飛行機雲から空の湿り具合が分かるってホント? その生き様に注目!/雲の超図鑑 すごすぎる天気の図鑑(8)
「すごすぎる天気の図鑑」シリーズでおなじみ! 映画『天気の子』の気象監修者としても有名な荒木健太郎さんが教えてくれるのは、数ある気象現象のなかでも観察しやすく、いつも違う姿を見せてくれる「雲」のお話。
ふとした瞬間に空を見上げるのが楽しくなる、雲にまつわるとっておきのネタをお届けします!
※本記事は荒木健太郎著の書籍『雲の超図鑑 すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
飛行機雲で空の湿り具合がわかる
高い空にのびた飛行機雲──短いものや長いもの、いろいろな飛行機雲をみなさんも見たことがあると思います。じつは、飛行機雲から空の湿り具合がわかるのです。
そもそも飛行機雲は、特殊な雲の分類のひとつで、人間活動が原因で発生する人為起源雲です。飛行機のエンジンからは300~600℃の高温な排気ガスが出て、周囲の低温な空気と混って急激に冷えます。すると、空気が飽和して航路に沿って飛行機雲ができるのです。
飛行機雲は上空が乾燥していると発生しにくく、できても短いものになります。上空がある程度湿っていれば長くのび、とても湿っているとそのまま空に残って飛行機雲をつくる氷晶が成長していきます。ちなみに飛行機雲が空に10分以上残ると、巻雲に分類されます。
西から天気が下り坂のときには上空から湿るため、飛行機雲が長く空に残るようになり、天気の変化を読み取れることもあるのです。飛行機雲の生き様に注目です。
青空に長くのびた飛行機雲。すでに発生から10分以上経過して分類上は巻雲。上空の風に流されて移動していった。
飛行機雲に現われた幻日。氷晶でできているためアークが起こることも。とってもきれい。
空を昇っているように見えるが、実際には同じような高さを飛んで観察している方向へ近づいてきている。逆に離れていく場合には下向きに落ちているように見える。
層状巻積雲などを飛行機が通過すると、航路上の雲がなくなる消滅飛行機雲が現れることも。穴あき雲と同じしくみで、このあと航跡が大きくなっていくこともある。
雲の豆知識
飛行機雲は、上空の風の影響を受けて曲がることがあります。また、空の湿り具合が均一でないときには、飛行機雲が途切れ途切れになることも。ふしぎなかたちの飛行機雲からも空の様子を読み解こう。
著=荒木健太郎/『雲の超図鑑 すごすぎる天気の図鑑』
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