ぬいぐるみを治療してくれる病院がある!? SNSで8.3万いいねの「ぬいぐるみ病院」ほっこり入院体験記

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  『わたしのぬいぐるみさん』より

大阪府にある「ぬいぐるみ健康法人 もふもふ会 ぬいぐるみ病院」をご存知でしょうか?
長年愛されてくたびれたりほころびてしまったりしたぬいぐるみを、元気な姿に「治療」してくれるユニークな病院です。ホスピタリティあふれる丁寧な対応や、かわいらしい「入院の様子」の写真がSNSでも話題になり、さまざまなメディアにとりあげられました。「自分のぬいぐるみもぜひ治療してほしい」という方が後を絶たず、申込から入院までは数年待ちという状態が続いています。

そんな「ぬいぐるみ病院」にぬいぐるみを治療してもらった人々に取材をして、漫画にまとめた作品が注目を集めています。漫画家・イラストレーターとして活躍するこやまこいこ@koyamacoicoさんが描いた『「ぬいぐるみ病院」に入院したぬいぐるみが帰ってきた話』は、X(旧Twitter)で8.3万のいいねがつきました。

さっそく、この漫画の内容をご紹介しましょう。

『「ぬいぐるみ病院」に入院したぬいぐるみが帰ってきた話』


『わたしのぬいぐるみさん』より

5歳の誕生日にかほさんがもらった真っ白でふわふわのぬいぐるみ「ふーちゃん」。その日からずっとかほさんはふーちゃんと同じ時間を過ごしてきて、大きくなってからもかほさんのそばにはいつもふーちゃんがいました。

『わたしのぬいぐるみさん』より

長い時を経てまっ白だったふーちゃんは「愛され色」になり、体もくったりとしてきました。もちろんそんなふーちゃんもかわいいけれど、もっと元気な姿でいてほしい…とかほさんは思いました。

そこで見つけたのが「ぬいぐるみ病院」です。申し込んでからずいぶん待ちましたが、ようやく順番が来てかほさんは入院の手続きを進めることになりました。

『わたしのぬいぐるみさん』より

『わたしのぬいぐるみさん』より

ダウンロードした問診票の、「お首はグラグラ?しっかり?」「綿の入れ替えはくたっと?ふんわり?張りのある?」など、さまざまなチェック項目に記入していきます。名前を書いたリボンを首に結んで、好きな箱に入れたらいよいよ病院へ出発! 「着いたかな」と心配していると病院から到着メールが届き、治療内容の確認をしてふーちゃんの治療が始まりました。

『わたしのぬいぐるみさん』より

入院中の病院からかほさんのもとに届いたメールには、「ふーちゃん今日もかわいいお姿でリラックスしてお過ごしいただいてますのでどうぞご安心くださいませ。お友達とひなたぼっこなどをして楽しくゆったりお過ごしいただけておりました」とありました。ふーちゃんがいない間も、この丁寧な連絡のおかげで、かほさんは安心してすごすことができました。

『わたしのぬいぐるみさん』より

治療が終わると写真が送られてきて、OKであれば退院とのこと。かわいく治療されたふーちゃんの写真にかほさんは驚きます。「か…か…かわいい! こんなにかわいかったっけ」と喜んで、その写真を保存しました。
そして数日後、バスの絵が描かれた特製の箱で、ふーちゃんが帰ってきました。

『わたしのぬいぐるみさん』より

ドキドキしながら箱を開けると、病院で治療を受け、真っ白でふわふわになったふーちゃんがこちらを見ていました。かほさんは優しくふーちゃんを抱き上げて顔をほころばせ、大切そうに話しかけるのでした…。

この心あたたまる作品は、実際にぬいぐるみを治療してもらった方々の取材をして、それらのエピソードをこやまさんがまとめたものです。作者のこやまさんにお話を伺いました。

こやまこいこさんインタビュー


──「ぬいぐるみの病院」を知ったきっかけは何でしたか?

こやまこいこさん:
この漫画を描く数年前、娘のパンダのぬいぐるみの鼻を治してもらおうとぬいぐるみを治してもらえる所を探していたときに知りました。
お箱バスやお薬のあめちゃんなど、その世界観と優しいメールに娘と感激しておりました。ちょうど入院患者さんでパンダのぬいぐるみが偶然多かったようで他のパンダさんたちとの写真も送ってくださったりと、楽しい思い出です。今もお箱バスなどそのままとってあります。

 『わたしのぬいぐるみさん』より

──それは素敵な体験でしたね。ぬいぐるみの問診票のチェック項目や、入院中のメールなど、ぬいぐるみ病院の「治療」が持ち主さんの気持ちに寄り添った細やかなものであることが印象に残りました。こやまさんがぬいぐるみ病院について印象に残っていることがあれば教えてください。

こやまこいこさん:
どんな症状のぬいぐるみでもお断りをせずに、どうしたらいいかをご家族の方と考えていくとおっしゃっていたのがとても強く心に残っています。そうすることでクレーム等もなく、時間はかかったとしても最後は納得されるとお聞きして、すごいことだなと思いました。
何か壁にぶつかったとしても、様々な方向から解決方法を考えていく。私も自分自身の人生の中でこの先何か困難にあたっても、そういった心持ちで生きていきたいと思いました。

『わたしのぬいぐるみさん』より

──『わたしのぬいぐるみさん』のプロローグには「大人になってもぬいぐるみを好きだなんていいのかな」と主人公が考える場面がありました。こやまさんご自身は「大人がぬいぐるみを好きでいること」についてどんなふうに捉えていらっしゃいますか?

こやまこいこさん:
全く問題ないと思います。ぬいぐるみに限らず、例えば他の誰かにわかってもらえないことでも好きなものがあるということを大事にすると、人生が少し楽しくなっていくんじゃないかなと思います。

   *    *    *

近年、ぬいぐるみと一緒に外出して旅先の風景とともに撮影する「ぬい撮り」が流行ったり、ホテルのベッドメイキングでユーモラスに配置されたぬいぐるみ写真がSNSで話題になるなど、ぬいぐるみと一緒に旅行をすることも珍しいことではなくなってきました。ぬいぐるみと一緒に生活することは、今や子どもたちだけでなく、大人にとっても当たり前のことになりつつあります。

ぬいぐるみ病院でぬいぐるみを治療してもらった体験を描いたこの作品には、「泣ける」「感動した」といったコメントのほかに、「いいなあ」「うちの子も入院させたい」といったコメントも多くついていました。これからも大切なぬいぐるみと長く一緒にいたいと願う人々の心に、共感とともに優しく響いたのかもしれませんね。

文=レタスユキ

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