冬の日本海が育てた極上の味！ 旨みとコクがたっぷり詰まった石川県産のカニづくし

能登半島の東側には急深な富山湾、西側にはなだらかな海が広がり、変化に富んだ海底地形を有する石川県。対馬暖流や冬季の季節風の影響を受けた、多種多様で豊かな生態系が特徴的です。

定置網、底曳網、まき網、いか釣等の様々な漁法で盛んに漁が行われており、ズワイガニをはじめ、ブリ、甘エビ、アジ、スルメイカなど、新鮮な魚介類が水揚げされています。

まるでカニの宝石箱！ 旨みがぎゅっと詰まった「香箱ガニ」

こちらのカニは石川県加賀市の橋立漁港で水揚げされたもの。石川県では、ズワイガニのメスのことを「香箱（こうばこ）ガニ」と呼んでいます。雄に比べて小ぶりですが、小さな身に旨味がぎゅっと詰まっているのが特徴です。

湯がいたカニの身を出して甲羅の中に入れ、酢醤油などでいただくのが香箱ガニの一般的な食べ方なんですよ。

そっと中身をほぐしてみると、芳醇なカニの香りがふわっと鼻をくすぐります。甲羅の中には、粒状の卵「外子（そとこ）」、未成熟卵「内子（うちこ）」、そして、濃厚なカニミソがたっぷり詰まっていて、まるでカニの宝石箱！
プチプチした食感の卵と柔らかで旨みたっぷりの身がクリーミーなカニミソとよく合います。

身入りがよくて食べ応え抜群の「加能ガニ」

石川県で水揚げされたズワイガニのオスは「加能（かのう）ガニ」と呼ばれています。身入りのいいものには、漁港の名称を刻印した水色のタグが付けられます。

冬の荒れた日本海で育ったカニの脚は太くてジューシー！ 身がぎっしりと詰まっていて食べ応えも抜群です。

この日は橋立漁港で水揚げされた「加能ガニ」も登場。特に鮮度が高いものには「加賀市橋立港」と記された黒いタグが産地証明として付けられます。

こちらもしっとりしていてほんのりとした甘味がたまらない！ カニミソと一緒に味わえば日本酒がすすみそうです。

上品に彩られた「香箱ガニちらし」

目にも鮮やかな香箱ガニが贅沢にのったちらし寿司。ひと口噛んで味わうごとに、香箱ガニの上品な旨味が口の中に広がります。ほっこり温かいご飯とカニの相性も抜群ですね。

旨みたっぷりの身と、プチプチ食感の卵と、濃厚なカニミソと。一匹でいくつものおいしさが楽しめるズワイガニ。冬の限られた期間にしか水揚げされない貴重なカニを食べに、石川県へ足を運んでみませんか？

取材・文＝宇都宮薫