不登校になったらどうしよう…。「学校に行きたくない」と言い続ける小5息子が心配です【小川先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第103回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小5の長男、小2の長女、年長の次男の3人の子どもがいます。

長男に関しての相談なのですが、半年くらい前から「学校がつまらない、行きたくない」と言うようになりました。最初のうちは思春期だからかとも思いましたが、周りのママ達に聞くと、そんなことを言っているお子さんはいないようです。担任の先生に相談してもトラブルはないとのことですし、私が見ている感じでも、お友達ともよく遊んでいます。また、勉強ができないというわけでもないし、先生とも共通の趣味である野球の話をするなど、特にトラブルを抱えているようには見えません。でも毎日のように「つまらない、行きたくない」と言い続けています。先日も、「今日は家庭科があるからつまらない」と言っていました。でも、家庭科なんてたまにしかないので、それが原因とも思えません。

ちなみに、野球がすごく好きで、少年野球の練習には、全く嫌がらずに行っています。「学校がつまらない、行きたくない」と毎日言いながらも、今のところはまだ通えているのですが、この状態が悪化して不登校になったら…と不安になります。(Tさん・41歳)

【小川先生の回答】

思春期は自己主張が強くなる時期


「学校に行きたくない」と言われると、大人はどうしても「何かトラブルがあるんじゃないか?」と思ってしまいがちですよね。わかりやすい原因があったほうが納得しやすいのかもしれませんが、実際には必ずしもそうとは限りません。おそらく息子さんの場合も、わかりやすい原因がひとつあるというよりも、さまざまな感情が入り混じっての「つまらない」という発言に思えます。もちろんそこには思春期というものも関係しているでしょう。思春期というのは自己主張であり、息子さんも内面に抱えている思いを吐き出したいのだと思います。でも、今まであまり自己主張をするタイプではなかったため、うまく出し切れずにモヤモヤしている状態な気がします。

手がかからない子ほど、自分の内面を出すのが苦手


おそらく息子さんは、今まであまり手のかからないいい子だったのではないでしょうか。お子さんたちの年齢差からしても、息子さんが小学校低学年の頃というのは、下の子2人にとても手がかかる時期ですよね。なかなか息子さんの細かい気持ちに気づいてあげることが難しかったのではないかと思われます。ちゃんと振る舞える子だったからこそ、気づいてもらい損ねたことがちょっとずつたまっていったのかもしれませんね。手のかからない子の扱いをされていると、自分の内面を言わずに自己解決してしまうようになりやすいのですが、5年生となり感じとる部分が強まった今、それがしんどくなってきたのでしょう。でも自己主張に慣れていないため、「つまらない」という言葉でしか言い表せないのだと思います。ですから今必要なのは、その「つまらない」の心の奥にある気持ちを知ることです。

なぜつまらないかを知るには、好きなことの理解を深める必要がある


とはいえ、「何でつまらないの?」と、つまらないことについて説明してもらおうとしたところで、「つまらないものはつまらない」で終わってしまうでしょう。なぜなら、つまらないと思ってしまう原因は本人にもよくわからないからです。まずは本人の「好きなこと」についての話を聞き、本人がどういうことを求め、何に関心を覚えるのかという、そこの理解を先にしてあげましょう。

野球が好きということですので、野球のどういうところが面白いのかというのを、興味深そうに教えてもらうといいと思います。本人の気持ちが盛り上がったり、喜びなり楽しみなりを感じたりするポイントというのが見えてくると、逆に楽しみを感じにくいのはどんな時かという次の話を教えてもらう糸口にもなります。「あなたはこういうことが好きで、こういう時に喜びを感じるんだね。そういうあなたは学校の時間でいうと、どの時間が嬉しさや楽しさを感じにくいのかな?」というように、本人が感じ取っているところを振り返らせてあげましょう。そのためには、ものごとを観察し直すための目盛りを渡してあげる必要があり、それは自分の好きなものにしか存在しません。好きなことにワクワクするその1個1個の面白さを口に出させてあげて初めて、「だからこっちは面白くないんだ」という説明の言葉も手に入るのです。

「つまらない」の中身を分析する


そのような会話を通して、本人がどういうところに対して抵抗を覚えたり、しんどさを感じているのか、どんなシーンで気持ちがポジティブにならないのかなど、「つまらない」の中身をもうちょっと細かくつかんでいってあげたいですね。

校門をくぐった瞬間から憂鬱になるのか、嫌な気分になりやすい時間帯や授業があるのか、面白いことがないから嫌なのか、時間がただ過ぎるのを待っている感じが嫌なのか、本人が「つまらない」と言っているその中身を知ると、もしかしたら「つまらない」という言葉が適切ではないかもしれません。家庭科に関しても、「つまらない」のではなく、「うまくできないから恥ずかしい」のかもしれないし、女子たちがすごく盛り上がるから、居場所がない感じがするのかもしれませんよね。そうやって本人自身の、自分が感じていることを観察する目を育てててあげることで、モヤモヤした状態からも一歩抜け出せるはずです。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『「つまらない」と言えるのはお母さんへの信頼の証だから大丈夫』
息子さんはとてもいい子。小5になって「つまらない」と言い出したのは、お母さんに聞いてもらえるという安心感・信頼感があるから。その思いに応えて息子さんへの理解を広げることをがんばっていけば、息子さんも安定してくると思います。中学へ上がり、ある程度対等に会話するフラットな関係に移っていく準備期間としてとらえるようにすれば、お子さんへの信頼感もさらに増すと思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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大手進学塾や個別指導塾での経験から、子ども一人ひとりの持ち味を見抜き、強みを生かして短期間で能力を伸ばす独自ノウハウを確立。教育家・小川大介氏が、自分軸を伸ばす子育てのコツを公開した話題の一冊。


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