【withコロナ時代のリアル】それぞれの過ごし方、見えてきたもの

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新型コロナウイルス感染予防が叫ばれる今、医師や講師など大勢の人に接する職業の人たちはどのような生活を送っているのか? さまざまな体験談からwithコロナ時代をどう過ごしていくかを、探っていくのが本企画。後編では『レタスクラブ』が実施したアンケート結果(※2020年10/15〜18実施、10~80代の男女774人)とともに、小児科医とフラダンス教室講師のインタビューをお届けしていきます。

レジャーなど、休日の過ごし方は変わりましたか? という質問では、73.9%が「はい」と回答。

休日をどのように過ごしているかというアンケートでは、「家で動画を見る」「ガーデニング」など、外出しない工夫をしている内容のものが多数寄せられました。外出する場合は「人の少ない公園」などがあげられています。

さらに特徴的なのは、84.5%が「気軽に人を誘わなくなった」と回答している点。

コロナ禍で気軽に人を誘わなくなりましたか?

いかに、人が集まることに抵抗があるという事態になっているのかがわかります。

このような状況の中、「人が集まって体を動かす」という「密」な状況が常となりがちなダンス教室では、コロナ禍をどう乗り切っているのかお話を伺っていきましょう。

コロナ禍から生まれた新しい体験を喜び合う

東京都中野区在住の辻恵子さんは、幼児から80代までが通うフラ教室「ハーラウ フラ オル オハナ トウキョウ」の主宰者。緊急事態宣言の中では当然、スタジオでのレッスンは中止にせざるをえませんでした。

(辻)はじめのうちは社会とのつながりが切れたような気持が強くて無気力になりました。同じ時期、中学生の長女と小学生の長男、ふたりの子どもも不安定に。親だってこんな状態なんだから…ととても共感できました。しかし次第に自粛生活にも順応して、YouTubeで配信されている筋トレ動画などを一緒に楽しんだりできるようになりました。

そして、辻さんも活動休止していたフラ教室を、初挑戦となるオンラインレッスンへと踏み切ります。

(辻)まず機材の扱いなどで四苦八苦(笑)。ですがそれ以上に、対面のレッスンなら体に触れて動きを教えられるところを、画面越しでは言葉で伝えなくてはいけない難しさがあった。でもそんな悩みから体の使い方や指導する際の表現をもっと学びたくなり、解剖学やヨガをオンライン受講するきっかけとなりました。今までは場所と時間の制約がありそのような講座をなかなか気軽に受けられませんでしたが、このコロナ禍でオンライン講座が当たり前になってきたので渡りに船です。同業の方々とも、どうやってレッスンしている? などの情報交換が発生し、盛り上がりましたね。

コロナ禍という予想外の事態で、今まで無理だと思っていた壁を越えられた喜びが得られたと語る辻さん。それはフラ教室へ通う生徒たちも同様で、70~80代の女性たちからも「自分たちにもオンライン受講ができた!」と喜びの声が上がっているそう。現在は人数制限をしながら対面レッスンも再開。幸いフラダンスのレッスンは、皆が同じ方向を向き、間隔を空けて踊ることができるので、比較的スムーズに再開できたと言います。

(辻)保健所に指導してもらった対策は全て行ったうえで、メンバーからも意見を募り、レッスン中もマスク着用となりました。始めは「マスクで踊って大丈夫なんだろうか」と心配になりましたが、皆が安心し納得できる場となることを優先しました。ご家庭の事情や考え方の違いでレッスンに出てこられない人たちもいますが、それぞれと連絡を取り合うようにしています。今、改めてふりかえると、フラは殺伐とした気持をリフレッシュさせてくれていました。オンラインレッスンでの曲も、祈りをこめたり感謝を伝える内容の歌を選んでいます。皆の心が癒されたり、祈りの気持ちで満たされるといいなと思っています。

前出のアンケートでも、休日の過ごし方に関する質問には、「ストレスをためないように」という心がけをしていると答えた人が多数。「ストレス解消にサイクリング」「家族のみで庭でバーベキュー」など、上手にリフレッシュすることが、withコロナ時代では重視されていることが分かります。

コロナ禍の最前線で活躍する存在として、注目を集める医療従事者はどうでしょう。世田谷区のかるがもクリニックの院長・宮原篤さんは、小児科医であり、プライベートでは2児の父。今、この時をどのように過ごしているでしょうか。(このインタビューは2020年10月20日に行いました)

不安がいっぱいだったコロナ禍初期。でも今は?

