イタリア人のマッシさんが日本の「コメダ」を大好きな理由は? マッシ流・コメダモーニング攻略法をご紹介!(2)

#食   
コメダ珈琲のモーニングカスタム

『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』2話【全5話】


noteで驚異の95万PVを記録した「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」が話題の日伊通訳者、マッシミリアーノ・スガイさん。
日本の伝統料理からB級グルメ、チェーン店、コンビニスイーツ、冷凍食品まで。イタリアのピエモンテからやってきたマッシさんが、日本で出会った美味しい食べ物について綴った書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』は、食の感動体験をまとめた愛情たっぷりのエッセイ集です。

この書籍から、今回は『「コメダ」を大好きな理由と僕流の食べ方』をご紹介します。マッシさんの感動と驚きに満ちたエッセイを読むと、私たちがいつも当たり前のように食べているあの料理が、何倍もおいしく感動的に感じられるはず!

※本作品はマッシミリアーノ・スガイ著の書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』から一部抜粋・編集しました。

「コメダ」を大好きな理由と僕流の食べ方

著者:マッシミリアーノ・スガイ

日本の喫茶店文化をいつの間か大好きになっていた。知らないうちに、喫茶店の常連になっていた。その中でも、僕の心をつかんで離さない喫茶店チェーンがある。その名は「珈琲所 コメダ珈琲店」。
 たくさんある喫茶店の中で、なぜコメダ珈琲店がより大好きになったのか? その理由を皆さんに知ってもらいたい。

 まずは「モーニング」。ドリンクにほかのメニューが無料で付き、セットになっているこのようなシステムは、イタリアにはない。この時点で、日本の喫茶店が大好きになったことは想像がつくだろう。

 例えば、コーヒー分の値段を払うだけで、あのような立派なモーニングセットが食べられるなんて、夢のような世界だ。コメダ珈琲店の場合は、分厚いふわふわの食パンが付き、さらにゆで卵、卵ペースト、おぐらあんの3種類のうちからひとつを選ぶことができるだけではなく、なんとマーガリンかジャムを付けることもできるのだ。

 ある日、友達に誘われて初めてコメダ珈琲店に行った。すでにモーニング文化を知っていた僕は、その日もお腹を鳴らしながらCセットを頼んだ。Cセットには名古屋名物のおぐらあんが付く。食パンにはいちごジャムを塗ってもらうことにした。

 いつも行く喫茶店で出てくるような食パンを想像していた僕は、出てきたパンの分厚さにまず驚いた。「これはまるで本の厚みだ」とびっくり。パンを一口食べた。その瞬間、僕の背中から天使の羽が生えてきた。今にも飛び立ちそうな衝動を必死に抑えながら、食パンを味わった。

 この分厚さなのに、ふわっと口の中で柔らかくバウンドする食パンは、しっかりとした甘みがあって言葉にできないおいしさだ。いちごジャムは、コメダ珈琲店にはジャム塗り職人がいるのか? と思うくらい絶妙な薄さで塗ってあり、ちょうどいい濃さ。言うまでもなく、最高だ。

 目の前に座っていた友達に心配されるくらい感動していた僕は、自分でもびっくりするくらいのいいアイディアを思いついた。「Cセットのおぐらあんを、食パンの中に挟んだら最高じゃないか?」と。食パンの白い部分に穴(切れ目)を開けて、その中にまず軽く塩を振る。ちなみにこの塩はテーブルに置いてあるから自由に使える。そこにおぐらあんを詰め込んで、軽くぎゅっと押して完成だ。

 一口食べた。今度は、大天使ミカエルのような立派な翼が生えてきた。

 ぎゅっと押すことで、まるであんぱんのように、食べ応えがぐんとアップする。最初に振った塩はあんの甘さによくマッチし、味に深みが出てくる。いちごジャムとの相性はもちろん、抜群に最高だ。

 こんなにも人を幸せにする喫茶店を、僕はほかに知らない。この最高のモーニングセットを、コーヒーと一緒に最強な組み合わせで楽しんだ。

 イタリアの朝ごはんも甘い系、パン系、笑顔が出る炭水化物系が多いから、ちょっとイタリアを感じる。さらにお金を足せばサラダまで食べられる。最高としか言いようがない。

 ブレンドコーヒーも飲みやすくて、苦味や酸味は強くもなく弱くもなく、すごくよいバランスだ。マグカップのデザインもとてもかわいくて、コーヒーをおいしく感じる。そしてなんと、11時以降にドリンクを頼むと、豆菓子というプチな幸せが付いてくる。

 食事はサンドイッチからパスタまである。そして忘れてはいけない、デザートまでおいしい。サンドイッチのパンは軽く焼いたものもあり、表面はサクサクで中はふわふわ。サンドイッチを嚙むたびに、その食感が伝わってくる。

 コメダ珈琲店のいいところは食事やドリンクだけではない。どこの店に行ってもすばらしくいい雰囲気を感じる。木を基調とした店内と赤いソファーの雰囲気は、不思議の国のアリスの世界にいるような気持ちになる。

 スタッフも、社員、アルバイト関係なく優しさにあふれていて、距離のない仲間や家族のように接してくれる。思わず「ただいま!」と言いたくなる。もし言ったら「おかえり!」と返してくれたらうれしい。このようなフレンドリーさは、イタリア人にとっては重要なポイントだ。もし一人で行ったとしても、寂しい気持ちにならない。

 コメダ珈琲店の魅力をわかってもらえただろうか。もしまだわからない人がいたら、遠慮なく連絡してほしい。「もう大丈夫!」と言われるまでコメダ珈琲店のすばらしさについて永遠に語れる自信がある。

筆者プロフィール

マッシミリアーノ・スガイ
1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。 日本食が大好きな日伊通訳者&起業家。トリノ大学大学院文学部日本語学科修士課程修了。2007年に日本へ渡り、日本在住15年。現在は石川県金沢市に暮らす。食と日本への愛を語り倒すTwitternoteが話題を呼び、メディアにも多数取り上げられるなど注目を集める。noteの「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」は95万回以上読まれた。

著=マッシミリアーノ・スガイ、挿絵=東麻マユカ/『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)

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