健康も美肌も食事でつくられる!誰でもできる「食養生」の基本

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毎日の食事で摂り入れる食材や栄養は、健康な身体をつくるための大切な要素

「食」とは、「人を良くする」と書くように、毎日の食事で摂り入れる食材や栄養は、健康な体をつくるための大切な要素です。そこで今注目されているのが「食養生」という考え方。日々の食事で体をケアする食養生の基本を、中医学講師の尹倚艱(いん・いけん)先生に伺いました。手軽につくれる食養生レシピもご紹介します!

▷お話をうかがったのは…尹 倚艱(いん・いけん)先生
長春中医薬大学卒業後、中医学トップの総合病院である、国立中国中医科学院 広安門病院に21年間勤務。その間、循環器内科で診療を担当しながら、中医学と西洋医学の考え方を合わせた中西医結合を学び、同大学院にて医学修士学位を取得。専門は循環器内科を中心とした総合内科、婦人科。2018年来日、現在は日本中医薬研究会専任講師として中医学の普及と指導に務める。

中国歴代皇帝の健康管理を担ってきた食養生

食養生のベースにあるのは、中医学の基本理論。

「中医学は、自然と調和して体と心のバランスを整え、自然治癒力を高めるというもので、予防医学の一環として応用されています。病気を未然に防ぐため、食事、運動、鍼灸など様々な養生法が用いられていますが、中でも最も重要と考えられているのが食事。3000年前の『周』の時代には、食事で皇帝の健康管理を担う『食医』が、医師の中で最高位に置かれていたほどです。つまり食養生とは、食事で体のバランスを整え、病気を未然に防ぐ食事法であり、中国の歴代皇帝や后妃たちの美と健康を支えてきたものと言えます」(尹倚艱先生)

中医学に基づいた食事法ということで、特別な漢方や薬などでつくられていると思われがちですが、実は身近な食材でつくることができます。

「中医学には『薬食同源』という言葉がありますが、これは薬も食物も本質的には同じものという意味。すべての食物には、薬と同じように効能があると考えられています。例えば、にんにくやしょうがには体を温める作用が、逆にきゅうりやなすには体を冷やす作用があるため、そういった身近な食材を取り入れるだけでも、立派な食養生になりますよ。ただし、どんなにすばらしい薬効のある食材でも、体質や体調に合わない間違った選び方をすると、逆効果になる恐れも。自分の体と向き合い、その時の体質や体調に合ったものを選ぶことが、食養生では最も大切です」(尹先生)

普段の食事を「養生食」に変える5つのコツ

体質や体調により選ぶ食材が異なる食養生ですが、その食べ方には共通した基本ルールが存在します。食事で体を整えるためのちょっとしたコツでもあるので、まずは普段の食生活に取り入れることから始めてみて。

①1日3食。食間は3~4時間は空ける
体のリズムを整えるためにも、3食規則正しく食べましょう。食べたものが消化吸収されるのには3~4時間かかるため、食間をしっかり空け、胃腸を休める時間を。

②食事の量は腹八分目にする
どんなに良い食材でも、量が多過ぎれば胃腸に負担がかかります。腹八分目を意識して量は控えめに。

③季節に合った「旬」のものを食べる
古くから「旬のものには滋養がある」と言われるように、四季折々の旬の食材には、その時期の体に必要な栄養素が豊富に含まれています。

④気候風土に適した食材で体質を整える
例えば、盆地や海の側など湿度の高い地域では体に「湿」がたまりやすいなど、土地によっても体質は左右されるもの。湿気が多い土地では、「湿」を取り除く作用のある食材や胃腸の働きを高めるスパイス類を活用するなどして、体質を整えることも心がけて。

⑤冷たいもの、甘いもの、脂っこいものは控えめに
これらはすべて体に「湿」を生じやすい食べ物。「湿」がたまると、「百病の長」ともいわれる「風邪(ふうじゃ)」を招きやすく、様々な体調不良の原因にもなるため、なるべく量を控えて。

食養生の基本!「五味・五性」とは?

