ネイルをSNSに投稿しただけなのに…予想外の展開に3.9万「いいね」!話題のマンガの著者に聞きました
「長いけど一気に読んでしまった」
「すごく深い展開で考えさせられた」
「いろんな教訓が詰まってる」
「冒頭からは予想のつかない展開」
などなど、SNSでたくさんの反響を読んだ漫画をご存知ですか?
ブロガーのぱん田ぱん太さんが投稿したのは、SNSへの何気ないネイルの投稿をきっかけに、予想外の方向へ転がりはじめる長編で、Twitterで3.9万いいねを集めた物語です。
この作品はぱん田ぱん太さんのお友だち・きよかさんの実体験をもとにしたとのこと。
どんなエピソード?
ネイリストを目指している中学生の姪っ子ちゃんにネイルを可愛く塗ってもらったきよかさんは、SNSにその写真を投稿。最初は「かわいい」などのコメントにきよかさんも喜んでいましたが、「どこのネイルサロン?」と、学生時代の同期のチコさんからコメントが入ります。
2人では会ったことはなく、みんなでごはんを食べる際に時々一緒にいた程度の距離感だったというきよかさんとチコさん。
さらにはチコさんからDMが入ります。
「どこのサロン?」
「友達割引とかある?」
「あるんなら紹介して~」
きよかさんは「プロのネイリストさんではないけど、上手だよね」と返したそうです。
すると…
「私もやりたい、紹介して!」
「練習台になってあげる。いつ行ったらいい?」とDMが。
驚いたきよかさんは、「無理だよ~義実家に住んでる子だから…」とやんわり断ります。
そこでやりとりは終わると思いきや、チコさんからは
「大丈夫、全然気にしないで」
「義実家に行くのがダメならウチでも。ガソリン代くれたら迎えに行くよ」と謎の返信!
その後もネイルをしてもらうことを諦めないチコさん。
「ネイリストを目指しているなら練習台は多い方がいいでしょ」と勝手な思い込みできよかさんの姪っ子ちゃんをSNSで探しまくり、無関係な人にきよかさんの名前を出して手あたり次第DMを送っていたことが判明したり、「姪っ子ちゃんの連絡先を教えてもらえれば直接やりとりする!」と言い出したりと、チコさんの暴走に振り回されるきよかさん。
驚くと同時に、きよかさんは、彼女が人の物を欲しがる『クレクレちゃん』だったことを思い出すのでした……。
がめつい友人がエスカレートして大きなトラブルを巻き起こす話かな……と思いきや、物語はチコさんの問題行動を解決したい彼女の旦那さんの葛藤、そしてチコさんの生い立ちに踏み込んでいきます。チコさんの母親は離婚してシングルマザーになったことから節約行動が過剰になってしまい、それをみて育ったチコちゃんもまた価値観が偏ってしまった過去があったのでした。
チコさん夫婦を家に招いて異常行動を目撃した大谷さんの奥さんもまた、かつて家族との関係をこじらせた過去があり、チコさんの行動に理解を示します。こうして自分の行動の異常さに気づくことができたチコちゃんは、優しい旦那さんに支えられて自分を変えることができたのでした。
親が子どもに与える影響や家族との関わりについて、深く考えさせられる長い物語は、多くの反響を呼びました。この物語の著者、ぱん田ぱん太さんにお話を伺いました!
ぱん田ぱん太さんインタビュー
──ブログでマンガを発表されるようになったきっかけはなんでしたか?
ぱん田ぱん太さん:ドイツへ移住したことです。日本にいた時には体験出来なかった新鮮で面白い出来事を発信したいと思い、最初はプライベートのTwitterアカウントで時々呟くだけだったのですが、もっと詳細に面白く特別な方法で広く発信出来る方法は無いかと考えていた時、「絵日記ブログ」というものが存在することをたまたま知り、すぐに始めました。
──ご友人のきよかさんの『SNSにネイル写真をアップしたら最強にめんどくさいことになった』のエピソードをマンガにしようと思ったきっかけを教えて下さい。
ぱん田ぱん太さん:きよかちゃんから話を聞いているうちに、インスタでよく見かける「変な人が現れ、スカッと撃退」といったマンガではなく、もっと深く踏み込んだ内容の特別なマンガが描けるかもしれないと思ったことです。
──ネイル写真をアップしたことをきっかけに、思わぬ方向に展開していきますね。この話をきよかさんから聞いて、どんなことを考えたのでしょうか?
ぱん田ぱん太さん:対人関係のトラブルに巻き込まれることは、多かれ少なかれ誰にでもあると思うのですが、その時に「この人は変な人だなあ」とだけで終わらせずに、その人の背景に何があったのか、なぜその人の中でその変わった価値観が構成されていったのかを知ることはとても興味深く、大事なことだと感じました。そうすることで自分自身を省みたり、再び対人関係トラブルに巻き込まれた時のうまい立ち回り方にも繋がるのではないかと思いました。
──2.5万リツイート、3.9万いいねもの反響がありましたが、この反響を見てどう思われましたか?
ぱん田ぱん太さん:リツイートやいいねの数は「共感」の数だと思いました。こんなにもたくさんの人がこのマンガに出てくる登場人物やエピソードを読んで、ポジティブでもネガティブでも、とにかく「自分にもこんな経験がある」「自分にはこの人の気持ちが分かる」などと共感を覚えてくれたのだと思います。
──読者の方からはどんなコメントがありましたか? リプライや引用RTのコメントで印象に残っているものがあれば教えて下さい
ぱん田ぱん太さん:ご自身も家庭環境に問題があったという方々から、チコさんの気持ちが分かる、チコちゃんのように価値観が捻じ曲がってしまった人が救われてほしい、という内容をたびたびもらい、特に印象に残っています。変な人が変な人というだけで終わらされてしまうことが多い世の中なんだなと感じました。
──ブログではほぼ毎日記事を更新されていますが、今後描いてみたい作品やテーマがあれば教えて下さい。
ぱん田ぱん太さん:私自身が一児の母で、家庭環境や親の価値観が我が子の人格形成にどのような影響を与えるのか、どうしたら我が子が幸せに育ってくれるのか常に考えています。そのため、今後も「家族関係」が主なテーマとなるマンガが多くなると思います。
* * *
この物語は、冒頭のエピソードからは想像のつかない深いテーマと、予想外に爽やかな読後感に、思わずシェアしたくなる物語です。あなたはどんな感想を抱くでしょうか?
取材・文=レタスユキ
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