カマかけたら夫の浮気発覚…！『カマかけたらクロでした』うえみあゆみさんに聞く衝撃の日々

子どものためにもつらい出来事を描くことで答えを出そうとし続けました

――まず、タイトルが強烈です！　決まるまでの経緯などがあれば教えてください。

｢実は、なかなか決まらなかったんです。編集部の担当者さんと電話やメールで相談していて、とうとう地元にも来てもらって何時間もネタ出しをしたのを覚えています。一緒に考えるだけ考えて、力が尽きた時にふと出たのがこのタイトルでした。

『カマクロ』という呼び名ができたり、ほめていただくことも多かったり、高評価で受け入れてもらえて正直ホッとしています｣

――｢新婚の時から不仲｣だったそうですが、結婚前の恋人時代はどんなカップルでしたか？　結婚を決めたきっかけも教えてください。

｢恋愛時代は私のほうが夢中でした。“恋愛の蛇口が全開”という感じで、ゾッコンでした。夫は私の話をニコニコ聞いてくれて、私の知らないことをよく知っている優しい人でした。浮気癖については…私と付き合っていた時はなかったと思いたいです。

結婚するならこの人かなと思ったきっかけは、夫の不思議な存在感です。当時、私はCMプランナー(CMの話を考える仕事)をしていたのですが、周りに人がいると気になって集中を欠いていました。でも、ある日、夫が1～2時間も私の真後ろで仕事をしていたことに全く気づかないことがありました。

自分が集中している時にそばに人がいても気にならない、構えない存在感は初めてでした。仕事は毎日が他人との競争で、勝つか負けるかでしたから、構えないでいられる存在はとても大事でした。」

愛していれば、憎まないのか!?　夫婦ってそんなに簡単じゃないですよね

――浮気が｢クロ｣とわかった瞬間の気持ちを教えてください。

｢かなりの準備をして自白させたので、その瞬間の気分は、嘘をつき通す犯人の裏を取って自供に追い込んだ刑事のような達成感と勝負に勝った高揚感がありました。

そして、その後しばらくたってから、どばーーーっと涙がこぼれました。体の中にこんなに水分があるのかと思うほど出たのを覚えています。変なうなり声みたいなものが自然に出て、『人間って動物みたいな声も出せるんだ』と、頭のどこか冷静な部分で感じていたのを覚えています｣

――“カマかけ”や自白への段取りなどはすべて自分で考えたのですか？

｢はい、全部自分です。性根のところでは性格悪い人間ですから(笑)。最大のポイントは、仕掛けたその日に自白に追い込むことでした。夫が彼女と連絡を取る前に、仕事は一気に仕上げていかなくてはなりませんでした。なので、夫の心を自白へと一気に動かすフィニッシュ的演出が必要だと思いました。

私は、『探偵から浮気の証拠レポートは上がって来るけど、そんなの他人から聞くなんて悲しすぎる。…だから、最後のお願い…あなたの口から聞かせて』という逃げ口を用意しておきました。目的は自白ですから、ケンカしたり責めることではありません。

そのために、追い詰める時の声の張りや厳しい言葉使い、反対に、逃げ口に誘導する時の優しい表情やセリフを使い分けました。アカデミー賞でも取れるんじゃないかって勢いで演じました｣