紙の「元祖」は紀元前の中国で生まれた 誰かに話したくなる地球の雑学(93)

#趣味   
地球の雑学 その93


日本の裏側は本当にブラジル!? フグが自分の毒で死なないのはなぜ? きっと誰かに話したくなる理系のウンチクを、『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から1日1本お届け!

◇◇◇

紙の「元祖」は紀元前の中国で生まれた


「紙(paper)」の語源として知られる「パピルス」は、紀元前3000年代から、古代エジプト文明において書写材料として使われてきた。

しかし、現代の我々が使っている「紙」とは、水中でばらばらにした植物などの繊維を、薄く平らに伸ばして乾かしたもののことをいう。そのため、カヤツリグサ科の水草の茎をそのまま並べたパピルスは、厳密には紙とはいえない。

では、紙の「元祖」はどこで誕生したのだろうか。それは、紀元前の中国である。現在、発見されている最古の「紙」は、中国甘粛(かんしゅく)省天水(てんすい)市の古墓で発掘された、地図の描かれた麻の紙だ。前漢の文帝(ぶんてい)・景帝(けいてい)《在位:紀元前180~141年》時代のものと推定されており、「放馬灘紙(ほうばたんし)」と呼ばれている。

中国の歴史書『後漢書(ごかんじょ)』によると、蔡倫(さいりん)という役人が、西暦105年に後漢の皇帝であった和帝(わてい)に「紙」を献上したと記されていることから、これまでは蔡倫が紙の発明者とされてきた。しかし、1986年に放馬灘紙が発掘されたことで、実際には紀元前に紙が誕生していたことが判明した。

ただし、蔡倫が献上した「蔡侯紙(さいこうし)」の材料は、麻布、麻のぼろ、樹皮、漁網と記されており、紙をつくるプロセスは現在の紙の製造法とほとんど変わらない。そのため最近では、蔡倫は紙の製造法を確立した功労者であったと考えられている。

その後、紙の材料や製造法は改良を重ねられ、次第に世界中へと広まっていく。ちなみに、日本に紙の製法が伝わったのは7世紀初めとされているが、地中海を経由してヨーロッパに伝わったのは12世紀頃とされている。

著=雑学総研/「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)

この記事に共感したら

Information




人類なら知っておきたい 地球の雑学


『人類なら知っておきたい 地球の雑学』

思わず誰かに話したくなる「理系のウンチク」が満載! 職場で家庭で、日々の「雑談」に役立つ、動植物・天体(太陽系)・人体・天気・元素・科学史など、「理系ジャンルネタ」が存分に楽しめる必読の一冊です!


▼大人気コミックエッセイ大量配信!連載まとめ一覧▼
他の作品




本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

LINEお友だち追加バナー

おすすめ読みもの(PR)