何をするにもどこへ行くにも「ママもいて」。片時も離れず尋常じゃない甘えん坊の5歳息子【小川先生の子育てよろず相談室】

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何をするにもどこへ行くにも「ママもいて」。片時も離れず尋常じゃない甘えん坊の5歳息子【小川先生の子育てよろず相談室】

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第116 回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6と年中の息子がいます。上の子は小さい頃から結構手がかかる子だったのに対し、下の子は割と自分でチャキチャキやるタイプ。そのため、私も「この子なら大丈夫」と思っていた節がありました。ところが最近になって、ようやく上の子も手がかからなくなってきたと思ったら、今度は下の子のほうがものすごく甘えてくるように。常に私の隣にいて、自分が違う部屋に行く時も「ママついてきて」と全部ついて来させようとしたり、テレビも「僕が見てるの一緒に見て」と言ったりなど、とにかく私といる時は、常にベタベタしている感じです。甘えるのはいいのですが、他の5歳のお友達などと比べると、ちょっと尋常じゃない甘え方のような気がして心配です。(Tさん・38歳)

【小川先生の回答】

0~3歳の愛着形成期に自己肯定感の根っこが養われる


子どもにとって、0~3歳頃までの親との距離感というのは、とても大事なものです。この時期にたくさん抱っこしてもらう、いっぱい笑顔を見せてもらう、温かく声をかけてもらうという日々重ねることによって、「パパやママは自分のことが好きで近くにいてくれる人だ」という確認ができます。そして「自分は存在しててOKなんだ」という心の安定が育まれるのです。これを愛着形成といい、大体3歳くらいまでに確立されると言われています。そのため、この時期に愛着形成が著しく欠落していると、大人になっても自分に自信が持てなかったり、人との距離を縮めるのにブレーキがかかったりなど、人格形成に影響を及ぼすことがあるとも言われています。

待っててくれただけで、1人で平気なわけじゃない


今の弟くんの様子というのは、0~3歳までの間に得られるはずだったママとのスキンシップや、「ここにいて大丈夫だ」という安心感を急速に取り戻そうとしているように見えます。昔から自分でチャキチャキやっていたということですが、それは彼がものわかりが良く、お母さんが大変なことをわかっていたから。「今はお兄ちゃんの番」ということで待っていてくれてたのです。そしてお兄ちゃんが落ち着いてきた今、「次は僕の順番だよね」と言ってるだけ。つまり、彼は小さい時からずっと待っていてくれただけであり、決して1人で平気だったわけではないということです。

だから5歳だろうと関係なくベタベタ甘えて当たり前。ママは常にそばにいて、自分が見たらママもこっちを見てくれる、同じものを見て同じところで笑ってくれる、そういった母子同一の時間を求めているのです。母子分離が先に来てしまったことで、抜けた状態になっている母子同一の時間を埋めようとしているだけだから、それが埋まり切ったら段々離れていくと思いますよ。だから今は、「一緒だよ」「好きだよ」というメッセージをたくさん伝えてあげ、十分に甘えさせてあげてください。

自分を責めるのではなく、順番通りに満たしてあげればいいだけ


こういった話をすると、ほとんどのお母さんたちは反省して辛くなってしまいがちですが、それも違います。弟くんが待っててくれたのは、ママも大変で一生懸命だということをわかっていたから。納得して待っていてくれたわけだから、自分を責める必要はないのです。ただ、今ようやく弟くんの番が来たんだから、順番通りに満たしてあげればいいだけ。抱きしめて「ありがとう」と言うだけです。

実は、こうした状況に陥っているご家庭が最近とても増えています。情報過多な今、特に勉強がらみのことなど、してあげられる情報も多いため、どうしても上の子に一生懸命になりやすいのです。課題点が見えやすくタスクにも落とし込みやすい勉強に比べ、子どものちょっとした心の育みというのは表面的には見えないもの。そのため、後回しになりやすく、後になってから問題が表面化してくることもあります。言語能力が柔軟に使えていない子などは、気持ちをうまく伝えられずに不安が積もり積もった挙句、「僕なんかいらないんだろ」という気持ちが爆発して、怒ったり苦しんだりしてしまうケースも。弟くんの場合は、ちゃんと「ママと一緒にいたい」という意志表示をしてくれているわけだから、とてもよくできた子です。しかもママのキャパでできるところを求めてくれているだけだから、「なんていい子」と愛おしく思えばいいだけです。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『親がスタンスを変えれば、子どもはちゃんと許してくれます』
子どもはいつでも親を受け入れてくれるから大丈夫。昨日までをくよくよしたり、後悔や絶望をする必要は全くありません。今日から子どものほうを向いて一緒にいたら、それで子どもは許してくれますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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