(宮原)非常事態宣言が始まったばかりの頃は、家族の食事も寝室も別にして、帰宅したら真っ先にシャワーを浴びて着替えるという生活を送っていました。ですが次第に接触感染は思いのほか少ないことがわかってきましたので、今は帰宅したら手洗い・外ではマスク着用・捨てるときは蓋つきのごみ箱に・家庭内でも密にならない(要は、飛沫を飛ばさないようにする)、という基本を守る程度です。

家庭内でもゼロリスクを求めていると、親の心身がすり減り、メリットよりもデメリットが上回ってしまいます。まんべんなくではなく、ポイントを抑えた感染予防が、上手な対策と言えそうです。

※11月20日追記 流行が拡大しており、行動にはなお一層の慎重さが求められます。

(宮原)三密(正確には飛沫が飛びやすい行為)を避けて制約された中で楽しむこともいいでしょう。SNSではクラスターフェスとかいろいろな極端な主張も目にしますが、幸い近しい人たちの間では、だいたい似たような認識であるのか大きな価値観の差は、あまり感じていません。ただし、マスク着用を絶対視するような意見には違和感を覚えます。5才以下ではマスクは不要と言われていますし、発達障害などの何かしらの理由でマスクを付けられないお子さんもいらっしゃいますので。ストレスが溜まると価値観の違いから攻撃的になることもありますが、おおらかに行きたいものです。

宮原先生は、価値観の違いから生じるストレスにはどう対応すればいいのか? という問いには「心理的距離を置くことも有効」とアドバイス。

(宮原)価値観の違いから軋轢を起こすのは辛いですね。こちらが正しいことを言っているつもりでも相手も正しいことを言っているつもりなので、平行線に終わることがあります。過去と他人は変えられない以上、感染防御をした上で他人に合わせるか、こちらから距離を置くことも必要です。社会的距離(ソーシャルディスタンス)だけではなく、心理的距離(サイコロジカルディスタンス)も必要になってくるでしょう。

家族の心の健康のため宮原さん自身は、以前からほとんど観ていなかったものの、改めて「自宅でワイドショーを観ることを一切やめた」と言います。

(宮原)ワイドショーは情報が煽り調になりがちです。観ている全員が煽り文句を選別できる冷静さを持ち合わせているわけではありませんし、一緒に見ている子どもたちの不安を必要以上に煽ることもあるので、テレビを見る環境にも気をつけたいと思っています。今心配なのは、スタッフたちのストレスです。極力出かけず、家と職場を往復するだけにしていると聞いていますので。「医療従事者は極力外出しないほうがいい」というような空気もありましたが、私は厚労省が発表しているような感染予防対策を守れていれば、基本的には問題ないと考えています。情報を判断するときは、厚労省などの「出処のはっきりした情報」を選ぶこと。感染拡大は短期では収束せず、withコロナ生活は長丁場となりそうです。気持を切り替え、長期に備えることを意識していきたいですね。

今回行った「新しい生活様式」についてのアンケート※では、「身体的距離の確保」「マスクの着用」「帰宅後の手洗い」等、全16項目全てが「とても気を付けている」「まあまあ気を付けている」をあわせて半数以上の回答を獲得するという結果になっています。
(※「マスクの着用」に関するアンケートのみ、2020年10月21日〜24日に実施)

前編の座談会では、各家庭で「どこまでOKか」の基準を設け、価値観の近い人と付き合いを深めている様子が見えてきました。今回のお二人の話しからは、ゼロリスクを求め過ぎず、できる範囲でポイントを押さえた対策を取り入れること。玉石混交のコロナ情報に振り回されず、正しい情報に触れること。そして家族や周りの人たちと、穏やかに過ごせる環境を作ることの大切さが伝わってきました。

前後編でお届けしてきたwithコロナ時代を暮らす人たちの声には、皆が抱える悩みとともに、前に進むための考え方もたくさん。それぞれが模索する姿に共感したり、考え方を取り入れたり、変化の時代を乗り切るヒントとなれば幸いです。

この記事はレタスクラブニュースとYahoo!ニュースの共同企画記事です。
コロナ禍での「新しい生活」、皆は実際どうしている?感染対策への考え方を巡って友人や家族内で価値観の違いが生まれることも。リアルではちょっと聞きにくい、それぞれの本音を全2回の連載で探ります。

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