「なんかいい」から始まる恋!じわじわ系男子『オレの宇宙はまだまだ遠い』の土田くん/【連載】このイケメン(マンガ男子)を見よ!(6)

#趣味   

土田くん、32歳・独身。書店員歴10年。彼女いない歴6年。昔から「影は薄いほう」。合コン相手にも「いい人ですね」といわれる。

ああっ、今「恋愛対象外だな」と「男」としての興味がサーッと薄れた方! お待ちください、読めば絶対好きになりますので!

土田くんは、働く男です。注文した大事な本を取りに来られないお客さんの元に、退社後、直接届ける。絵本コーナーを充実させようと、上司にかけ合う。「わざわざ仕事増やして……」と同僚にいわれても「増やすっていうよか、やる機会が目の前にあった、みたいな感じつーか」と淡々と答える。なんか、ちょっといいでしょう?

こんなことも心の中でつぶやきます。「オレの人生 こんなはずじゃなかった とは思わない/でもって こんなもんだろう とも思わない」。女の子の前で無理に肉食男子っぽくふるまって、後から恥ずかしさに身もだえするところもかわいいんです!

「なんかいいなあ」という気持ちが、読み進めるうちにじわっじわっと大きくなっていって、気づけば「この人好き!」に変わっている――。一瞬で落ちる恋もいいけれど、こういう恋は強固な気がします。ラストで彼女ができた時には、軽くショックをうけるくらい好きになりますよ!

 そして! なんとこの土田くん、作品の枠を飛び越えます。同著者の別作品『すーちゃんの恋』では、主人公・すーちゃんと恋が始まる予感が! 彼女がいる余裕からか、女性にスマートに接する(「まだ近くにいるかなと思って電話しました」って呼びだしたり、「ほんのことでなんかあったらメールください」とサッとアドレスを教えたりと、女性の扱いがスマートになってない!? 人としてじわじわ好きにさせてきて、急に「男」の顔とは……やっぱり好きだ、土田くん!

【今回のイケメン】『オレの宇宙はまだまだ遠い』の土田くん

袖をまくったワイシャツ+エプロンの書店さんスタイル! 書店員さんというと「文化系男子」っぽい感じを想像しますが、土田くんはナイーブな感じはあまりせず、むしろ骨太。普通の、32歳の、大人の男性です。実はこういう人こそ、いそうでいない、マンガならではのファンタジーなのかも?

※このコラムは『レタスクラブ』2013.4.10売り号に掲載されたものです。

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門倉 紫麻 かどくら・しま(バックナンバー
1970年、神奈川県生まれ。1993年慶應義塾大学文学部卒業。Amazon.co.jpエディターを経て、2003年よりフリーライターに。2014年より読売新聞主催「SUGOI JAPAN」セレクター。2015年より文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員。
『ダ・ヴィンチ』『モーニング』などで、主にマンガに関する記事の企画・執筆、マンガ家へのインタビュー、コラム連載などを行なう。
著書に「週刊少年ジャンプ」作家の仕事術を取材した『マンガ脳の鍛えかた』(集英社、2010)、宇宙飛行士、宇宙開発関係者に取材した『We are 宇宙兄弟 宇宙を舞台に活躍する人たち』『We are 宇宙兄弟 宇宙飛行士の底力』(モーニング編集部編・講談社+α新書、ともに2012)。
またフランスにて、日本のマンガ業界用語を網羅したフランス人マンガファン向けの語学書『LE JAPONAIS DU MANGA』(Misato RAILLARDとの共著、ASSIMIL、2015)を出版。
最新情報は「漫画ライター門倉紫麻のブログ」

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