やる気にムラのある小6娘。子どものやる気を引き出すには?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月発売の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第70回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6の受験生の娘は、やる気にとてもムラがあります。5年の時に塾が合わずに成績が低迷し、転塾。その後しばらくは調子よくやっていて、成績も伸びてきていたのですが、6年になってからまたやる気がダウンしてしまったようです。

最近は、私が少し目を離すと、違うことをやっていることが多くなりました。自分からやる気があり、とりかかっている時のほうが、成績がいいということは、私自身とても感じているため、あまり口うるさくは言いたくないとは思っています。でも、6年生ということで私も焦ってしまい、いけないと思いつつ、つい怒ってしまい反省する日々です。

先日も、「やる」と言っていたことを全然やっていなかったことで、ものすごく怒ってしまいました。彼女自身のやる気を引き出し、自分の力で進められるようにするには、親としてどんなサポートができるでしょう?(Mさん・39歳)

【小川先生の回答】

『やる気』を引き出すには『やれる気』を持たせる

『やる気』というのは、実は『やれる気』です。「自分なりにできそう」と、できているイメージが湧くからこそ、すぐに取り掛かることができるのです。反対に、見通しが立たなかったり、「大変そうだな」と思うものについては、できているイメージが湧かないため、取り掛かれずに先送りしてしまいます。これは子どもに限らず、私たち大人も同じ。「できそう」と思えば迷わずやれますが、「しんどそう」と思ったら、なかなか気持ちが向かないですよね。

また、昨日一昨日とやらなかったことについては、そもそも自分自身が動いているイメージというものが湧きません。ですから、その後もずっとやらないクセがつきやすくなります。

つまり、『やる気』を引き出すためには、「やれそうだ」「大丈夫そうだ」という気持ちを、いかに持たせてあげるかが、ポイントになります。

動かないのは、サボっているのではなく、困っているから

では具体的に何をすればよいかというと、まずは本人の話を聞いてあげることです。6年生というのは、時間割的にもやることが多いし、何かと役を渡されやすい学年です。さらに受験も迫って来て、普通に考えてしんどいはず。ですから、「6年生になって、大変そうだね」「何かしんどいと思うことはある?」というように、本人の今の様子に耳を傾ける時間を設けましょう。そうすると、本人が意識しているところはもちろん、はっきり意識していなかったけど、ちょっと大変だと感じているものが見えてきます。

実は、そういった『なんとなくの大変さ』を抱えていると、人は動きたくなくなるのです。動き出すとやることがたくさん出てきそうな気がするから、『準備』という名目のもと、先に休憩したくなってしまうんですね。やるべきことをいろいろ考えているうちに、どんどん膨れ上がって、まだ始めてないうちから疲れちゃうという経験は、大人でもありますが、子どもはそれが非常に起きやすいのです。だから、「この前までは調子よくやってたのに、急にやめちゃった」とか、「なんか動きが遅くて手につかない様子だな」と感じたら、それは「うまくいかないような気がして困っているのではないか」という視点でみてあげるようにしましょう。

子どもが取り組みやすいように整理する

傍から見たら、やる気がなく、サボってるようにみえることも、実は本人としては、いろいろ考えていっぱいいっぱいになっているのです。そのことを親の知恵として知っておくと、やらないことに対する怒りではなく、子どもの現状を心配する声かけに変わっていくと思います。

そして、「どんな様子?」「何かあった?」と、本人の言い分に耳を傾けた上で、やるべきことを整理してあげましょう。塾の宿題が多すぎるようなら、大人の判断として削ればいいし、「今日はここまでにして、他は週末時間のあるときにやったらいいんじゃない?」とスケジュールを一緒に考えるのもいいですね。そうやって子どもが取り組みやすいように整理することで、本人が「これならやれそう」という気持ちになれると、ずいぶん変わってくると思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。


文=酒詰明子

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