは塩を加えてゆでたほうがコシが強くなるから。
塩がグルテンの網目状組織を引きしめ、弾力をアップさせてくれるのです。
パスタはうどんのように塩が入っていないため、ゆで汁で外から加えるというわけ。塩は湯1リットルにつき小さじ2(10g)が目安。

ちなみに、塩を入れても湯の沸点(沸騰する温度)が変わるわけではありません。

科学的おいしいまとめ

■フツフツの沸騰加減

パスタが湯の中で泳ぐ程度の沸騰状態で! 麺の表面が傷つかずツルツルしこしこに。

■塩を入れる

たっぷりの湯に塩を入れてゆでれば、グルテンが引きしまって、コシが強くなる!

>>料理のコツを応用してみよう! 「ブロッコリーとベーコンのパスタ」のレシピをチェック!

辛くない大根おろしを作るには?

細胞をやさしくこわして辛み成分の発生を防ぐ

つけあわせや薬味に欠かせない名脇役の大根おろし。
でも、辛すぎると主役の味まで台なしに。

大根おろしの辛みの正体は、「アリルイソチオシアネート」というイオウ化合物。
この物質はもともと大根の中に存在するわけではなく、すりおろすなどして細胞がこわされると、細胞中のアリルイソチオシアネートの前駆物質(その物質が生成される前段階の物質)と酵素・ミロシナーゼが化合して生まれます。

この前駆物質は、葉に近い部分に比べて根に近い部分には10倍も多くふくまれています。
なので、辛くない大根おろしを作るなら、葉に近い上の部分を使うことがポイント。
皮にもふくまれるので、皮をむくことも忘れずに。

そして、大根の繊維をおろし器に垂直に当て、円を描くようにゆっくりおろしましょう。
直線的にガッとおろすと、大きな力で乱暴に細胞をこわすことになり、辛み成分が大量発生します。
それでも辛いようなら、大根おろしを電子レンジで数十秒湯気が少し立つくらいに加熱し、揮発性のアリルイソチオシアネートをとばせばOK。

科学的おいしいまとめ

■葉に近い部分を使う

大根の辛み成分は下のほうにいくほど多く含まれる。おろしにするなら葉に近い部分を!

■ゆっくり円を描く

直線的にガッとおろすと、辛み成分が大量発生。ゆっくり円を描くようにして発生を防止。

>>料理のコツを応用してみよう! 大根おろしを使った「きのこのおろしポン酢」のレシピをチェック!

いかの皮を簡単にむくウラワザは?

酢に3分漬けておけば、皮の接着力がダウン!

おいしそうないかを見ると、買おうかな〜、でも皮をむくのは面倒だし……と悩んでしまうほど、いかの皮むきは大変。むいてもむいても薄い皮が残っています。

その理由は? というと、いかの皮は4層になっているからです。
1層目と2層目は簡単にむけますが、3層目と4層目のあいだはコラーゲンというおなじみのたんぱく質でしっかり接着されているので、むきにくいのです。

そこで、キッチン常備の“あるもの”を使ったウラワザをご紹介。
それは、なんと酢! 酸性の酢にはたんぱく質を変性させる働きがあるのです。

バットなどに酢を入れ、そこにいかを3分ほど漬けておくと、コラーゲンの分子の形が酸によって変化し、性質がすっかり変わるため(これを変性といいます)接着力がなくなります。
これだけでいかの皮を驚くほどスルッと簡単にむくことができるのです!

ただし、3分以上漬けておくと、酢の味がいかにしみついてしまうので、ほかの作業をしているうちに忘れないよう、ご注意を。

科学的おいしいまとめ

■酢に漬ける

むきにくい原因はコラーゲンの接着作用。酢に漬ければ作用が弱まり、むきやすくなる。

■3分以上はNG

3分以上漬けておくと、いかに酢の味がしみついてしまうので、3分たったら必ず出す!

>>料理のコツを応用してみよう! いかを使った「ゆでいかの香味ソース」のレシピをチェック!

れんこんの歯ざわりを生かすには?

酢水につけて“粘りのもと”を弱める!

