琵琶の名手らしいリズム感も魅力。出会いと別れを繰り返す関所の様子が浮かぶ歌【百人一首を覚えよう】/のびーる国語 百人一首(5)

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人と人とが出会い

『のびーる国語 百人一首』5話【全12話】


『百人一首』は、飛鳥時代から鎌倉時代の間に作られた和歌の中から、藤原定家がよりすぐりの百首を選んでまとめたもの。古典に馴染みがない人も、小野小町や在原業平(ありわらのなりひら)、菅原道真、紫式部といった歌人の名前なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

今から約800年前の歌ではありますが、恋や人生観、美しい風景を見たときの気持ちなど、歌に込められた思いは、実は現代とそう変わらないものも。また、歌人のプロフィールや時代背景なども知れば、和歌の世界がぐんと身近に感じられるはずです。当時の人の心や考えに思いを馳せながら、気軽に百人一首の世界に触れてみませんか? 

※本記事は監修/吉海直人、カバー・表紙/ブラックインクチームの書籍『のびーる国語 百人一首』から一部抜粋・編集しました。


これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

和歌が作られた時代/平安時代初期
和歌が収められた歌集名/後撰和歌集

作者 蝉丸(せみまる)/生没年未詳

琵琶の名手。目が見えなかった。逢坂の関の近くに住んでいたといわれている。

語句を深ぼり!

逢坂=地名の「逢坂」と「逢ふ(=会う)」の掛詞。「別れ」とも対になっている。

リズミカルな言葉の使い方

それがあぁあぁ~ 逢坂のぉ関~


これも覚えておこう!

逢坂の関=歌枕の一つ。今の京都府と滋賀県の境にあった関所。東海道の「鈴鹿の関」、東山道の「不破の関」とともに「三関」とよばれていた。
関所=通行人や荷物の出入りを検査するための場所。交通の要となる所に設けられた。
琵琶=東洋の弦楽器の一つ。果物のびわを半分に割ったような形をしている。

琵琶の名手らしいリズム感も魅力

歌全体にただよう無常観

プラスα
「関東」の「関」は、関所の「三関」のことなんだよ。 三関より東側の地域を「関東」というようになったんだ。

著=吉海直人、ブラックインクチーム/『のびーる国語 百人一首』

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