中学受験する?しない?未知過ぎて何をどう考えていいかわかりません【小川先生の子育てよろず相談室】

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中学受験する?しない?未知過ぎて何をどう考えていいかわかりません【小川先生の子育てよろず相談室】

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第122回のお悩みはこちら。

【お悩み】

息子が小学3年生になるため、そろそろ中学受験について考え始めようと思っています。噂によると、学区としては受験するのはクラスの1/3程度と、そこまで中学受験が盛んな地域ではないようです。本人にそれとなく聞いてみたところ、本人も人から少し情報は得ているようで、「今お付き合いしている以上に友達が増えるんでしょ?」「いい大学に行けるんでしょ?」みたいなことをメリットとして挙げていました。ただ、「学校が終わってまた同じような授業を聞きに行くなんて嫌だ」とも言っています。今まで公文以外の学習塾には通わせたことがないため、受験勉強のイメージもまだ湧いていない段階です。また、私も夫も中学受験の経験がなく、全く未知な状態なため、これからどういう手順で家族で判断するスケジュールを組めばいいのか、アドバイスをいただきたいです。(Hさん・37歳)

【小川先生の回答】

親として願う我が子の18歳像を話し合う


中学受験と高校受験で、どちらが優れているとか、どちらがラクということはありません。正直、どちらを選んでもよいのですが、ただひとつ言えるのは、家族の子育てイメージや本人の気質と合わない選択をすると、親子共々絶対にしんどくなるということです。だからこそ、本人を見て、家族で話し合って選ぶことが重要になります。

具体的にどう選ぶかですが、まずは子どもが18歳時点でどんな成長をしていて欲しいと願うかを夫婦でよく話し合いましょう。人柄、人間関係、学力、体力など、それぞれでどんな能力を身につけていて欲しいのか、我が子の18歳像を描いてみてください。ただし、几帳面に研究するイメージが全く湧かない子に、その方向を望んでも仕方ありませんよね。親の勝手な理想ではなく、我が子はどんな時に生き生きしているかなど、現在の子どものキャラクターを踏まえたうえで、イメージの湧くものにしましょう。その18歳像を夫婦でコンセンサスをとっておくことが第一です。

成長しやすい環境を子ども軸で検討する


次に、そこに至るまでの小学校高学年、中学、高校と各3年ずつの時間を、どういう環境で育つと、その18歳像のイメージが湧きやすいのかを検討していきます。早くから学習面を鍛えて、学力を伸ばしていく道のほうが向いてそうなのか、それよりも本人の意欲やチャレンジの気持ちが十分に育ってから、一気集中で学習していく方が良さそうなのか、我が子なりの伸び育ち方を振り返っていくと、ある程度見えてくると思います。もちろん、確実な未来が見えるわけではないですが、今までの我が子のなんとなくの育ち方を考えた時に、高校受験までの時間を使ってじっくり学力と気持ちを高める方がイメージが湧きやすい子なのか、早いうちから塾などで学び、中学の時点から同等にがんばれる子たちがいる場所で過ごさせたほうが伸び伸びできる子なのか、大まかな方向性については夫婦の間でも確認しあえることでしょう。

親としてできる範囲や条件を点検する


子どもを軸とした検討をした後に、今度は自分たち親ができることとすり合わせていきます。わかりやすいところで言うと、予算問題。この範囲内までは応援できるけど、それを超えることは我が家の全体の家族計画から考えて選ばないといった条件的なものを点検していきます。すると、塾以外に家庭教師や個別塾も、といった手厚くフォローする受験は選ばないにしても、中学受験から入らせたほうが我が子には良さそうとなれば、「家族で協力してその範囲でがんばろう」という話ができますよね。また、高校受験が向いてそうなら、「中学の間は部活も楽しみつつ勉強もがんばって、精神的に成長したところで受験のほうが良さそうだね。そのためにも小6くらいから高校受験を念頭においた学習習慣づくりを始めようね」という話をしておけばいいと思います。

地域の高校受験事情をリサーチしておく


もうひとつ考慮すべきことは、地域の高校受験事情です。これは地域によって全く違っていて、例えば東京などは、有名校のハードルがとても高く、学校のことをきちんとやっていれば合格できるという甘いものではありません。そのため、塾などへの負担が増す可能性もあります。いっぽうで、学校のことをやってたらそれなりの高校へ行ける地域もあります。なので、前もって自分の住んでいる地域の高校受験事情は調べておいたほうがいいでしょう。

短期講習などのお試し体験で、中学受験の知識を増やす


このように、子どもの18歳像、親としてのできること、地域性などの条件を組み合わせて、判断していくことになります。ただ、ご両親とも中学受験未経験とのことですし、本人も中学受験がどういうものかほとんどわかっていないと思うので、一度冬期や春期講習などに通わせてみてもいいかもしれませんね。知らずに判断するより、知ってから考えたほうがイメージも湧きやすいと思います。

拙著『親も子も幸せになれるはじめての中学受験』(CCCメディアハウス)でも、受験をするかしないかに始まり、家族内で何を考えればいいか、子どもの心と学力の伸ばし方まで、中学受験について網羅的にまとめてあるので、よかったら参考にしてください。そうやって本人の練習もしつつ、家族で話し合いながら判断していけばいいと思いますよ。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『子どもの気質に合った選択であれば中学受験も高校受験もどちらでもOK』
子どもの気質、子育て方針、地域性など、さまざまな条件を基に判断していくことになりますが、一番大切なのは子ども軸で検討すること。子どもの気質に合った選択であれば、親も子もムリなくがんばれます。まずは現在の子どもの様子や育ち方をよく見るところから始めましょう。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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