しゃべり出すと止まらない息子に友達もポカン。コミュニケーション能力を上げるには?【小川先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第106回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6の息子は友達とコミュニケーションをとるのが下手です。相手の興味やその場の雰囲気などおかまいなしに、自分のしゃべりたいことを突然ワーッと話し始めてしまうため、お友達が割とポカンとしてしまう状況を私もよく目撃していました。そのせいもあり、最近友達から距離を置かれるようになってしまいました。放課後にいつも遊びに行っていた友達に、「他の子と話したいから来ないで」と言われたとのこと。本人は「来ないでって言われたから行かない」と、なんとなく傷ついている雰囲気はあるものの、その原因が、急に話し出したり、相手が興味のない話を延々としていたりという自分の話し方にあるとは気づいていないようです。

いきなり話し出すのではなく、それについて知っているかや興味があるかなどを軽く聞いて、雰囲気を作ってから話せるようになればいいと思うのですが、頭に浮かんで「話したい!」と思うと、止まらなくなるよう。家で話している時も、思いついたことをバーッと話していて、本人にも話のゴールが見えていない感じがします。このまま中学に上がって、ますますお友達とうまくやっていけない状況になったらと思うと不安です。話し始めるタイミングを考えたり、相手の反応を見ながら話したりなど、うまくコミュニケーションをとれるようにするには、どうしたらよいでしょう?(Oさん・42歳)

【小川先生の回答】

しゃべらずにはいられない本人の事情を確認する


まずは、話したくなると止められなくなる本人側の事情を聞いてあげる必要があります。というのも、「話したいことの半分だけにしよう」とか、「さわりだけ話してみて聞きたそうなら続きを話そう」など、話をコントロールする方法論から入ってしまうと、逆に何もしゃべらなくなってしまう恐れがあるからです。全部しゃべる子の場合、「じゃあ全部しゃべらなければいいのね?」と極端に振れやすいため、そこは気をつけてあげましょう。

それに、話し方をコントロールするには、本人が抱えている「話したい!」という切迫感の度合いも関係してきます。もしかしたら、浮かんだことをその時に全部話さないとなくなっちゃうと思っているのかもしれないし、逆に、本人はそんなに一生懸命しゃべってるつもりなどないのかもしれません。ただ、しゃべり出したら全部がつながって、しゃべり終わるまで完了しないだけかもしれませんよね。本人がどんな気持ちで話しているのか、その衝動や切迫感のところは確認しておきましょう。

「ちゃんと聞いてもらえる」という安心感を渡してあげる


自分でもゴールが見えていない状態でしゃべっているようとのことですが、大人でもそういう人って多いですよね。私のところに相談に来る人の中にも、途中から「私は何を相談してるんでしょう?」となってしまう人がよくいます。それは相談者のスキルの問題というよりも、心理的なところが大きく関係しています。相談する時というのは、みんな悩んでいますよね。そのため「聞いて欲しい!」という感情が先に立ってしまい、着地点を見失ってしまうのです。

それと同じことが息子さんにも起きていると考えられます。「聞いてもらわなきゃ!」と焦るあまり、整理もなくしゃべってしまっているのです。友達との関係でも、距離を置かれているからこそ、近くに来た時に「今言わなきゃ聞いてもらえない!」と思って一生懸命しゃべってしまうのではないでしょうか。ですから、まず大事なのは、こちら側がちゃんと聞く姿勢を示してあげること。本人が何か話そうとしたら、「OK。ちゃんと聞くよ」と安心を先に渡してあげるようにしましょう。「必ず聞くよ」という約束があれば、慌てる必要もなくなります。

話したいことのテーマや結論を確認する


心理的に安心できれば、あとは技術的な話し方の練習をすればいいだけ。全部しゃべらずとも相手に伝えるためには、国語力が不可欠です。何の話題を話そうとしているのか、最終的に何を伝えたいのかなど、その話のテーマや結論を最初に確認しておく練習をしましょう。そのためには、本人が何かしゃべり始めたら、「ちゃんと聞くからひとつ質問。最後はどういう話になるの?」と聞いてからしゃべらせてあげること。それができるようになるだけでも、随分話が上達するはずです。

話したいことを段落分けして、目次づくりをする


次のステップは、本人が話したいことを整理して段落分けすることです。「これから話すのは、大きく分けるといくつの話になりそう?」と聞いてあげ、段落分けする目次づくりを手伝ってあげましょう。そして、「その中でも絶対に言いたい話はどれ?」と、話したい序列を作っていき、最後に話す順番を考えます。実は、話が上手い人というのは、そういうステップを自然とやっているもの。ただ、一気に全てを習得するのは難しいので、ワンステップずつ練習していきましょう。息子さんの場合は、まだ自分の話したいことの目次整理ができていない状態なので、そこの力を高めていくことを目標に置くといいと思います。心理的な落ち着きを手に入れて、整理して話す力が身につけば、友達との会話も円滑に進むようになると思います。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『素直に人の話を聞ける子なので、訓練すれば吸収や上達も早いです』
コミュニケーション能力が低いというより、根底にある不安感から焦っているだけ。心理的な安心さえ得られれば、あとは話し方のテクニックを身につけるだけでOKです。息子さんは親に対しても心を開いていて、ちゃんと聞く耳を持っているので、やり方を教えてあげればどんどん吸収して上達すると思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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