クローンでも増える! 地面を覆うように成長するシロツメクサ/すごすぎる身近な植物の図鑑(6)

#くらし   
シロツメクサはどうやってひろがる?

『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』6回【全8回】


普段何気なく目にしている草木や花には、命をつないでいくためのすごい生態や、ユニークな特徴がいっぱい!

そんな面白さを教えてくれるのが、植物のガイドや写真家として活動する植物観察家の鈴木純さん。誰でも見られる身近な植物にスポットを当て、探し方から観察方法、知っていそうで意外と知らないトリビアまで分かりやすく解説。知れば植物への興味が深まる内容ばかりです。

花だけでなく、葉やタネ、根や茎にも注目したくなる、植物観察の楽しみ方を紹介します。

※記事は、関東圏で実際に観察した記録をもとにしています。地域によっては見られない植物があったり、観察する時期にずれがあるなどの可能性があります。
※本記事は鈴木 純著の書籍『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』から一部抜粋・編集しました


シロツメクサはクローンでも増える

マメ科 シャジクソウ属

見みられる時期:4〜10月
見みられる場所:公園、道端

シロツメクサはどうやってひろがる?

よつばのクローバー探しで知名度抜群のシロツメクサ。春から初夏にかけて咲く白い花で花かんむりをつくって遊んだ方もいると思います。まちなかでもふとしたところに生えていますが、なんといっても公園などの緑地で群生している姿は見ごたえがあります(写真①~③)。

ふとしたところに生えています

群生している姿は見ごたえがあります

シロツメクサはどうやってひろがる?


さて、シロツメクサはどうしてこんなに一面を覆うように成長するのでしょうか。もしかしてタネに秘密が?それともなにかほかにワケがあるのでしょうか?

地面に這いつくばって観察してみよう。

地面に這いつくばって観察してみよう


目のつけどころ


こんもりの正体はひとつの株だった

わかりやすく写真を撮るために、シロツメクサを1株、わが家の庭に移植してきました(写真④)。

わかりやすく写真を撮るために


ちょっと元気がない様子で心配していましたが、3週間後には写真⑤のように葉っぱが増えてきました。いえ、葉っぱが増えたどころか、なんだか全体にひろがったような気がします。

3週間後には葉っぱが増えてきました


さっそく地面に顔を近づけて株の端っこを見てみます。すると見えたのは、シロツメクサの横にのびる茎(写真⑥)。どうやらシロツメクサは、茎を上方向ではなく、横方向にのばすことでひろがっていくようです。

横にのびる茎


茎から出る根っこで横に増えていく

続いて、横にのびた茎を持ち上げてみます。すると、茎の節から白いものが出てきていました(写真⑦)。

茎の節から白いものが


この部分は地面にささっていたので、どうやら根っこのようです。シロツメクサの横にのびる茎は「匍匐茎」と呼ばれるもので、その茎から根っこを出して地面にくっつくことができます。

地面に根っこをおろしたら、途中で茎が切れて本体と切り離されても、そこで新たな命として生きていくことが可能です。要するに、シロツメクサはクローンとして増えていくことができるのです。

分身をつくる植物

種子ではなく、植物の一部が切り離されて新しい個体になる繁殖を「栄養繁殖」といい、これにはさまざまな方法があります。

茎から根を出す→ヘビイチゴ、オリヅルラン
葉っぱから芽や根が出でる→ショウジョウバカマ、セイロンベンケイソウ
地上にむかご(イモ)がつく→ヤマノイモ、オニユリ
地下の茎で増える→ドクダミ、ジャガイモ

【豆知識】
無理やり人に置き換えると、ある日胴体が横にわかれてのび、そこから足が生えたという感じでしょうか。それが本体と離れると、自分と同じ個体が歩きはじめる。奇妙です……。

著=鈴木 純/『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』

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