塾にどこまでお願いしていいもの?上手な塾の使い方が知りたい!【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月15日発売の新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第64回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

中学受験を目指している娘は、いよいよ小学6年生。志望校も大分定まってきたところです。娘の第一志望の学校は、記述問題が多いため、その対策をそろそろ始めたいと思っています。でも、何をさせたらいいのかわからなかったため、娘に塾で聞いてくるよう伝えたところ、「どういうふうに考えたかを書く練習をして」みたいな、わりとふんわりとした答えが返ってきました。

私としては、具体的な問題と、できれば採点までしてもらえないかということまで期待していたため、少々がっかり。もちろん基本的には、家でやるべきことだとはわかっているのですが、やり方もわからないので、できれば塾の力もお借りしたいと思っています。でも、それをお願いしてもいいものかどうか、迷って動けない状態です。塾をどこまで図々しく使っていいものか、上手な塾の使い方を教えて欲しいです。(Yさん・43歳)

【小川先生の回答】


「要求」ではなく、「相談」というスタンスに徹する

塾の使い方に関する大事なポイントは、「要求」ではなく「相談」というスタンスを明確にすること。塾との関係も要は人間関係なので、要求に聞こえたり、権利のように主張されたりすると、モンスターペアレント的に見られて、その後の協力関係がどんどん悪化していきます。なぜなら塾の先生も忙しくて、そんなに余裕はないですからね。

でもその一方で、「困っていたら助けたい」というのが先生という人種。親御さんを助けたいという意識があまりない先生でも、絶対的に子どもの味方ではあるので、できることはしてあげたいと思っています。ですから相談する際は「こういう相談ってしていいかどうかわからないんですけど…」と前置きをつけるようにしましょう。そうすることで、「権利だからやってくれというつもりはない」「責任はこちらにある」という意思を明確に伝えることができ、先生もすんなり受け入れやすくなります。

希望は伝えるが、結論は相手方にゆだねる聞き方に

どんな相談でも、その前置きの後に自分の思っていることをそのまま続ければ大丈夫。今回のご相談に関していうなら、「記述を伸ばしてあげたいけど、親の自分がどこまでできるか自信がない。本人任せにするのもかわいそうなので、例えば本人が書いたものを先生に見ていただくとか、先生の方から追加宿題として何かいただいくなど、いい方法はありませんか?」という感じで相談すればいいと思います。

本人に対してやってあげたいという親の想いと、それをしてあげきれない悩みを口にしたうえで、「先生にお願いしていいかわからないけど、もしこういうことができたらすごく嬉しいのですが、どうでしょう?」と最後は先生側の意見を知りたいという聞き方をするのもポイント。そうすれば、先生もできる範囲のことを考えてくれると思います。また、無理なら無理でちゃんと説明はしてもらえると思うので、変にこちらがモヤモヤとストレスを感じなくて済みます。

一番よくないのは、相談していいものかどうかと勝手に身をすくめて、自力でどうにもならなくなってから、「どうにかしてください!」と要求するパターン。双方にとって一番しんどいです。待っていても塾は何もしてくれないので、こちらから動く必要がありますが、「家庭の側ががんばるべきことというのは十分わかったうえで相談するんですけど」というスタンスに徹すること。そういう家庭が塾に応援してもらいやすいご家庭です。

気持ちが伝わりやすいのは電話より手紙

相談する際は、電話より手紙がおすすめです。電話だと時間帯によっては、塾はとても嫌がるからです。ただでさえ忙しく詰まっている中、いつ終わるかわからない保護者からの電話は、結構しんどいものですからね。簡潔に要点をまとめて話せる親御さんは少数派だという現実もあります。

だからこそ、いつでも読める手紙は、こちらの時間を尊重してくれているのがわかるため、先生からしてもとても印象がよく有効だと思います。また手紙の中に、子どもから「先生いつもありがとう」というお礼の一文を入れておくのも効果的ですよ。

塾といい関係を築いておくと、受験本番の一番しんどい時期も、先生が気にかけていろいろアドバイスをしてくれるようになります。そういった意味でも、今から先生と良好な関係を作っておくことは大切ですね。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。


文=酒詰明子

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