れんこんの魅力はシャクシャクした食感。特に炒めものやサラダだったらシャクシャク感を楽しみたいですよね。
この歯ざわりを生かす決め手は、酢! 切ったれんこんを酢水につけておくだけで、シャクシャク感がキープできます。

れんこんを切ると“糸”が出てきますが、これはたんぱく質と多糖類が結合した「ムチン」という粘性物質が粘りのもとになっているからです。
酢の主成分・酢酸がムチンを分解して粘りをなくすことで、シャクッと歯ざわりのいい食感になります。

また、れんこんの細胞壁は本来、熱に弱く、加熱によって細胞内のでんぷんが糊化すると、れんこん特有のモチッとした食感が生まれます。
そこを酢水につけておくと、加熱しても細胞壁がこわれにくくなるため、でんぷんの糊化がゆるやかになって、シャクッとした仕上がりになるのです。

さらに、酢水につけておくことでアク抜き&変色防止効果も!

ちなみに、煮物などでホクホクに仕上げたい場合は、酢水ではなく、水につけておけばOKです。

科学的おいしいまとめ

■酢水につける

糸を引く粘りのもと・ムチンを、酢で分解させれば、シャクシャクの歯ざわりに!

■でんぷんの糊化を遅らせる

れんこんの中のでんぷんの糊化を遅らせれば歯ざわりキープ! 酢水につけておけばOK。

>>料理のコツを応用してみよう! れんこんを使った「れんこんと牛肉のからし炒め」のレシピをチェック!

賞味期限の近い牛乳、飲みきれないときは?

牛乳のたんぱく質を、レモンと熱で固めてチーズに

冷蔵庫を見たら賞味期限の近い牛乳が。
とてもそれまでには飲みきれな〜い! というときは、チーズにしてしまいましょう。レモンがあれば、簡単にできます!

牛乳のたんぱく質の約80%はカゼインで、熱では固まりませんが酸で凝固します(酸凝固)。
残りの20%はアルブミンやグロブリンで、これらは熱で凝固します(熱凝固)。
そこで、レモンの酸+熱のダブルの効果で牛乳のたんぱく質を変性させれば、取り出すことができるのです。

作り方はいたってシンプル。
牛乳を沸騰する直前まで温め、そこにレモン汁を入れて混ぜるだけ。
たちまち、牛乳中のたんぱく質が水分と分離して、どんどん固まりはじめます。
そのドラマチックなことといったら! あとはペーパータオルを敷いたざるで水分をこせば完成。

ちなみに、この水分は「乳清」といってヨーグルトの上澄み液と同じもの。
免疫機能を活性化させるラクトフェリンなど栄養たっぷりなので、捨ててしまったらもったいない! 温かいうちにはちみつを加えれば、おいしい飲み物に。

科学的おいしいまとめ

■“酸+熱”でたんぱく質を固める!

たんぱく質には熱で固まる(熱凝固)だけでなく、レモン汁などの“酸”で固まる(酸凝固)ものもあります。この性質を利用すれば、牛乳がたちまちおいしいチーズに早変わり!

ごぼうの皮をきれいにむく方法は?

しわくちゃにしたアルミホイルで、ごぼうとの接触面積を増やす

ごぼうの皮むきに何を使っていますか?
普通は包丁を使いますが、実はもっと軽〜い力&短い時間で、きれいにむくウラワザがあります。

その秘密兵器がアルミホイル!
軽く丸めてしわくちゃにしたアルミホイルでごぼうをこするだけでいいのです。

でこぼこを多くすることで包丁よりもごぼうとの接触面積が増え、その分、小さな力&短時間で皮がむけるというわけです。

しかも、ごぼうは皮にうまみがあるので、必要以上に厚くこそげとってしまうと味までダウン。
包丁だとその危険性も大ですが、丸めただけのアルミホイルなら、そんな心配もありません。

この表面積の原理、実は料理ではよく使われています。
煮物に使う大根やにんじんを“面取り”するのも、煮くずれをふせぐ以外に表面積を増やして煮汁との接触面積を大きくし、味をしみこみやすくする意味もあります。こんにゃくを手でちぎるのも、同じ理由。

う〜ん、まさに料理は科学なのです。

科学的おいしいまとめ

■アルミホイルを使う

しわくちゃにしたアルミホイルを使えばごぼうとの接触面積が増え、軽い力で皮がむける!

■うまみキープ

ごぼうやにんじんなど野菜は皮にうまみがありもの多し。厚くむかずおいしく食べよう。

>>料理のコツを応用してみよう! ごぼうを使った「豚肉とごぼうのトマト煮」のレシピをチェック!

自家製アイスを1分でも早く作るには?

塩の冷却パワー利用で待ち時間を短縮!

