「誰がこんなこと」娘の写真と実名がSNSで晒されたら? いじめ加害者の親が直面する現実。『娘がいじめをしていました』著者インタビュー

 『娘がいじめをしていました』より

「うちの子がいじめをしているなんてありえない」と思いながら過ごしていたある日、突然わが子がいじめの加害者であることを知らされたら……あなたならどうしますか?

しろやぎ秋吾さんのマンガ『娘がいじめをしていました』がSNSで大きな反響を呼んでいます。いじめの加害者と被害者、それぞれの親たちの視点から小学校のクラス内のいじめを描いた作品で、「怖い」「考えさせられる」「誰にでも起こり得ること」「親である人全員に読んで欲しい」など、Twitterには多くの感想が寄せられています。
この物語のあらすじをご紹介しましょう。

【このマンガを読む】『娘がいじめをしていました』(画像136枚)
『娘がいじめをしていました』より

小学5年生の愛は、学校でいじめの首謀者となり、かつては仲良しだった同級生の馬場小春を無視したり、悪口を言ったりしていました。そして、ついには小春にケガもさせてしまいます。
愛の母・加奈子の日常は、いじめ被害者の小春の母親・千春からの電話で一変します。

『娘がいじめをしていました』より

いじめについて以前から学校に相談していた千春は、何の進展もないことに苛立っていました。そして小春のケガをきっかけに加奈子に直接電話をかける決心をし、謝罪を要求します。
赤木家は3人で馬場家を訪れ謝罪をしますが、被害者の小春はこのあと不登校になってしまうのでした。

『娘がいじめをしていました』より

やがて夏休みがあけた頃、加奈子はSNSである投稿に気づきます。それは「#いじめ告発 #拡散希望」のタグとともに、愛の顔が写った写真と実名がネット上に晒されているものでした。そして愛もまた学校でいじめられていることを、加奈子は知ることになります……。

いじめの加害者の親・被害者の親、それぞれの視点を通して、子どもの「いじめ問題」を描いたこの作品について、著者のしろやぎ秋吾さんにお話を伺いました!

著者・しろやぎ秋吾さんインタビュー


  『娘がいじめをしていました』より

── いじめがテーマの物語を描くことになった際、最初はどのように思われましたか? 

しろやぎ秋吾さん:最初は編集さんに「こんな題材どうですか?」と言っていただいて、単純に自分も読んでみたいなと思って描き始めました。自分が何か描きたいと思う時、世間へのイライラやモヤモヤや納得いかないっていう時が多いんですけど、いじめの問題についても「何でこんなことになるまで放っておいたんだよ」みたいな、冒頭の赤木父みたいなことを思っていたと思います。

──いじめへの対応については正解のない難しいテーマだと思いますが、このテーマに挑戦していかがでしたでしょうか。描きながら感じたことや考えたこと、あるいは難しかったことなどはありますか?

しろやぎ秋吾さん:子どもが関わる事件が起きた時に、テレビのニュースでヤバい親が出てきたらどこかほっとしませんか。ヤバい親だから子どもにも問題があったんだ、かわいそうにって一気に人ごとになって、自分には関係ない話だと安心できるみたいな……。そうならないように、いかにも普通そうな両家庭を描くのが難しかったです。

『娘がいじめをしていました』より

──この物語を書くにあたって参考にされた体験談やエピソードなどはありますか?

しろやぎ秋吾さん:馬場さん視点は小さい頃から不登校ぎみだった自分の子ども時代や、その時の親の行動を思い出しながらイメージして描きました。赤木さん視点はイメージするのが難しかったです。というか深く考えようとすると蓋をされる様な、考えたくない様な気持ちになりました。

困ってしまって一度SNSで「子どもがいじめをしていた時」「子どもがいじめをされた時」どのように考えて行動したか体験談を募集したことがありました。寄せられた体験談のほとんどが「いじめをされた時」のものでした。数話だけでしたが「いじめた側」の心情を参考にさせてもらいながら赤木さんならどうするかと考えていきました。

──最後に、読者にメッセージをお願いいたします。

しろやぎ秋吾さん:いじめの話で不快にしてしまったとしたらすみません。最後まで読んでくださりありがとうございます。

『娘がいじめをしていました』より

    *     *     *

この物語は加害者がやりこめられてスッキリ……というような単純な娯楽作品ではありません。加害者だった愛もまた学校でもいじめられ、SNSでも激しい誹謗中傷を浴びることになります。愛の母親・加奈子も保護者会で激しく非難されるなど、負の連鎖が描かれます。
「もし子どもがいじめられたら」「もし子どもがいじめをしていたら」……その時どう行動すべきか、どう子どもに向き合うべきか、考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

取材・文=レタスユキ

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