小3息子の転塾先を探しています。子どもに合う塾の選び方とは?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

2021年1月15日発売の新刊『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第60回目のお悩みはこちら。

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【お悩み】

この春に4年になる息子の新しい塾を探しています。今通っているところは、幼児教室からの流れで、小3までの塾。そこを選んだ理由は母子同室だったからです。息子は幼稚園の頃から、興味のないことは全くやらないタイプで、例えばお遊戯をやる時も、鉄道好きな息子は「電車の役がないならやりません」と言ってしまうような子。一人だと、自分の琴線に全く触れない場合、何もせずにボーっと過ごしてしまう恐れがあるため、親が一緒に入れる塾を選びました。

算数メインの塾で、算数が得意な息子は楽しく通っているのですが、何かうまくいかないことがあると、ふてくされたり反抗的な態度をとることがあります。それで以前、他の親御さんから注意を受け、私がへこんでしまったことも。でも息子は、「塾をやめたくない」と言うので、それからは父親に一緒に行ってもらっています。父親だと怖いというのもあり、ちょっとふてくされても、顔を洗って来させるなどの気分転換をさせ、もう一度座らせることで、なんとかうまくいっているようです。

そんなこともあり、できるだけ少人数な塾がいいと思っています。先日体験に行った塾では、国語が苦手な息子が的外れな回答をしても、「そんな考え方もあるよね」と認めてもらえ、本人も嬉しかったようです。ただ、算数の授業中にイスをグラグラしたのを先生に注意され、「算数は今の塾の先生のほうがいい」と言っています。実は、息子にはADHDがあり、本人は意図せずイスをグラグラしてしまうことが多々あるため、そこを厳しく言われたことに不安を感じています。また、授業時間の長い塾も、ずっと大人しく座っていられる自信がなく、躊躇してしまいます。

息子は、鉄道と戦国武将が好きで、テレビではクイズ番組をよく見ています。本だと鉄道の図鑑と時刻表ばかりで、物語はほとんど読みませんが、最近は戦国武将列伝とかは読むようになりました。私としては、息子には将来的に“飯が食える大人になって欲しい”ということ、そしてできれば、“自分の好きなことをしてお金を稼げるようになって欲しい”と願っていますが、息子にどんな塾を選んであげたらいいでしょう?(マリさん・39歳)

【小川先生の回答】


一校の決め打ちはリスク大。何校か比較してじっくり検討を

知識をコレクションするのが好きで、少々理屈っぽいところがあるお子さんだと思います。そのため、「いいからこれをやりなさい」という塾よりかは、子ども扱いせずにきちんと理由を説明してくれるような、一人前の人として接してくれる先生がいる塾が向いていると思います。お母さん自身も、息子さんに対して、“序列よりも本人の満足の方が大事”と思っていらっしゃるようなので、偏差値で煽り立てられる大手の進学塾より、個人個人を細やかに見てくれる中小塾のほうが向いているのではないでしょうか。学習メニューをひたすらこなすのではなく、好きな科目をたっぷりやらせてくれるとか、「この本好きそうだから読んでみたら?」と先生が勧めてくれるなど、得意を伸ばす指導をしてくれるところのほうが、本人も勉強をがんばりやすい気がします。

ただ、中小塾というのは、塾長の個性がそのまま反映されやすく、先生の入れ替わりもあまりないため、若干柔軟性に欠ける面も否めません。そのため、合う子にはとてもいいけど、合わない子には全然合わないということが起こりやすいのも事実です。そこは前もって点検しておく必要があるため、1校だけの決め打ちではなく、いくつか見て比較したうえで、本人に合うところを選んであげるといいでしょう。

実力を発揮するためには、居心地の良い環境が必須

合う塾を見極める際のポイントは、そこにいる本人が空気感的に心地よさそうかどうか。本人が“なんとなく好き”とか“ここはなんか嫌だ”という直観的なものは、意外と的を得ているため、大事にしたほうがいいです。心地よくいられる環境のほうが、ストレスなく自分を発揮しやすくもなります。

特に、ADHDの子はストレスを感じやすいので、“安心・安全な空間”というのがベースにないと、過敏な反応をしてしまいがちです。何か圧力があると、それを大きく捉えてしまい、余計に落ち着きがなくなるのです。イスをグラグラさせてしまうのもそのためで、居心地のいい空間であれば、頻度は減ってくるかと思います。

オンラインなら本人のスタイルに合った受講も可能

今は、オンラインの授業も充実しているところが多いので、そういったものも選択肢のひとつに入れてもいいのではないでしょうか。録画形式の授業であれば、1日30分ずつなど分割して受講することも可能なので、長時間集中力が持たない子でも、自分のペースで受けられます。
朝の目覚めがいい子であれば、朝学校に行く前の30分受講というのもいいですね。4年生だと大体1講座1時間のため、2日で1講座終了します。30分ならハードルも低くて続けやすいですし、勉強後に一緒に朝ご飯を食べれば、一仕事終えた感で気分よく学校へ行けると思います。

息子さんの場合、夕方以降に勉強するより、朝一学習のほうが向いている気がします。ADHDは“注意力欠陥”と表現されることがありますが、何かが劣っているということではありません。そうではなく、あれもこれもいろんなことが気になってしまうだけ。脳がいろんな情報を仕入れ過ぎてしまうため、いっぱいいっぱいになって落ち着かなくなり、記憶にも残りにくいのです。そのため、1日の疲れがたまってきた夕方以降の勉強というのは、あまり向いていません。しっかり寝て起きた朝のほうが、頭もリセットされているぶん、余計な情報に惑わされることなく、勉強に集中できると思います。
4年生のうちはオンラインで塾の学習メニューに慣れさせ、様子を見ながらスクーリングに切り替えるという手もあります。

このようにリアルの通塾、オンラインでの利用など選択肢を多めに見つけた上で、できれば3つくらいの塾を比較検討して、どの環境がムリなくできそうなのかという選び方をされるといいと思います。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て


『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』

大手進学塾や個別指導塾での経験から、子ども一人ひとりの持ち味を見抜き、強みを生かして短期間で能力を伸ばす独自ノウハウを確立。教育家・小川大介氏が、自分軸を伸ばす子育てのコツを公開した話題の一冊。


■小川先生のTwitter:@Kosodate_Ogawa
■小川先生が主任相談員を務めるサイト:中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

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