結婚したけど家事が苦手。そうだ「東大」行こう！ある主婦の破天荒な受験ストーリーが話題

当初は主婦業を攻略しようとするも、どうしてもうまくできない。そんなただっちさんが熟考の末に定めた目標が「東大を受験しよう！」というもの。突拍子もない目標にただっちさん自身も戸惑い、そして打ち明けられた夫はさらに困惑。

そこから実際に東大大学院を受験するまでの3ヶ月間はまさに破天荒！ただっちさんの努力と葛藤に胸を打たれ、ちょっと見え隠れするおとぼけな場面にくすっと笑える、とにかく目が離せないストーリーなのです。

今回は著者・ただっちさんに取材を行ない、この壮大な受験エピソードの裏側と当時の気持ちを振り返っていただきました。

学部生時代も大学院を受験。しかし両親に反対され、就職の道を選んだ過去

――思いつきのような形で始まった東大大学院受験ですが、この以前にも受験をしようと思っていたことはあったのでしょうか？

ただっちさん 本当は学部生時代にも大学院進学を考えていて、元の大学の院試も受験していました。でも、両親に反対されてしまい、そのまま就職しました。大学院に進学しても就職の役に立たないから、という理由でした。今思えば全然そんなことないのですが、その時は自分でも納得してしまい、納得させる努力も足りていなかったと思います。

――主婦業が苦手だから学問を究める！という発想がとにかく斬新だと思いました。夫へ宣言したほかに、誰かに打ち明けたりされたのでしょうか。

ただっちさん 受験することは夫以外には打ち明けていませんでした。「とにかく絶対合格する！合格して当たり前！」というマインドで最後まで走り抜けたかったので、否定的な言葉を一切耳に入れないために秘密にしていました。

夫は働いているのに、私だけ受験勉強。罪悪感を払拭してくれたのは、全力で頑張る自分の姿だった

――受験を迷っているとき、「夫は働いているのに、自分は働かずに無謀な受験に（大金をかけて）挑戦して…いいのだろうか」という引け目のような気持ちを持っていたエピソードがありました。これがふっきれたのは、どんな心境の変化がきっかけだったのでしょうか？

ただっちさん 初めは罪悪感があったのですが、勉強生活を始めるうちに1日1日を大切に、全力で頑張れているという実感が湧いてきたことが大きいと思います。昼寝やゲームばかりして、ろくに家事もできていない時の方がむしろ罪悪感が大きかったです。もちろん、夫は働いているのに…という気持ちは進学後もあったので、完全にふっきれたと言えるのは、自分でお金を稼げるようになってからです。家族といえども、やっぱりお金を出してもらっているという意識はどうしても消えなかったので、今思えば、自分で働き、お金を貯めてから挑戦するのが一番良かったのかもしれません。本当に許可してくれた夫には感謝しかありません！

いざ始めた受験勉強で無謀なチャレンジだと自覚。それでもモチベーションを保つために…

――試験勉強を始めるころに、難関すぎてこれは無謀すぎるかもしれない…という気持ちになったエピソードがありましたが、受験をやり遂げよう！という一番のモチベーションになったのはどんなことでしたか？

ただっちさん 無謀だと感じるたび、いつも考え直していました。どんな人生にしたいか、何を成し遂げたいか、どんな自分になりたいか、もし明日突然死んでしまったら何を後悔するのか。それが明確になればなるほど、生きてるだけで無限の可能性があると実感できて、悩んでる時間がもったいない！とポジティブなモチベーションが湧いてきました。

日々忙しく働いている夫の手前、無謀な挑戦に後ろめたさを感じていたというただっちさんの心情。それでもその罪悪感を払拭してくれたのは他でもない、全力で目標に向かっていたただっちさん自身の姿でした。
大人になると、今さら自分の人生を大きく変えるなんて無理…そんな風に考えてしまいがちですが、ただっちさんのように、行動することで開ける道もあります。日々を前向きに生きるヒントにしたいですね。

※本記事はただっち著の書籍『ただの主婦が東大目指してみた』から一部抜粋・編集しました

取材・文＝河野あすみ