自分に合った食材を取り入れるには、食材のもつ作用を知ることが大切。食養生では、食材のもつ「五味」「五性」を意識して食材を選びます。

【五味の作用と代表的な食材】

「五味」とは、酸(さん)、苦(く)、甘(かん)、辛(しん)、鹹(かん:塩辛い)の5つの味のこと。単純に味覚の分類だけでなく、それぞれが体に対して独特の作用を持っています。

食事の味と効能の関係を表す「五味」

酸味(さんみ)…体を引き締める作用があり、汗や痰を鎮めたり、下痢の改善にも役立ちます。梅干し、あんず、レモン、ざくろ
苦味(くみ)…解熱解毒作用があり、体内の余分な熱や水分を取り除きます。利尿や排泄を促したり、炎症を抑える作用があるため、便秘や皮膚トラブルにも。ゴーヤ、にがうり、ウコン、ピーマン、緑茶
甘味(かんみ)…血の栄養分や体内の気を補給し、滋養強壮に役立ちます。疲れたときや痛みを和らげたいときに。バナナ、はちみつ、砂糖、ナツメ
辛味(しんみ)…血流を巡らせる作用があり、発汗を促したり、食欲増進に役立ちます。風邪、肩こり、冷え性などに。唐辛子、山椒、こしょう、わさび、にんにく、ねぎ
鹹味(かんみ:塩辛い)…細胞内外の体液バランスを整える作用があり、水分代謝を高めます。あさり、しじみ、わかめ、塩、しょうゆ、味噌

【五性の作用と代表的な食材】

「五性」とは、体を温めたり冷やしたりなど、食材の持つ性質のことで、寒(かん)、涼(りょう)、平(へい)、温(おん)、熱(ねつ)の5つに分けられます。

身体を温めるか冷やすかで分類した「五性」

寒性(かんせい)…体を強く冷やすもの。トマト、きゅうり、なす、すいか
涼性(りょうせい)…体を冷やすもの。セロリ、ほうれんそう、大根、わかめ、かに、さば
平性(へいせい)…寒熱に偏らないもの。米、大豆、とうもろこし、じゃがいも
温性(おんせい)…体を温めるもの。しょうが、たまねぎ、にんにく、かぼちゃ
熱性(ねつせい)…体を強く温めるもの。羊肉、鶏肉、唐辛子

「五味」や「五性」を考慮した食材選びは、一見難しそうに思われるかもしれませんが、実は普段から何気なく行っていることも多いそう。
「例えば、体や脳が疲れていると甘いものが食べたくなったり、寒い時期には体を温める辛い料理がおいしく感じられたりなど、人はその時々で体が求める味を自然と選んでいます。また、涼性のさばには温性のしょうがを合わせるなど、寒熱のバランスをとりながら食べる知恵も昔から根付いているため、意外と実践しやすいですよ」(尹先生)

子育て世代の女性は「気」「血」「腎」を補うべし

「月経、妊娠、出産などで血液を消耗する女性は、どうしても血液不足に陥りやすいもの。血を失うと体のエネルギーとなる気も少なくなるため、冷え、倦怠感、肌の乾燥などさまざまなトラブルを生じやすくなります。特に子育て世代の女性というのは、仕事、家事、育児などで、多くのエネルギーを消耗するため、『気血両虚(きけつりょうきょ)』タイプが多いと言えます。

また血の不足は、血の貯蔵庫である『肝』にも影響を及ぼしやすくなります。肝の陰血が不足すると『肝陽』が相対的に強くなります。その上で、ストレスがたまるとイライラして怒りっぽくなることがあります。すると、『肝』の気がうっ滞して血も滞るため『気滞血瘀(きたいけつお)』の状態にもなりやすくなります。

子育て世代の女性にもっとも大切なのは、消耗した気と血を補うこと。気を補う甘味のものや、血流を促す辛味や温性のものを食事に摂り入れて、気と血を整えましょう」(尹先生)

気と血を補ったうえで、もうひとつプラスしたいのが「補腎(ほじん)」

「月経、妊娠、出産により消耗するのは、血だけではありません。『腎の精』も消耗するため、『腎』を補うことも大切。えび、いか、ほたて、牡蠣、黒豆など、『腎』を補う食材も積極的に取り入れましょう」(尹先生)

子育て世代におすすめ!養生レシピ

COCOKARA中医学」のサイトから、子育て世代におすすめの食養生レシピ3つを紹介します。


元気をチャージ!「長芋と肉団子のスープ煮」

「長芋と肉団子のスープ煮」

気を補う作用のある長芋をはじめ、肉や野菜をスープで煮込んだ、栄養も元気もチャージできる一皿。長ねぎやしょうがで胃腸を温め、働きを高めます。気を補う基本食材となる白米のご飯にもよく合います。

