やるって言うから買ったのに!勉強も習い事も約束を守らない中1息子【小川先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第108回のお悩みはこちら。

【お悩み】

中1の息子は、やると約束したから買ってあげたものを、ちっともやりません。例えば、英検の問題集。「受けたいから問題集買って」と言われたから買ったのに、やるのは最初だけ。今は全く開きもせず、英検をいつ受けるのか聞いても「知らない」と調べようともしない始末です。

また、習い事の剣道の防具類が小さくなり、買い替えを考えていた時のこと。ちょうど中学に上がり部活のバスケも忙しくなってきたし、多少小さくてもつけられないほどではないので買うか迷ったのですが、本人は「初段を取るまではがんばりたい。行ける時はがんばって行くから」とのこと。部活とかぶる平日は無理だけど、日曜は午前中で部活が終わるため、夜の剣道には行くという約束で買い換えました。ところが蓋を開けてみたら全然行かず、「部活で疲れてるのに、何でまた疲れることしなくちゃいけないの?」と言って家でダラダラ。約束したことを念押しすると、「疲れた体にムチ打つようなこと言うな」と逆ギレされてしまいます。確かに、部活はハードそうですが、午後はずっと家で休んでいるので、夜には大分回復しているはず。剣道には行けると思うのですが、気持ちを立て直しきれないようです。

それでも強制的に行かせると、「褒められた」「行って良かった」など嬉しそうに帰って来るのですが、次の時にはまた「やっぱり行きたくない」と逆戻り。最近はコロナで稽古が休みになることも多く、「久々だから行こうよ。これを逃すとまたしばらく行けなくなるかもよ」と行かせようとしても、なかなか行きません。

正直なところ、そんなに行く気がないのだったら、買い替えなければよかったと思ってしまいます。「買ってもらったから、約束したから、ちょっとがんばろう」という気持ちを持って欲しいと思うのですが、どうすればいいでしょう。(Mさん・44歳)

【小川先生の回答】

行動をためらわせているのは「できなさそう」という不安


息子さんは、適当に約束をしているわけでも、約束を破ろうとしているわけでもないと思います。「行くと決めたから」とパッと立てる子もいれば、「決める」ことが苦手な子もいます。息子さんはまだ「決める」ということに関して成長途上なだけ。「行こう」という気はあるものの、体が疲れているのもあり、「しんどそうだな」とか、「できそうにないな」と不安になっている状態なのでしょう。本人が動き出すところのイメージやできる感を持てていないから、体も動かないのです。

久しぶりのことは精神的にも肉体的にもハードルが高い


しかも、久しぶりの稽古ならなおさらのことです。既に行かない習慣がついてしまっているわけですから、気持ちで行こうとしても、体がついてこないのだと思います。毎週の習慣になっていれば、行っているうちに段々体も馴染んでいきますが、間が空いているとやはり精神的にも肉体的にも難しいもの。そういった困難を超えてまでの強い意志が、まだ本人に育まれていないので、そこはサポートしてあげたほうがいいですね。

例えば「荷物を持ってあげるよ」と道場の前まで連れて行ってあげたり、稽古の1時間ほど前に外出して、カフェでお茶なり宿題するなりしたその足で、道場に向かわせたりなど、少し助走をつけてあげるといいと思います。ちょっと手伝うことで、やれている状態を積み上げていくことが大事です。

「約束だから」でやらせるのではなく、やれそうな環境づくりのサポートを


実際に稽古に行ってしまえば、ちゃんとやっているようなので、やはり息子さんは根っこの部分では怠け者というより慎重派。「できなさそう」という不安が大きいのです。約束したことを念押しされてイライラするのも、できない気分になってるところを責められた気がして、傷つけられたという思いが怒りに繋がっているのでしょう。

だから、「約束したからがんばろう」というのを息子さんに求めるのは、少しかわいそうな気がします。約束を理由にするのではなく、「途中まででもやれるところまでやってみよう」という「やれるお手伝い」が必要なんだということは、わかってあげてください。それは、甘やかすということではなく、まだ本人が自分を前に押し出す力が弱いため、それを鍛えるために助けてあげるということです。精神論や約束などという言葉で縛るのではなく、ちょっと手を引いてやらせてあげるようなイメージでサポートしてあげましょう。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『応援の仕方を変えるだけで好転していくはず』
「しんどいな」「できそうにないな」という不安なり抵抗を感じ、頑なにそこから外れない子というのは、できる側に回ってきたものは一転してやる気を示し始めるもの。「約束を守るということは、成長途上の子どもにとっては結構ハードルが高い」ということを理解して、息子さんに合った応援の仕方をしてあげれば、本人の身にもついていきそうな気がします。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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