あまりの壮絶さにSNSでも共感の声が続出!『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』著者・松本ぽんかんさんインタビュー

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  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

「つわり」の症状と聞いて何を思い浮かべますか?
ドラマなどでは妊娠初期に吐き気を感じて洗面所やトイレで嘔吐するような描写がよく見られますが、つわりの症状は人それぞれ。妊婦さんの中には想像以上に重い症状が現れる方もいます。

漫画家・松本ぽんかんさんがコミックエッセイ『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』で描いたのは、あまりにも壮絶すぎるつわり体験でした。

松本さんが初めての妊娠で患ったのは『妊娠悪阻』。水すら飲むことができず、人によってはち胆汁や血を吐くこともあり、妊娠中にも関わらず体重がぐんぐん減っていくという恐ろしい症状です。妊婦さんによっては健康状態を維持するために通院や入院での治療が必要となることもあります。

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

松本さんの場合、妊娠発覚後に次第に食べられるものが少なくなっていったそうです。はじめはかろうじて食べられていたパンやそうめんも一度吐いてしまうと二度と食べられなくなり、妊娠9週目に入るといよいよ何も食べられなくなって、桃6個で一週間をしのいだそうです。エアコンやキッチンのちょっとした臭いや、スマホやテレビの光でも気持ち悪くなる症状が出て、松本さんの体はどんどん衰弱していきます。

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

妊娠11週目、そんな松本さんの様子を見かねた夫が、病院に松本さんを連れていきました。「ただ耐えるしかない」「つわりで病院に迷惑をかけてはいけない」と思い込んでいた松本さんでしたが、病院では脱水症状のあまり尿検査も採血もできず、「なんでもっと早くこなかったのか」と言われてしまいます。そして医師から「妊娠悪阻」の診断を受け、職場に提出する書類をもらい、症状がおさまるまでの間、通院して点滴を受けることになります……。

そんな松本さんの壮絶すぎる妊娠体験記には、読者から大きな反響がありました。あまりに過酷な妊娠生活に、「つらいのは自分だけじゃなかった」と共感する声も多く寄せられました。

このエピソードをマンガにした著者の松本ぽんかんさんに、詳しいお話を伺いました!


著者・松本ぽんかんさんインタビュー


──読みやすくコミカルに描かれてはいますが、あまりに壮絶なつわり体験でしたね。妊娠を経験した人は程度の差はあれ妊娠トラブルに悩まされた人が多いと思うので、共感の声が多かったのではないかと思います。読者からはどんな反響がありましたか?

松本ぽんかんさん:
ありがたいことに本当に共感のお声を多く頂きました。「私だけじゃないんだと励みになりました」とか「甘えじゃないと分かってくれる人がいるだけでも救われます」とか、「夫に上手く説明できないので、「これ読んで!」と見せたら分かってくれました」という声なんかも(笑)。本当に描いてよかったと思いました。

しかし共感の声ばかりではなく、厳しいお声もありました。「こんな漫画読んだらますます少子化になる」とか、「これ読んで絶対に妊娠したくないと思いました」とか……。

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

──特に妊娠11週、吐きづわりで死ぬ思いをされたときに「言ってはいけない言葉を口にしてしまった」と、「もう…妊娠やめたい…」というセリフを描かれています。私も妊娠期間に死にそうな思いをしたので「わかる!」と深く共感しましたが、同時に、この気持ちを正直にマンガに描かれたことに驚きました。このセリフを描く時に迷いはありませんでしたか?

松本ぽんかんさん:
当時水すら飲めない日が続き、体力的にも精神的にも限界を迎えてとうとう夫にぶちまけてしまったのがあのセリフでした。望んで妊娠してせっかく授かった我が子に対して、自分はなんて非人道的なことを考えるんだとすごく悩みましたが、あれは限界を迎えた私の、心からの本音だったんですよね。その時食べていたものをのどに詰まらせて、死の恐怖に直面したというのもあるのかも。

とんでもない発言であるのは重々承知でしたが、この本音なしに妊娠悪阻の辛さを語っても、なんだか嘘っぽくなってしまうなと思ったので、描きました。むしろ一番伝えたかったのはそこだったんだと描いた後に気がつきました。

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

──見かねた旦那さんが妊娠12週に病院に連れて行った時のエピソードも壮絶ですね。尿検査も血液検査も全く採れないほどの脱水症状で、医師から入院を勧められています。この時の心境を詳しく教えていただけますか。

松本ぽんかんさん:
なんであんなになるまで我慢していたんだろう…本当に愚かですね。(笑)
意識が朦朧としていたので正直よく覚えていないんですけど、先生が入院させようとしてくるのを必死で拒否したのだけは覚えています。泣きながら「帰りたいです!!!」と言っていたような……。

でもその後も毎回脱水ギリギリで、点滴に通うのが本当にしんどかったので、もし次同じ状況になることがあれば即入院しますし、他の方にも入院を勧めます。(笑)

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

──「つわりで弱音を吐くのは甘えだと思いこんでいた」の言葉が印象に残りました。同じように考えている妊婦さんも少なくないと思いますし、またつわりで苦しんでいる身近な方に対して甘えだと感じている方もいらっしゃると思います。この思い込みについて、今はどう考えていらっしゃいますか? 読者に改めて伝えたいことがあればお聞かせください。

松本ぽんかんさん:
甘えなんかじゃないです!!! あれはもうど~~することもできません!!!
自分で望んで妊娠したとしても、自分の身体がとんでもないことになると事前に分かっているわけではないですし、ただ横になって寝ているだけでもお腹の中で新しい命を育てるという大事な仕事をされているので決して自身を、また相手を責めないでほしいです。

「私はぽんかんさんほどつわりが重くないのでまだ我慢します」などというメッセージを頂いたりもしますが、つわりは重さも長さも、また限界値も人それぞれなので、人と比べたりせずに自分がつらいと思ったらつらいと言っていいと思います。脱水状態になると本当に回復が遅れてしまうので、脱水になる前に病院行ってください!!医療を頼って!!!

  『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』より

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妊娠・出産で経験する自分自身の身体の変化は、誰にとっても「こんなに大変だなんて聞いてなかった!」と思うことが多いですよね。つわりの症状はひとそれぞれ、いつまで続くのかも人それぞれです。重症化すると松本さんのように治療が必要な場合もありますので、「つわりで弱音を吐くのは甘え」と思い込まず、つらい症状があるときは病院で相談してくださいね。

取材・文=レタスユキ

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