家で手作りアイス! なんて子どもたちは大喜びのおやつです。
でも、難点なのはなかなか凍ってくれないこと。まだかな、まだかなと冷凍庫の扉を開けたり閉めたりしていては、いつまでたっても食べられません。

そこで利用したいのが、塩の冷却パワー!
材料を瓶に入れ、混ぜ合わせたら、塩をふりかけた氷入りボウルの中で冷やします。すると冷凍庫よりもグッと早くアイスクリームが完成します。
なぜかというと、氷に塩を加えると、氷の温度が0℃から急降下し数分でマイナス19℃にまでなるから。

塩は結晶から水溶液へ、氷は結晶から水へ、それぞれ形状が変化するとき、必要な熱エネルギーをまわりから奪います。
たとえば1gの氷が水に変化するときに使うエネルギーは1気圧で80kcal。これを“吸熱反応”といいますが、この塩と氷ふたつの吸熱反応により、温度が下がっていくのです。

冷凍庫内もマイナス20℃ぐらいですが、マイナス19℃の氷による直接冷却パワーにはかないません。冷凍庫よりスピーディにアイスクリームの完成です。

科学的おいしいまとめ

■氷に塩をかける

0℃の氷に塩をかけるとマイナス19℃に! この氷で直接冷やせば数十分でアイス完成。

■空気でふんわり

なめらかさがほしいときは、途中でアイスを何度かかき混ぜ、空気を含ませて凍らせよう。

特売のかたい肉をおいしく食べる方法は?

玉ねぎの知られざる“酵素”パワーを利用

今日はお肉が特売! ラッキーと買い込んで食べてみたら、ううっ、かたい……という経験、ありませんか。

肉を加熱するとかたくなるのは、たんぱく質の結合組織が収縮するから。
でも、料理する前にこの結合組織をあらかじめゆるめてしまえば、やわらかくいただけます。

そこで活躍してくれるのがキッチンの常備野菜・玉ねぎ。
玉ねぎには肉のかたい組織を分解してやわらかくする、たんぱく質分解酵素の「プロテアーゼ」が含まれているからです。
この酵素を含む代表的な食物はキーウィやパイナップルなどのトロピカルフルーツで、しょうがにも含まれていますが、より身近&安価で使える玉ねぎに含まれていることは意外に知られていません。

玉ねぎはすりおろすと肉との接触面積が増し、プロテアーゼの働きがよくなります。そこで、すりおろした玉ねぎに肉を漬けこめば、かたい肉もやわらか〜く変身!

熱でかたく縮みやすい肉の繊維をフォークで刺すなどして断ち切っておくのも手。プロテアーゼも浸透しやすく、さらにやわらかに。

科学的おいしいまとめ

■玉ねぎのすりおろしに漬ける

たんぱく質分解酵素・プロテアーゼの宝庫、玉ねぎのすりおろしに肉を漬けてやわらかく。

■肉の繊維を断ち切る

熱でかたく縮む肉の繊維をあらかじめ切っておく。プロテアーゼも浸透しやすくなり◎。

>>料理のコツを応用してみよう! 牛肉と玉ねぎを使った「牛肉のごま油炒め」のレシピをチェック!

トマトの薄い皮を簡単にむく方法は?

直火で30秒あぶって接着力を弱める!

包丁やナイフでトマトの皮をむくのは至難のワザ。完熟トマトともなれば、つぶさずに皮をむくなんて到底ムリな話……。

どうしてそんなにむきづらいかというと、原因はトマトに含まれる「ペクチン」。
ペクチンとは植物の細胞壁を構成する多糖類で、トマトの実と皮をぴったりくっつける接着剤の役割をはたしています。
市販のジャムやゼリーを固めるのにもゲル化剤、つまり天然の接着剤として使われています。

でも、ペクチンは熱に弱いのが特徴。そこで、熱湯につける“湯むき”がよく利用されているのですが、もっと手軽なウラワザはトマトを直接、火であぶってしまうこと!
へたを取った部分にフォークを刺し、遠火で30秒ほど全体をあぶり、プチプチッと皮がはじけたところで水にさらせば、皮は簡単にスルリ!

このほか、ペクチンは水溶性なので、角ばっていない箸でトマト全体をこすり、果肉から出る水分でペクチンを溶かしてゆるめる方法もおすすめ。
こすったあと、箸でてっぺんに穴をあけ、そこから皮をむいていけばOKです。

科学的おいしいまとめ

■直火であぶる

ペクチンは熱に弱い。トマトを直火で30秒あぶり、水で冷やせば皮が簡単にむける。
※火傷には注意してください。 ※あぶる時間は大きさによって調整してください。

■箸でこする

果肉から出る水分でペクチンを溶かし、接着力が弱まったところで穴をあけて皮をむく。

残ったケーキ、パサつきをふせぐには?

