小6娘のグループLINEが無法地帯!親がどこまで関わるべき?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月発売の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第90回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6の娘のスマホにおけるコミュニケーションに関する相談です。我が家の方針としては、宿題などやるべきことが終わっていれば、夜9時までならスマホは自由に使ってOKというスタンス。ただ、LINEについては家族間限定にしていました。ところが6年生になり、「友達ともやりたい」と娘が言い出したため、仲のいい子と1対1ならと許可しました。しばらくすると今度は「やっぱりグループLINEもやりたい」と言い出しました。そこで、親の監視が入ることは友達にも伝えたうえで、それでも差支えなければやってもいいということで使わせてみることにしました。

初めはそれでうまくいっていたのですが、いつしかクラスの半数近くが入る大人数のグループLINEにも参加し始めました。男子も女子もいて、娘とはあまり親しくない子達も所属するグループです。とりあえず様子を見ていたのですが、次第にやり取りが活発になっていき、スタンプを連打したり、画像や動画を流したりする子が増加。無法地帯のようになっていきました。他の子たちがやってるぶんにはまぁいいかと思っていたのですが、次第に娘も調子に乗り出し、スタンプを連打したり画像を流したりするように。これはちょっとよろしくないなと眺めていたところ、ある日、娘が友達3人の実名を入れて作成した交換日記サイトの画面をスクショし、それをグループLINEにあげていたのを発見しました。そこで、さすがにもうストップをかけたほうがいいと思い、個人情報を載せるのはよくないこと、かつ友達3人だけの名前を載せていたけど、他の人が見たらどう思うか考えたことがあるのかということを切々と説明。もちろんデータは削除し、そのグループLINEからも一旦退会させました。

そんなことがあり、スマホ上のコミュニケーションに関してどこまで親が関与すべきなのか、その適切なラインの判断に迷っています。外部サイトに友達の名前を載せるのは完全にアウトだから叱るべきと思うのですが、グループLINEの中での口調がすごくぞんざいなところも気になります。仲のいい友達との間のコミュニケーションとしてであれば構わないのですが、それを大人数の人がいるところでやってしまうと、見ていて不快になる子もいると思います。でも、実際のリアルな関係性がわからないため、口を出しづらいところもあります。基本的には失敗して自分で学んでいくべきものだとは思うのですが、LINEでの友達間のコミュニケーションに、どこまで親が口を出すべきなのかという判断に悩んでいます。(Tさん・43歳)

【小川先生の回答】

本人ひとりの力で解決できるかを判断基準に

とても丁寧にお子さんを観察し、本人の自己決定力を育てようとされていますね。まさに「見守る子育て」をなさっていると感じます。この場合、親が介入するか否かの判断基準は、本人の力で解決可能かどうか。子どもの自主性を意識しすぎると判断が難しくなります。本人でなんとかなるのであれば任せてあげればいいし、まずければ手を出すとシンプルに考えればいいのです。ですから、子どもの成長に合わせてその基準も変わっていきます。

本人ひとりの力で解決可能かを考えた時、例えばリアルな人間関係であれば、ちょっと失敗して人に嫌われても、それは本人自身がそこから学べばいいだけのことです。でもネットの世界では、後で取り消そうとしても手遅れということもありますよね。ですから失敗した後の立て直しができないことや、取り返しのつかないことは、前もって禁止するなり、十分に言い聞かせるなりしておく必要があります。「あなたの努力でなんとかなるものについては、ママは信頼しているけど、気づかないところで大事になる可能性があることについては、先に口出しして止めるよ」と、親介入のルールを決めておいたほうがいいでしょう。

集団における群集心理は暴走を生みやすい

ネットの世界においては、子どもの想像力が至らない結果思いもよらない問題に発展することもよくあります。ですから、予測可能な心配事については、先に知識として教えておいてあげることも必要です。スタンプ連打を迷惑に感じる子がいるということも、Wi-Fi環境が整っていない家庭ではサイズが大きい画像や動画の受信にもお金がかかるということも、おそらく知らずにやってしまっているところもあると思います。

また、言葉の選び方に関しても、本人は「友達同士でやっているからいいじゃないか」と思っているかもしれません。でも、ネット上の言葉の投げつけ合いというのは、とても暴走しやすいものだということも教えておいたほうがいいでしょう。

例えば、SNSなどで誹謗中傷されて自殺してしまう事件が度々起こっていますよね。あの加害者たちはみな「そんなつもりはなかった」と言うように、それこそ「他の人たちもやってるし」くらいの感覚で行っているのです。

でも実は、集団の中での群集心理というものがあり、集団でやっているとどんどん暴走していってしまうもの。他人を平気で誹謗中傷するような、どうしようもないごく一部の人たちだけの問題、ではないのです。誰しも集団意識の中では、感覚が麻痺して善悪の区別がつかなくなる危険性をはらんでいます。「周りがやっているから自分も汚い言葉を使う」というのも、これと同じ。「みんなやってるからいいでしょ」という論理は通用しないということは、しっかり教えておいたほうがいいでしょう。

傷つくかどうかは相手が決めること

言葉遣いをどこまで注意すべきかについても、リアルな世界の関係性についてそこまで細かに事情を汲み取らなくてもよいでしょう。原則として、人は傷つけられる言葉を好まないし、現に傷つくかどうかは相手が決めることです。投げつける側が「これなら大丈夫」と決められるものではないのです。

ネット上に溢れる心ない言葉を反面教師として実際に見せてみるのもいいと思います。親としては、こういう言葉を使う人に育ってしまうのは許容できないこと、どういう言葉を使うかで人からの印象は変わるものだということも、教えておいたほうがいいですね。それで本人が「わかった」と言えば、それを信じればいいと思います。

加害性・問題性があるのを意識することなくその場の「ノリ」に乗っかってしまうのと、わかったうえで乗っかるかどうか判断できるようになるのとでは、大分違います。一番怖いのは無意識の暴力。本人が知らずに加害者となってしまう前に、親として予測できる危惧はしっかり伝えていきましょう。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。

文=酒詰明子

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