ある日突然始まるかも! 親の介護で慌てないために知っておくべき5カ条

#くらし   
はじめて直面する一大事に、焦ってしまうのは当たり前!

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、離れて暮らす親となかなか会えないでいる人は多いでしょう。人と会う機会が激減しているこの状況下では、誰もが少しずつ心身ともに衰えてしまう可能性があります。ましてや高齢の親ならなおさら体調に変化が生じ、ある日突然要介護になってしまうこともありえます。

そんな時、一番やってはいけないことは、焦って「こと」を進めること。そうはいっても、はじめて直面する一大事に、焦ってしまうのは当たり前です。そうならないためにも、介護の際に知っておくべき5カ条を実際に家事や仕事と両立しているケーススタディを見ながらご紹介します。

第1カ条

親の変化を見逃さないために周りの親せきや友人に協力をお願いする

介護が始まるきっかけの第1位は、認知症というデータがあります。認知症は、症状が進んでいくと、身の回りのことが出来なくなり、必ず介護が必要になります。都内で暮らすAさんは、認知症の母を2世帯住宅で暮らしながら7年間在宅介護をしています。2世帯といっても、玄関だけが共用の完全分離の住宅だったため、仕事をもつAさんは、母の変化にすぐには気づけなかったと言います。

「母とは、朝晩に顔を合わせる程度でしたので、母の変化には近所に住む親せきや母の友人の方が早く気づいていたようです。しばらくして、私も気になるところが見えてきたので、検査を勧めると母が機嫌を悪くして否定するので、そのまま時間が過ぎてしまいました。7年ほど前に、近くに住む叔父が『最近、物忘れがひどいから、認知症の検査に行きたい』と言い出したことに、便乗して、母もかかりつけ医で検査をうけました」

認知症は、早期に発見することで、進行を遅らせることができる場合もあります。親の友人や、親しくしている隣人、親戚などに協力してもらい、親の様子を確認してもらうというのは、その変化を見逃さない一つの方法です。また、検査を受けるように促すのは、親と同世代の友人や親せき、かかりつけ医にお願いすると、素直にアドバイスを受け入れてくれるかもしれません。

第2カ条

なるべくプロの手を借りて、仕事・家事との両立をする

前述のAさん。医師の診断は、「大目にみても認知症との境界線上」という結果に。平行して頭部CTやMRI検査をおこなったところ、脳に委縮があることが確認されたため、服用を開始。そして、要介護認定の申請をし、要介護1と判定され、在宅での介護生活がはじまりました。Aさんは、フルタイムで仕事をしているので、平日の週5日はデイサービスを利用しています。デイサービスとは、自宅までお迎えがきて、日中は、身の回りのお世話を受けながら施設で過ごすことができるサービスのこと。平日は、朝食後、デイサービスに送り出し、週末は、Aさんが終日お世話をしています。

【画像を見る】Aさんの1週間のスケジュール。平日昼間は外部施設での介護サービスを利用

Aさんのように、自宅以外で過ごすことができる、外部サービスを活用することで、介護する側の負担を減らすことができ、仕事や子育て・家事をしながらの介護や、離れて暮らしていても、在宅での介護を続けられる場合もあります。また、親戚や親しい友人などに、介護のサポートをお願いしてみると、意外な人が協力してくれるということもあります。

第3カ条

自炊が難しくなったら配食サービスを活用!

他にも在宅介護のサポートとして活用できる様々なサービスがあります。たとえば、親が自炊するのが難しくなった時の選択肢として一番にあげられるのは、配食サービス。最近は、選択肢も多く、自治体が運営している、見守り付きの配食サービスもあります。他にも、訪問介護で調理や買い物代行を依頼することもできます。ネットスーパーなども離れて暮らしていても子どもが注文することで活用できるサービスです。

宅配サービスなど活用は、離れて暮らしていてもできるサポートの一つ

第4カ条

AIの活用で離れて暮らす親のサポートができる

毎日決まった時間に電話をして、親の安否確認をしている人もいるでしょう。ですが、1日1回では、対応が遅れる場合や日常が忙しく、頻繁には時間がとれないということもあり得ます。ですが、最近では、生活に密着したさまざまな安否確認サービスやグッズが登場しています。

見守りができるサービスやAIの活用

たとえば、近所には頼れる人がいないから、いざというときに駆けつけて対応してくれる警備会社のサービスが。まだまだ介護は必要ないけれど、念のために親の様子を見守りたいという人には、人感センサーを搭載したスマート電球やドアや窓に取り付けるセンサーなどが選択肢に。見守りカメラよりプライバシーに配慮しながら、生活を見守ることができます。また、親が1人暮らしで、話し相手がいなくて寂しがっているようなら、会話ができるロボットも。認知症予防になるとも言われ、一石二鳥の効果が期待できます。こうした最新のIoT家電やAIを搭載したロボットなどのサポートするグッズは、日々進化し続けています。

第5カ条

介護費用捻出に自宅売却の対策は早めに


介護の費用は、親の年金や手持ち資金で賄うのが基本です。ただし、親の年金が少なかったり、施設介護費がかさんだりと、お金が足りなくなる可能性が出てくることがあるでしょう。そんな時に考えられるのが、親の自宅の売却。親のどちらかが亡くなり、残された親が施設に入居すると、実家は空き家です。売却することで介護費用の捻出になります。ただし、認知症などで判断能力が不十分になり、意思確認ができないと、定期預金の解約や自宅の売却ができなくなります。成年後見制度を利用することで、売却が可能になるので、制度名だけでも覚えておきましょう。

成年後見人制度は、認知症などで判断力が低下した場合に頼れる制度

もし、親に介護が必要となったら…。別居での介護は難しいと決めつけてしまいがちだと思います。ですが、家族みんなの協力や介護サービスの活用など、さまざまな方法を模索していくことで、離れて暮らしていてもできる介護の方法は見つかるはずです。「離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本」では、実際に介護をしている方の声とともに、介護の際に起こることやその対策を解説しています。もしもの時に備えて、自分だったらどんな風に介護をしたらいいのかの参考にしてみてください。

文=酒井富士子(経済ジャーナリスト)

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