夕食の献立も相談していたのに。未読スルーのまま夫不在の夜は更けて／わたしは家族がわからない（4）

「普通がいちばん」が口癖の母・美咲さん、パパが大好きな娘・ひまりちゃん。そして市役所勤めで真面目な父・誠さん。平凡な仲良し3人家族…と思っていた美咲さんでしたが、その思いは突然の夫の失踪で崩れ去ります。夫はどこで、何をしていたのか？1週間の不在から帰ってきた夫を、妻である美咲さんはどう迎えるのか？そして中学生になったひまりちゃんは、誠さんの秘密を知ることになるのです…。幼い頃は疑う余地もなかった、父と母が作り出していた「普通」の我が家。成長した娘によって、綻びはじめた家族の本来の形があぶり出されていきます。

いつからか家庭内でぼーっとしていることが増えた誠さん。会話をすればいたって普通なのに、美咲さんの呼びかけにもしばらく気づきません。浮気や離婚といったワードへのリアクションに不自然さを感じつつも、「心の平穏」が第一と冷静さを保ち続ける美咲さん。夕飯は家族揃って鍋にしようと約束した日、誠さんはなぜか帰ってきません。美咲さんがどう対応したのか見てみましょう。

※本記事はやまもとりえ著の書籍『わたしは家族がわからない』から一部抜粋・編集しました。