すべてマンガに描いてある(11)…次は野球部女子に熱いエールを!
『高校球児ザワさん』三島衛里子著/小学館

(このコラムは『レタスクラブ』2011.9.10売り号掲載に掲載されたものです)

「なでしこジャパン」の奮闘に心打たれ、女性選手の活躍をもっと見たい!と思っていたら『高校球児ザワさん』に描いてあった!

ある高校の男子硬式野球部に所属する唯一の女子・ザワさん。ノックを受け、プロテインを飲み、顧問にハタかれ……黙々と厳しい練習をこなす、野球漬けの日々。

ある時、新聞記者に「公式戦に出られなくて(※女子は規定で出場不可)悔しい思いをしたことがありますか」と聞かれたザワさんは、淡々とこう答えます。「あの、仮にもし自分が試合に出たとしても、多分、使えないと思います」。野球部内での今の実力は、そのくらい。差別だ!とピリピリしたり、「私が規定を変える」ともえたりもせず、そんなヒマがあったらランニングに筋トレ、な真っ当な野球部員のザワさんなのです。

同じく高校の野球部が舞台の『おおきく振りかぶって』には、女監督・モモカンが登場します。

「女ってありえねーだろ」と反抗する部員も当初いるのですが、そんなことは織り込みずみ。目の前で力強く正確なノックを打ち、にっこり笑って甘夏を素手で握りつぶす(驚異の握力)! 野球の腕と指導者としての実力を見せつけ、一瞬で部員を黙らせます。そして弱気で卑屈な投手にはこんなひと言。「野球をホントに楽しめるのは--ホンキで勝とうとする人間だけよ」。か、かっこいい!!

ザワさんもモモカンも「女である」ことで注目されるのは事実として受け止め、かといって過剰に何かを背負いもせず目の前のスポーツに集中。絶妙なスタンスの女性を描けるのは、2作品とも作者が女性だからかもしれません。

来年(2012年)のオリンピックで「なでしこ」を応援したくてうずうずしているという方、それまでこちらの野球部女子2人に熱いエールを!

【文中に登場する作品】

●『高校球児ザワさん』三島衛里子著/小学館

高校の硬式野球部の唯一の女子部員・ザワさんの野球漬けの秘儀を、外からカメラが淡々と追うように切り取っていく。ザワさんを、女子として意識しないようにしていても、ちょっと意識してしまう、男子部員たちのモヤモヤもかわいい。

●『おおきく振りかぶって』ひぐちアサ著/講談社

元いじめられっ子のピッチャーがチムメートとの出会いで少しずつ変わっていく。最新の理論に基づいた練習方法やメンタルトレーニング法、試合中の選手たちの心理描写は野球に興味のない女子もぐいぐい引き込むおもしろさ!

※このコラムは『レタスクラブ』2011.9.10売り号掲載に掲載されたものです。月1回、漫画コラムを掲載していきます。