卵巣が時限爆弾状態に! 痛み止めも効かない強烈な痛みの体験記に反響続々

#美容・健康   
手術まであと1ヶ月というタイミングでついに卵巣嚢腫が破裂。眠れぬ一夜を過ごすことになる。「生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 卵巣破裂編 第6話」より

毎月やってくる生理。それが心身に苦痛を伴うものだったら、憂鬱以外のなにものでもありません。ブロガー兼インスタグラマーのえんさんも、かつて重い生理痛に苦しんだ一人。あまりの激痛に病院に行くも「異常なし」と言われ、鎮痛剤を飲んで耐える日々を過ごしていました。しかし、4つ目の病院でピルの服用を提案され、それまでの重い生理痛から解放されます。めでたしめでたし……と思いきや、ピルを飲み始めてから数ヶ月経ったとき、主治医から思いもよらないことを告げられるのです。

なんと右側の卵巣がパンパンに腫れていて、いつ破裂してもおかしくない状態だったのです。手術を決めたえんさんでしたが、手術まであと1ヶ月というところでついに卵巣の腫瘍が限界に達し、破裂してしまいます。この壮絶な体験を漫画にした作品には大きな反響が寄せられました。えんさんに、当時の思いや状況をインタビューしました。

重い生理痛から解放されて一件落着と思いきや……卵巣破裂の危機!

ピル服用前のえんさんは、日常生活に支障が出るほどの生理痛に悩まされていました。ピル服用から数ヶ月して、卵巣の腫れをかかりつけの産婦人科から指摘されましたが、当時、体調に違和感などはあったのでしょうか?

「当時は仕事もプライベートも忙しかったのであまりゆっくりする時間がなく、ストレスを感じると胃が痛くなりやすかったり、風邪がなかなか治らなかったりということはありました」

当時の不調と卵巣の腫れの因果関係は不明ですが、少なくとも直接的には子宮や卵巣の違和感はなかったのだそう。そして、手術を待っている期間に卵巣が破裂。このときの痛みはどのようなものだったのでしょうか。改めて聞いてみました。

「初めは下腹部にズクンとした生理痛に近い痛みがあり、時間とともに右下腹部をピンポイントに突き刺されたような痛みがどんどん強くなっていきました」

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 卵巣破裂編 第11話 04

手術の結果、卵巣の腫れは袋状の良性腫瘍の中に液体がたまった『卵巣のう腫』であったこと、あわせて『子宮内膜症』であったことがえんさんに告げられます。子宮内膜症とは、子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜がなんらかの理由で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生してしまうこと。そもそも生理とは、古い子宮内膜が剥がれて、外に排出される=出血することですが、子宮内膜症の場合は本来あるべき場所以外で出血が起きるため、その血液を外に排出できず、溜まった古い血液のせいで炎症を起こしたり、周囲の組織と癒着が起きたりして、ひどい痛みをもたらすのです。特に、卵巣の中に子宮内膜症ができて古い血液が溜まって出来た卵巣腫瘍『卵巣のう腫』のことを『チョコレートのう胞』といいます。古い血液がチョコレートのような状態になり、袋状になるためこの名前がついています。えんさんの卵巣にもチョコレートのう胞ができており、これが破裂したのでした。

子宮内膜症は手術で焼いて取り除くことができますが、子宮内膜が本来あるべき場所以外でできてしまうことを止めることはできないので、再発する可能性があります。そこで術後えんさんは、黄体ホルモン剤であるディナゲストという薬を服用することになりました。ディナゲストを服用することで、生理を止め、子宮内膜症の再発を防止します。

体調が落ち着いてきたころ、当時お付き合いをしていた現在のご主人に、自身の体について話をすることにしたえんさん。

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 卵巣破裂編 第12話 03

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 卵巣破裂編 第12話 04

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 卵巣破裂編 第12話 05

「漫画には描いていませんでしたが、彼と過ごしている時に一度薬を飲み忘れ、その後に腹痛が起きたことがありました。これから一緒に過ごしていくのなら、そういった体のことをは伝えておいた方が良いかもしれないと思いました。また、お互いに年齢的に結婚も視野に入ると思っていたので、自分だけの問題でなくなることをも踏まえて伝えましたが「どう思われるかな?」と不安な気持ちはありました」

自分のそばにいる人に自分の体の不調について話すのは勇気のいることですよね。特に婦人科系の悩みは、今後の妊娠・出産にも関わることなのでえんさんが不安に思ったのも自然なことでしょう。

痛みがなくても卵巣のう腫があるかも!? 卵巣のう腫の困ったこととは

 丸の内の森レディースクリニック 院長の宋美玄先生。女性のライフステージに合わせ、「病気」を診断・治療するだけでなく、QOL(生活の質)を保つ提案をしたいと語る

そもそも卵巣のう腫ができるのはなぜなのでしょうか? 丸の内の森レディースクリニックで女性のライフステージに合わせたケアを提供する宋美玄先生に話を聞きました。

「卵巣のう腫ができる原因は2つ考えられます。一つは女性ホルモンによるもの。もう一つは腫瘍ですね。腫瘍は良性のもの、悪性のもの、境界悪性のものとあります。しかし腫瘍ができても、これが破裂したり捻転(捻れること)したりするまで気づかないというのはよくあることです。悪性腫瘍はガンを指すのですが、卵巣ガンでも破裂するまで気づかなかった……というのはよくあることですね」

えんさんはいつ卵巣のう腫が破裂してもおかしくない状態でしたが、破裂するまでは痛みや違和感はなかったとのこと。宋先生のお話によれば、これは一般的な事例だそうです。

また、「破裂するときは破裂するので、日常生活の中で破裂しないようにするというのは難しいですね。個人の努力や生活習慣でどうこうできるものではないのです」

子宮内膜症は激しい生理痛を伴う可能性があるため、のう胞に気づくチャンスがありますが、脂肪や液体が溜まる良性の卵巣のう腫だと不正出血や痛みなどの自覚症状がほとんど表れないため、のう腫がかなり大きくなるまで気づかなかったという話もあるそう。子宮ガン検査の時に内診やエコー(超音波)でたまたま発見されることも。それだけに、定期的な検査が大事になってくるそうです。
定期的に婦人科にかかっていない人は、これを機に定期検診を受けてみてはいかがでしょうか。

えん
夫・ハト氏と、娘・ぽっぽちゃん(2022.2誕生)の3人暮らし。
これまでの自身の体験や現在の日常をコミックで描く、インスタグラマー兼ブロガー。

取材・文=西連寺くらら
医療監修=丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄

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