「自分の子どもを好きになれない……」はわたしだけ? 自己嫌悪の正体と子どもの年代別解決法

#育児・子育て   
「自分の子どもを好きになれない……」はわたしだけ?

「自分の子どもなのに好きになれない」「そんなわたしはダメな親だ」。そんなふうにお悩みの方がいるのではないでしょうか。実はこれ、心理学的にはごく自然なことなんです。そのメカニズムと、対策法として、年齢別の子どもへの関わり方を解説します。知っておくだけでも心がスッと軽くなるはず!

「わが子をなんだか好きになれない」はごく普通のこと

「自分の子がかわいく思えない」
「好きになれない」
「何をしてもイラッとしてしまってどうしても許せないときがある」

こんな悩みを抱えている親御さんが、実は多くいるんです。しかしこれは、決して異常なことではありません。

そのような感情には、心理学でいう「同族嫌悪」が関わっています。同族嫌悪は心理学的に「投影」を意味し、自分の嫌いなところに似た部分を相手に見つけると、嫌悪感を抱くというもの。子どもに自分と似ているところがあるのは当然なので、これはごく自然なことなのです。

「好き」や「嫌い」は感情であって、感情はコントロールできません。「嫌い」「嫌だ」と思ってしまったからといって、自分を責めないでください。実際にそれを口に出したりいじめたりしているわけではないのですし、「思っちゃっただけだから仕方ない」と考えましょう。

それでも嫌いという反応をしたくなかったら、「普通」という解釈をしてみてください。人の脳には、ものを見た瞬間にそれを「好き」か「嫌い」に分ける力があります。その2択だから「嫌い」に入ってしまうのであって、「普通」という選択肢を加えれば「嫌い」という気持ちは減っていくはずです。

子どもに対しても「まあ子どもだったらこれくらい普通かな」「考えてみたら嫌いではないかも」と思うことで、嫌悪感は薄らいでいくでしょう。

子どもの年代別解決法とは…


0〜2歳への関わり方

赤ちゃんが生まれると、必ずといっていいほどパパ似かママ似かが話題になりますね。ふたりの子どもなので、当然どちらの影響も受けているはずです。

たとえば、お母さんが自分の一重の目にコンプレックスを持っている場合。赤ちゃんも一重だと、かわいいと思えないことがあります。これは、お母さん自身のコンプレックスを子どもに投影しているからです。

コンプレックスは、本人が気にしているだけで周りは特に気にしていない場合も多いのです。子どもの顔は成長とともにどんどん変わっていきますし、子ども自身がその目を気に入らないとも限りません。「お母さんはあなたのことが大好きだよ」とありのままを承認する言葉をかけてあげましょう。

3〜6歳への関わり方

通園がはじまり、お友達との関わりが増えてくるころです。お母さん自身が子どもの頃、おとなしいタイプだった場合、子どもがなかなかお友達の輪の中に入れずモジモジしていると、「さっさと声をかけなさい!」と言いたくなってしまうことがあります。今の子どもの姿に、自分の子ども時代の辛さを投影してしまっているのです。「子どもが自分と同じ苦労をするのではないか」という心配の気持ちもあるのかもしれません。
でも大丈夫。おとなしいタイプだったお母さんだからこそ、モジモジしてしまうお子さんの気持ちを一番わかってあげられます。そんなときは、「ドキドキするね」など共感の言葉をかけてあげましょう。

7〜12歳への関わり方

子どもの脱ぎっぱなしの洗濯物、ソファにかけられたジャケット。そんなだらしない生活習慣をみたとき、「ちゃんとしてよ!」と叱りつつも、「わたしがきちんとしつけられていないからだ」「わたしに似て子どももだらしない子になってしまった」と自己嫌悪を感じてしまう方もいるでしょう。

実はこれらのことは、環境を工夫することで改善できます。洗濯しない衣服を一時保管するフックを玄関につけたり、いつも洋服を脱ぐ一にカゴを置いてそこに入れるようにしたりと、対策をとってみましょう。

「わたしのせいで」と考えるのではなく、「みんなが快適に過ごすためにできることをしよう」と、問題解決思考に切り替えるといいですね。

※本記事は竹内エリカ著の書籍『心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

【著者プロフィール】
竹内エリカ
幼児教育者。一般財団法人日本キッズコーチング協会理事長。2児の母。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20年にわたり大学機関にて子どもの発達心理や行動科学について研究し、延べ2万人もの親子と関わる。育児関連商品・知育玩具などの監修をはじめ、発達支援では多動症・不登校の克服からギフテッドと呼ばれる子ども達のケアなど育児・教育の専門家として活動。

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