一番だしの風味豊かなあんに揚げた旨味を閉じ込めて!「なすと豆腐の揚げだし」【プロが教える和食の基本】

#食   
一番だしの風味豊かなあんに揚げた旨味を閉じ込める

『プロが教える和食の基本 素材の旨味を引き出せば究極に美味しくなる』 7回【全10回】


普段使いの食材や調味料で作るいつもの味に飽きてきたら、プロの技を試してみませんか?
「美味しさには理由がある」「なぜ美味しくなるのか?」という考え方に重点を置き、和食の定番料理を中心にプロのコツを紹介してくれるのは、料理人の関斉寛さん。
味に差がつくひと手間を踏まえながら、家庭で極上の料理を作るコツをお送りします。

なすと豆腐の揚げだし

一番だしの風味豊かなあんに揚げた旨味を閉じ込める

一番だしの風味豊かなあんに揚げた旨味を閉じ込める和の基本料理

主な旨味成分

一番だし(イノシン酸、グルタミン酸)
大根(グルタミン酸)

◆材料(2人分)
なす 1/2本
絹ごし豆腐 50g
片栗粉 適量

〈みぞれあん(作りやすい分量)〉 
A
 一番だし (作り方は下記参照)180ml
 濃口しょうゆ 20ml
 みりん 20ml
大根おろし 30g
水溶き片栗粉 15ml

揚げ油 適量
しょうが(おろし)、小ねぎ(小口切り)、刻み海苔 各お好みで

◆作り方
1 鍋にたっぷりの水(分量外)と豆腐を入れて火にかけ、豆腐がよく温まったらザルに上げ、キッチンペーパーに包んでおく(水切り)(一)。

豆腐をゆでて水切りをしておくと揚がりやすい

(一)豆腐をゆでて水切りをしておくと揚がりやすい
中心まで火入れして水気をしっかり抜いておきます。揚げるときに水分が残っていると油はねの原因に。

2 なすは縦に2等分し、皮目には格子に細かく、内側には縦に切り込み(二)を入れる。

なすに切り込みを入れると味がしみ込みやすい

(二)なすに切り込みを入れると味がしみ込みやすい
皮目に浅く包丁を入れて傷をつけ、内側に隠し包丁を。さっと火が入るのと、味のしみ込み、食感が向上。

3 みぞれあんを作る。鍋にAを入れて火にかけ、ひと煮立ちして味がまろやかになったら、大根おろしを加えて弱火にする(三)。混ぜながら水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。

固まりすぎないように沸かさずにあんを作る

(三)固まりすぎないように沸かさずにあんを作る
水溶き片栗粉を加えるときは沸かさずに。グラグラの状態では片栗粉が一気に固まり、ダマになりやすい。

4 豆腐は2等分し、豆腐となすに片栗粉を薄くまぶす(四)。160℃の油に豆腐を入れてサクッとなるまで2分ほど揚げ、強火にして油の温度が170℃に上がったらなすを加えてさっと揚げる(五)。バットに上げて油をきる(六)。

薄く片栗粉をつけるとさくさくに仕上がる

(四)薄く片栗粉をつけるとさくさくに仕上がる
ハケを使うと片栗粉が薄くまんべんなく密着。揚げたときに衣が均一になり、口当たりもよくなります。

なすの水分を残すようにさっと揚げる

(五)なすの水分を残すようにさっと揚げる
豆腐はしっとりと揚げて中まで温め、なすはサクッと軽く仕上げたい。油の温度を意識して時間差で投入。

油をよくきってあんが薄まらないようにする

(六)油をよくきってあんが薄まらないようにする
キッチンペーパーに余分な油を吸わせてからあんと合わせます。こくを残しながらも、上品な味になります。

5 器に盛ってみぞれあんをかけ、お好みでしょうが、小ねぎ、刻み海苔を添える。

美味しいだしの取り方

昆布だし

湯冷ましした軟水で、旨味を引き出す。
あっさりとした鍋物や煮物に

◆材料(作りやすい分量)
昆布 10cm角
水 1L

◆作り方
鍋で湯を沸かし、火を止めて人肌まで冷ます。ボウルに入れ、表面をさっと拭いた昆布を加え、冷蔵庫で一晩(8〜10時間)浸す。

湯冷ましした軟水で旨味を引き出す

湯冷ましした軟水に浸しておくと旨味が格段に違う。

一番だし

澄み切った黄金色。
吸い物など、だし自体を味わう料理に

◆作り方
1 昆布は沸く前に取り出す
昆布だしを鍋に移し火にかける。60℃位で昆布を取り出して香りが飛ぶのを防ぐ。

昆布は沸く前に取り出す


2 アクをよくすくう
そのまま沸かしてアクをよく取る。雑味がなくなる。火を止め粗熱を取る。

アクをよくすくう


3 温度を測る
温度が下がり、80℃になったら4の工程へ。1℃違うと風味が変わるので測る。

温度を測る


4 かつお節を加える
80℃になったら、かつお節を加え、沸騰しない火加減をキープし1〜 2分煮出す。

かつお節を加える


5 静かに流し入れてこす
ボウルにザルを重ねてさらしを敷き、 4をこす。かつお節は押さない。

静かに流し入れてこす


6 冷蔵庫で2日保存可能
5のとき、ボウルに菜箸を渡して、その上にザルをのせるとこしやすい

冷蔵庫で2日保存可能


レシピを参考にするときは

・「旨味」とは、「素材が本来持つ美味しさ」の意味、「旨味成分」とは、たんぱく質を構成するアミノ酸(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸)の意味で記載しています。

・特に記載がない場合は、砂糖は上白糖、塩は自然塩、酢は穀物酢、酒は清酒、みりんは本みりん、小麦粉は薄力粉、梅干しは塩分8%を使用しています。

・液体の5mlは小さじ1、15mlは大さじ1、200mlは1カップで計量できます。

・水溶き片栗粉は、片栗粉と水を1:1の割合で混ぜた分量を記載しています。

・黄ゆず、木の芽、白板昆布以外は、スーパーで購入した食材と調味料を使用しています。

・野菜類、きのこ、豆類、果物は、特に記載がない場合、洗う、皮をむくなどの作業をすませてからの手順です。

・フライパンは鉄、鍋はアルミの雪平鍋を使用しています。

・特に記載のない場合、火加減は中火です。

※本記事は関斉寛著の書籍『プロが教える和食の基本 素材の旨味を引き出せば究極に美味しくなる』から一部抜粋・編集しました



著=関斉寛/『プロが教える和食の基本 素材の旨味を引き出せば究極に美味しくなる』(KADOKAWA)

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