こんなに痛いのに「異常なし」!? 重い生理痛・卵巣のう腫破裂を経て出産した体験記が壮絶!

#美容・健康   
生理痛があまりにも辛くて病院に行くことにしたえんさんだったが…。「生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 生理痛編 第2話」より

女性ならではの悩みの代表格といえば生理にまつわるもの。PMS(月経前症候群)や生理痛がありますが、その症状は人によってさまざまです。また、重い生理痛には子宮筋腫や子宮内膜症といった疾患が潜んでいることも……。ブロガー兼インスタグラマーとして活躍するえんさん(@tamago_en)は、毎月ひどい生理痛に悩まされていたそう。その後、卵巣にできた腫瘍が破裂してしまい、ひどい痛みに苦しみました。2022年2月に第一子を出産した体験にあわせ、生理痛・卵巣嚢のう腫破裂の経験も漫画にしたところ、共感や反響の声が多く集まったそうです。えんさんに自身の体験についてインタビューし、重い生理痛で苦しんでいたころのお話を伺いました。

激しい生理痛で悶絶。3つの病院にかかるも「異常なし」と言われて……

20代のころから生理痛があったというえんさん。鎮痛剤を飲んでしのいでいたものの、年々どんどん痛みが強くなり、鎮痛剤も効かない状態になってしまったそうです。

なかでも記憶に残っている生理痛での辛い体験は「以前働いていた職場の先輩たちと久しぶりに会うことになったんですが、やっと都合のついた日に限って生理が始まってしまって。お腹は痛いけど、楽しみにしていたし、生理痛でドタキャンするのも申し訳ない……。そう思い、鎮痛剤でごまかしながら約束の場所に向かいました。痛みが表情に出ないように頑張りましたが、解散する時には激痛でもう立ってられない状態に。迷惑をかけないようになんとかタクシーに乗り込んで帰宅するものの、激しい痛みと情けなさ、自分の体を大事にして会うのを延期したほうが良かったのだろうかという葛藤で涙がボロボロ溢れてきました」とのこと。

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話第1話 05

せっかくの集まりが生理痛のために台無しになってしまう……。日常生活に支障が出るほどの痛みはなかなか困ったものです。

「仕事はデスクワークですが、痛みで座っていることもできないということも度々。別室でしばらく横にならせてもらうこともありました。ひどい時は顔が真っ青だったようで、上司の判断で早退したことも。早退したはいいのですが、その帰り道も痛みでなかなか動けず、しばらく道端にうずくまっていた経験も」

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 生理痛編 第2話 05

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 生理痛編 第2話 06

この痛みは尋常じゃないと病院にかかるも、結果は「異常なし」。もちろん、異常がないのはよいことなのですが、ではこの激しい生理痛はなんなのだと釈然としない思いを抱えていたそうです。しかし、4院目になる病院で「日常生活に支障が出るのならピルを飲んでみてはどうか」と提案されたことで、やっと長年の重い生理痛から解放される日がやってきたのでした。

ピルを飲んで「もう、あの激痛の恐怖に怯えなくていい!!」と感激したえんさん。ただ、ピルは毎日服用する必要があるので、飲み忘れをしないための工夫が必要だったのだそう。

「できるだけ毎日同じ時間に飲むように言われていましたが、飲み会の最中などにその時間がくると、薬を出しづらく、時間が過ぎていってしまうことが時々ありました。男性がいたり、生理痛のことをわざわざ話したくない相手がいる時に「何の薬?」と聞かれるのには抵抗も。今思うとトイレなどでさっと飲めば良かったな、と思いますが……。
飲み忘れ対策として、私にはアラームをかけることが一番効果的でした。当時は知らなかったのですが、薬ケースがついている小型の水筒なども市販されているので、外出の際はそういったものを活用するのもおすすめです」

産婦人科医に聞く「異常なし」の意味。「痛みがひどいのは治療対象です」

丸の内の森レディースクリニック 院長の宋美玄先生。女性のライフステージに合わせ、「病気」を診断・治療するだけでなく、QOL(生活の質)を保つ提案をしたいと語る

日常生活にも支障が出るほどの激しい生理痛。それでも複数の病院で「異常なし」と言われたえんさんですが、こういったことはよくあるのでしょうか? 丸の内の森レディースクリニックで女性のライフステージに合わせたケアを提供する宋美玄先生にお話を伺いました。

「生理痛が重いというのは月経困難症にあたるのですが、それには機能性月経困難症と器質性月経困難症の2つがあります。器質性月経困難症は子宮内膜症や子宮筋腫といった病気(器質的疾患)のことを指すのですが、これといった疾患がない場合は機能性月経困難症とされます。えんさんの場合、エコー(超音波検査)などで異常所見が見つからなかったことに対して「異常なし」と判断されたのでしょう。それでは、病気ではないのか、といったらそういうわけではないんです」

痛みで日常生活もままらない。そんな状態は治療対象になると宋先生は話します。

「いまだに、器質性月経困難症でなければ治療しなくていい、痛み止め飲んでおいて、といった対応をとる医療機関もありますが、辛い生理を緩和する方法はいろいろとあります」

えんさんの場合はピルを服用しましたが、宋先生によるとほかにも、IUS(ミレーナ)(※)や黄体ホルモン剤のジエノゲストといった方法があるそう。
※子宮内に装着されたあと、黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内避妊システム。高い避妊効果があるほか、月経困難症の治療に用いられる。

「ピルやホルモン治療の考えはいろいろとありますが、女性のヘルスケアに関わる立場としては、そもそも生理が毎月起き、排卵があるということ自体が体にとって負担であると考えます。生理の回数が増えると、子宮内膜症のリスクが高まります。子宮内膜症は激しい痛みを伴うだけはなく、不妊の原因になったり、ガンのリスクを上げてしまうものです。なので、生理痛があるという人はピルやIUS、ジエノゲストを視野に入れていいと思います。それぞれ、メリット・デメリットがあるので、その人の今後妊娠を希望するかのライフプラン、体質、年齢によって選択することをおすすめします」

生理痛の対策を知っていれば、自分から主体的に医療機関に聞くこともできるはず。生理痛に悩んでいる人はまず、気軽に産婦人科に相談してみてください。


えん
夫・ハト氏と、娘・ぽっぽちゃん(2022年2月誕生)の3人暮らし。
これまでの自身の体験や現在の日常をコミックで描く、インスタグラマー兼ブロガー。

取材・文=西連寺くらら
医療監修=丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄

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