家事を教える vol.8-3「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ
雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!
家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。
vol.8「家事を教える」を4回に分けてお届け。今回は第3回目をお送りします。
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だが、先日、「このままでいいのか?」と思うことがあった。朝、私が寝坊をしてダラダラと布団の中にいたら、
「かあか、お料理」
と言いながら子どもが起こしにきて、私の背中をどんどん押す。
「ああ、はい」
仕方なく起き上がった。子どもはキッチンまで私を押し出すと、
「かあか、お料理」
と言い残して自分はリビングルームに行き、電車のオモチャで悠々と遊び始めた。
なんだろうか、私の胸に湧いてくるこのモヤモヤした気持ちは。「作ってもらって当然」と思わせてしまった、という反省
だろうか。「もう世話だけでいい時期は終わってしまった」という寂しさか。
将来、パートナー的な人ができたとき、こんな風に相手をキッチンに押し出したら、大変なことになるのではないか。
自分で料理ができる人になってもらわなければ。
(続く)
文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ
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Information
■著者:山崎ナオコーラ
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』、小説『美しい距離』、絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき)などの著作がある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。
山崎ナオコーラさんのTwitter
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』、小説『美しい距離』、絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき)などの著作がある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。
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