【材料】(4人分)
豚ひき肉…150g
鶏ひき肉…150g
A
 卵…2個
 長ねぎ(みじん切り)…5cm
 しょうが(みじん切り)…1/2かけ
 酒…大さじ2
 しょうゆ…大さじ2
 鶏ガラスープの素…小さじ2
 塩…少々
サラダ油…大さじ1
長芋…400g
にんじん…1本
水…4カップ
B
 酒…大さじ2
 しょうゆ…大さじ4
 鶏ガラスープの素…大さじ1
 砂糖…大さじ1と1/2
 塩…少々
長ねぎ(青い部分)…5cm
お麩(小ぶりの丸いもの)…適量

【作り方】
1. ボウルに豚ひき肉と鶏ひき肉を入れ、水(分量外)を少量加え、とろみが出るまで同じ方向に混ぜる。
2. ボウルにAを加え、粘りが出てとろとろの状態になるまで同じ方向によく混ぜる。12等分して団子状にする。
3. フライパンに油をひき熱し、2を入れ中火で両面に焼き色をつける。
4. 鍋に水を入れて沸かし、Bの調味料を加え、皮をむき乱切りにした長芋と3を入れてアクを取りながら弱火で20分煮る。
5. 皮をむき乱切りにしたにんじんを加え、フタをして弱火で15分煮込む。
6. あらかじめ水で戻しておいたお麩とななめ切りにした長ねぎを鍋に加え2~3分煮込んでできあがり。


ナツメで血流UP!「鶏手羽のスープ」

「鶏手羽のスープ」

鉄分が豊富で貧血予防に役立つナツメは、強い甘みで気も補ってくれる優秀食材。気血を補う鶏肉やしいたけ、体を温めるねぎやしょうがと合わせたスープで、体を芯から温めて気血が巡る体に。

【材料】(2人分)
鶏手羽中…4本
大根…4cm
ねぎ…20cm
しょうが(薄切り)…4枚
ナツメ…4個
生しいたけ…2枚
クコの実…適量
小ねぎ(小口切り)…適量
酒…大さじ2
塩、こしょう…各適量

【作り方】
1. 鶏手羽中は水洗いする。大根は1cm幅のいちょう切りに、ねぎは2.5cm長さのブツ切りに、しいたけは4等分に切る。ナツメとクコの実はサッと水洗いする。
2. 鍋に鶏手羽中と大根、ねぎ、しょうが、ナツメ、酒、水4カップを入れて火にかけ、煮立ったらアクを取り、弱火にして20分煮る。
3. 生しいたけとクコの実を加えさらに5分煮て、塩、こしょうで味を調える。器に盛り、小ねぎを散らす。


潤いアップで美肌に!「骨付き鶏もも肉とれんこんのスープ」

「骨付き鶏もも肉とれんこんのスープ」

骨付き鶏もも肉は、中国ではスープや煮込み料理などでよく使われる素材で、潤いや精を補います。さらに、潤いを補う作用のあるれんこんやクコの実、血を補うにんじんを組み合わせることで、胃腸の働きを健やかにし、美肌づくりにも役立ちます。

【材料】
骨付き鶏もも肉…1本
れんこん…1節
にんじん…1本
長ねぎ…10cm
しょうが…1かけ
砂糖…小さじ1
酒…30cc
クコの実…適量
塩…小さじ1
水…適量

【作り方】
1. 沸騰したお湯に骨付き鶏もも肉を入れ、再沸騰させ、両面を返しながら3~4分茹で、水でよく洗っておく。
2. れんこんは皮を剥き、厚さ1cmの輪切りにする。にんじんは大きめの乱切りにする。
3. 鍋に1と2、長ねぎ、しょうがを入れ、水を材料がかぶるくらい入れ、沸騰するまで強火で加熱する。沸騰したら砂糖、酒を加え弱火で30分煮込む。
4. 水で戻したクコの実と塩を入れ、5分ほど煮込んだらできあがり。


***

日々の体をつくるのは毎日の食事。つい体を酷使しがちな子育て世代の女性たちにとっても、消耗したエネルギーや栄養を補充する大事なメンテナンスの時間でもあります。「食養生」とは、病気になる前の「未病」の段階で体を整えるという中医学の考えに基づいた食事法。病気になりにくい体質を目指して、普段の食事から食材を意識的に選ぶ習慣をつけたいですね。

文=酒詰明子、イラスト=さいとうあずみ

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