タンポポは小さな花の集合体!? 誰でも出会える「身近な植物」の知らない世界へ行ってみよう!

#くらし   

累計発行部数40万部を突破した『すごすぎる天気の図鑑』がシリーズ化。「すごすぎるシリーズ」の第1弾として『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう!すごすぎる身近な植物の図鑑』が今秋発売されました。

この図鑑、いわゆる従来の植物図鑑ではありません。誰でもどこでも出会いやすい近所の植物のみにスポットを当てた、世にも新しい「身近な植物図鑑」なのです。
今回はいち早く本書を手に入れた筆者が最速レビュー。気になった植物のはなしを抜粋してお届けします。

タンポポはまるでスイミーのよう?


身近な花、タンポポ。その綿毛ひとつひとつにタネがついているのは、みなさんもご存知ですね。では、なぜタンポポの花はひとつなのに、たくさんタネをつけるのでしょう?

タンポポはまるでスイミーのよう?

ためしにタンポポの花をバラバラにしてそのひとつを観察してみると、写真のように複雑なかたちをしていることがわかりました。おしべにめしべ、のちにタネになる子房という部分……。なんと、この小さなひとつがタンポポの花だというのです!

この小さなひとつがタンポポの花だというのです!

気の遠くなるような作業ですが、著者で植物観察家の鈴木純さんが花をすべてバラバラにしてみたところ、全部で148個もあることがわかりました。148個の小さな花が集まって、ひとつのタンポポを形成している――まるでスイミーのようなふしぎな生き様には驚かされます。

148個の小さな花が集まって、ひとつのタンポポを形成している


葉っぱと花の時期をずらす、ヒガンバナ

よく考えると私たちはヒガンバナの葉っぱを見たことがないかもしれません。思い浮かぶのは、秋、地面から唐突に花がニョキッと生えている姿。本当にヒガンバナには葉っぱがないのでしょうか?

葉っぱと花の時期をずらす、ヒガンバナ

この真相を確かめるべく、花が咲き終わった頃のヒガンバナを見に行ってみると……。
なんと根元に葉っぱが顔を出しているではありませんか! 花が咲くときには葉っぱがなく、葉っぱが出るときには花がない――ヒガンバナには葉っぱがないわけではなく、その存在に気づきにくいだけだったです。

ヒガンバナには葉っぱがないわけではなく、その存在に気づきにくいだけだったです


じゃまなものは体で飲み込む樹木たち

樹木の名前が書いてある「樹名板」。植物観察のときに役立つすぐれものですが、稀に樹木が樹名板を自分で持っているようなふしぎな光景に出会うことがあります。もはやパクッと食べているような……。

じゃまなものは体で飲み込む樹木たち

もはやパクッと食べているような…

じつはこれ、樹木の成長の過程で起こるもの。大きくなっていくにつれて幹にワイヤーで巻かれた樹名板がじゃまになっていき、飲み込むように成長していくというのです。びっくりする生態ですが、これも身近なところで観察できるおもしろい現象です。

ついつい見過ごされがちな身近な植物たちですが、目線を変えて観察してみるとそのおもしろさにふれることができます。みなさんも、植物観察にトライしてみるのはいかがでしょうか。

文=オカムラカナヲ

【著者プロフィール】
鈴木純
植物観察家、植物生態写真家。1986年東京都生まれ。東京農業大学で造園学を学んだのち、青年海外協力隊に参加。中国で砂漠緑化活動に従事する。帰国後、国内外の野生植物を見てまわり、2018年にフリーの植物ガイドとして独立。野山ではなく、街中をフィールドとした植物観察会を行っている。2021年に第47回東京農業大学「造園大賞」を受賞。著書に『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』『種から種へ 命つながるお野菜の一生』(雷鳥社)がある。

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