りんご1切れでパサつきストップ!

ケーキが残ったとき、どう保存するか悩んだことありませんか?
特にクリーム系のケーキだったりすると、ラップで包むわけにもいかず、そのままだとスポンジの水分が抜けてパサパサに。

そんなときは、ケーキの箱にりんごやレモンなど水分の多い果物や野菜を1切れ入れて冷蔵庫へ!
りんごの切り口から出る水分がスポンジのパサつきをふせいで、ふんわり&しっとり。保湿剤のような働きをしてくれます。

乾燥してパサつく……潤いが必要なのは、お肌に限らないということです。

科学的おいしいまとめ

■水分蒸発をふせいで、おいしさキープ

水分が抜けるとパサパサになるケーキのスポンジ部分。切り口から適度な湿気を放出するりんごなどの果物や野菜と一緒に保存して、パサつきを防止。

玉ねぎのみじん切りで泣かずにすむ方法は?

玉ねぎを冷やして切れば催涙作用がダウン!

玉ねぎを切ると涙がポロポロ。目にしみて、そのつらさといったら!
でも大丈夫。ウラワザはちゃんとあります。

涙が出る原因は、玉ねぎに含まれる硫化アリルの一種「アリルプロピオンアルデヒド」。
温度が高くなると空中に揮発して、目や鼻をツーンと刺激します。
そこで調理前に玉ねぎを冷蔵庫で冷やし、硫化アリルの揮発がはじまる前に切れば、涙も出ずにすむというわけです。
常温に戻ってしまうと揮発がはじまってしまうので、手早く! がポイント。

また、硫化アリルは水に溶けやすいので、冷やす時間がなかったら、水につけながら皮をむき、ぬれた状態のうちに、これまた手早く切ってしまうのも手。
ただし、硫化アリルにはビタミンB1の吸収を促進させ、代謝をアップさせるといううれしい効果も。
長く水につけすぎて、この効果まで失わないようご注意を。

切れない包丁を使うと細胞をつぶして硫化アリルを大量に発散させることになるので、よく切れる包丁をぬらして使うのもいいでしょう。

科学的おいしいまとめ

■切る前に冷やす

催涙物質・硫化アリルは常温になると揮発するので、冷やして揮発する前に切る!

■よく切れる包丁で

切れにくい包丁で細胞をつぶすと硫化アリルが大放出。よく切れる包丁でスパッと切ろう。

>>料理のコツを応用してみよう! 玉ねぎを使った「オニオンメンチ」のレシピをチェック!

ハンバーグ、焼きくずれないように作るコツは?

肉の組織をしっかりこわせば粘着力アップ!

きれいに形を整えたいのに、焼いたらボロッとくずれちゃった! というのはハンバーグに多い失敗。

それをふせぐには、粘りけが出るまでひき肉をしーっかりこねること! この“こね”作業には、具を混ぜこむだけではなく、加熱したときにくずれにくくする、という大事な目的があるのです。

生肉に含まれるミオシンとアクチンというたんぱく質は、結合すると粘着力が強くなる性質があります。
でも、加熱されると凝固して粘着力はダウン。
そこで、加熱前によくこねて肉の組織をこわし、ミオシンとアクチンをしーっかり結びつけた状態を作れば、焼いてもくずれないハンバーグになるというわけ。

つなぎに卵を混ぜるのも肉の組織をつないだ状態で凝固させてくれるから。
ちなみにパン粉はふっくらさせるため、玉ねぎは肉のにおいを消して味をよくするために加えます。

もちろん、形を整えるときにキャッチボールのように両手にたたきつけ、空気を抜くことも大切! 空気が入っていると、それだけくずれやすくなります。

科学的おいしいまとめ

■肉の組織をこわす

肉をよく練って組織をしっかりこわし、粘着力をアップさせれば、焼いてもくずれない!

■空気を抜く

焼く前にハンバーグだねを手にしっかりたたきつけるように空気を抜けば、崩壊なし。

>>料理のコツを応用してみよう! 「ハンバーグ」のレシピをチェック!


子どものころ、科学の実験は楽しかったですよね。
実はキッチンにはその楽しさがいっぱい!
玉ねぎを切ると涙が出る不思議、自家製アイスクリームがすばやく作れる不思議…など。親子で見て、話して、食べて、楽しめる「キッチンサイエンス」の世界をご紹介します。

監修:内田麻理香
サイエンスコミュニケーター