すべてマンガに描いてある(8)…「ご近所づきあい」は過剰にかつ適当に!?
『バカ姉弟』安達 哲著/講談社

(c)安達 哲/講談社

家族は何より大事。友達も大事。じゃあ「ご近所」は?と思っていたら……『バカ姉弟』に描いてあった!

3歳の双子の姉弟は、東京・巣鴨の下町で2人暮らし(両親は仕事でほぼ不在)。子どもたちの面倒を見るのは、ご近所の皆さん。商店街のおじさんが魚をたらふく食べさせたり、包丁職人がミニ包丁を特別にあつらえたり、世界的ピアニストがピアノを教えたり、小料理屋の美人おかみが厳しくしつけたり、とにかく寄ってたかって、かまいまくる! 姉弟のほうは、喜ぶこともあれば、ほおっておいてほしいときにはおでこ(姉のチャームポイント!)を触ろうとする老人から逃げたりもして、ごくごく素直に、ご近所の大人たちの中にいるのです。

『よつばと!』の、とーちゃん(実父にあらず)と暮らす5歳のよつばの日課は、お隣の家に遊びに行くこと。お隣のかーちゃんがリビングで寝転んで雑誌を読んでいる、その横にいつの間にか、ごろん。かーちゃんも横目でちらっと見たあとは、寝転んだまま適当によつばに対応。この「適当」さがいいんです! 忙しければ(というか面倒くさければ!)全力でつきあわなくてもいいんですよね。

『バカ姉妹』の5巻に、15年後の姉のエピソードが収録されています。外国で道に迷った彼女は、こう考えます。「でも大丈夫 きっと誰かが助けてくれるわ」。子どものころの深いご近所づきあいは心にしっかり根を張るのだなぁと、じーんとしてしまうのでした。

とはいえ現実のご近所づきあいはお悩みだらけ。解決法は描かれていませんが、登場人物たちが適度な距離など保たずに接近しすぎたり、適当にあしらったりするのを見ていると「ま、いっか!」と思えてくるかもしれません。

【文中に登場する作品】

●『バカ姉弟』安達 哲著/講談社

下町で2人暮らしの押さない姉と弟。まあるい体で、用心深くて、賢くて、でも素直な2人は、ご近所に愛し愛されて暮らしています。楽しそうに生きている老人や中年の姿もいい! 全編フルカラー。

●『よつばと!』あずまきよひこ著/アスキー・メディアワークス

5歳のよつばにとって世界は新鮮なものだらけ。お隣の姉妹と海に出かけたり、とーちゃんとホットケーキを焼いたり全力で毎日を満喫中。大人はちゃんと大人で、子どもはちゃんと子どもらしい。美しい人間関係が、ここにあります。

※このコラムは『レタスクラブ』2011.6.10売り号掲載に掲載されたものです。月1回、漫画コラムを掲載していきます。