受験生なのに危機感のない娘にイライラ。夏期講習のテキストもこなせそうもなく…【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月発売の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第80回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6の受験生の娘がいます。親子で受験勉強に悪戦苦闘する日々です。小川先生の著書を拝見して、塾の宿題を子どもの必要なものに絞ったり、やることを可視化してできるようになったことに〇をつけるという工夫をしたりしています。できることが増えているのがわかると本人のテンションも上がり、偏差値についてもいい兆しが見られ始めていたのですが、夏期講習が始まりまた煮詰まってしまいました。

夏期講習前の保護者向けの説明会で配られたシラバスには、前日の復習やその日の授業の基本的なところを見ておくようになど、やるべきことたくさんが書かれていました。そこで娘と一緒にスケジュールを立て、タイマーも導入して、50分やったら10分休憩するようにしたのですが、娘は休憩が待ち遠しくタイマーばかり気にする様子。そして休憩になるとタイマーを持ってどこかに行ってしまい、なかなか戻って来ないこともあります。そんな状況に私もイライラして、つい当たりが強くなってしまう毎日です。

また、夏期講習の分厚いテキストをこなすのに精一杯で(正直こなせていません)、復習の時間をあまり取れないのも悩みです。できるようになったと〇をつけてあげる機会も減り、本人のテンションも上がらないのかもしれませんが、勉強に対する前向きな姿勢が見られなくなりました。天王山と言われる夏なのに、娘からは危機感が感じられず、ふわふわとぼんやりした状態。

こんなんでうちの子大丈夫なのかと、とてつもなく不安で、私のイライラが募るばかりです。ほめてあげなきゃとは思うのですが、正直褒めるところが見当たりません。本人がやる気になるような、上手な声かけを教えて欲しいです。(Aさん・42歳)

【小川先生の回答】

本人が力を発揮しやすい環境を整えるのが親の役割

勉強をするのはあくまでも本人。本人の学び取り方を軸に、どうすれば学びやすいかを工夫するのが大人の仕事です。やるべき宿題を絞り、できたことに〇をつけて可視化するという方法で、成績が上向いてきたということは、その方法が本人に合っていたという証拠。それなのにせっかく手に入れた学習の改善手段を、今は使えていませんよね。塾の先生にいろいろ言われて、お母さんのほうが焦ってしまい、よくない強制パターンに陥ってしまっているようです。50分やって10分休憩という組み立ても、子どもにとっては負荷が大き過ぎ。本人のペースを全く無視したタスクを課す方法になってしまっています。それではうまくいくはずがありません。まずはお母さんが冷静になること。本人が力を発揮しやすい環境に立ち戻らないと、せっかく前に進み始めたのに逆回転しかねません。

あれこれ手をつけるより、絞ったぶんを徹底的にやる

具体的には、課題量そのものの選別をすることです。確かに塾によっては、夏期講習のテキストになんでもかんでも載っていて、驚くほど分厚かったりしますよね。それを全てやるなんて到底不可能なこと。何を取捨選択すればいいか悩まれるかもしれませんが、プロのチョイスのようなことは必要なくて、とりあえず偶数番だけやるとかでいいと思います。あれこれ手をつけて身に残るのが3~4割になってしまうよりは、乱暴だけどとりあえず半分にして、その半分を気持ちよく取り組んで5割残ったほうが、結果的には多くを身につけられます。

1日最低3回は「できてる」確認をして褒める

そしてがんばったことを確認する時間も必要です。午前中、塾でやってきたこと、寝る前など、少なくとも1日に3回くらいは、「できてるね」を見せてあげる時間を作るようにしましょう。お母さんがイライラして、朝から晩までほっとしたり褒めてもらえたりする時間がなくなったら、それはやらないと思いますよ。

また、上手な声かけを教えて欲しいとのことですが、声かけというのは言い回しのうまさではありません。声かけの9割は観察であり、お子さんのことを知れば、その子に渡す声も自然と決まります。子どもが喜ぶ声かけは何かといえば、過去に子どもが喜んだ時のことを思い出してみればいいだけ。おそらく「面白いね」とか「よかったね」とか「すごいね」とか、たいしたことは言っていないと思います。ただその時に「じゃあ」ってすぐに次の話を足していなかったのではないでしょうか?今は褒めた後すぐに次のタスクに話題が移ってしまい、本人に喜ぶ間を与えていないのだと思います。受験も本番が近づくにつれ、焦る気持ちもわかりますが、まずは親が落ち着くこと。自分は追いつめられると強制パターンに陥りやすいんだということを自覚して、本人が学びやすいように応援してあげてください。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。

文=酒詰明子

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