「ミッフィー」の口はなぜバッテンなの…!? 世界中から愛されるミッフィーの秘密

#くらし   

全世界50カ国語以上に翻訳され、8500万部以上のロングセラーとなっているブルーナの絵本シリーズ。
子どもたちを喜ばせたいと約60年にわたって絵本をつくり続けてきた作者のディック・ブルーナさんの思いは、彼が亡くなってもなお現在の子どもたちへと届けられています。
今回は、そんな愛され続けるミッフィーの魅力を、今年上梓された『ディック・ブルーナ 永遠のデザインとことば』から紐解いていきましょう。

たった2つの点とバッテンだけで表現されているミッフィー


ミッフィーはとてもシンプル。なぜなら2つの点とバッテンだけで顔が構成されているからです。
そんなシンプルなミッフィーですが、ふしぎなことに、あるときはちょっとだけうれしそうに見えたり、あるときは怒って見えたり悲しんで見えたりするから驚きです。

ミッフィーは、2つの点と1つの小さなバッテンだけで表現

家族とミッフィー

ブルーナさんは納得のいくミッフィーの表情を描くために、バッテンをほんの少し上げたり下げたりして、何度も何度も描き直していたそう。
「これだ!」というものが描けるまで、100枚以上描き続けることもあったようです。

ちなみに、ミッフィーの口はなぜバッテンなのか? 一度は気になったことがある方もいると思います。
これは、ブルーナさん自身が子どもの頃から本物のうさぎの口がバッテンだと思っていたことが所以。口がバッテンになったのはごく自然なことだったようです。

正直に向き合えるように努力しています

こちらに向かってまっすぐ正面を見つめているミッフィー


ミッフィーの顔の向きに注目してみると…

歩いていても、自転車に乗っていても、ミッフィーは必ずまっすぐと正面を見つめていることをご存知でしたか? この表現方法には、正直でストレートな子どもたちに対し「自分も正直でありたい」というブルーナさんの気持ちが込められています。

ブルーナさんはこんな言葉も残しています。

「机に向かっていると、子どもが向こうから見ているような気がします。彼らは私の目をまっすぐに見つめてくるので、絵本の中の主人公たちも必ず正面を向くように描いています」

子どもたちとまっすぐ向き合いたいというブルーナさんの気持ちが、絵本のキャラクターたちを正面向きにさせているのかもしれません。

私は最近この表現が気に入っています

これはレア! ブルーナさんは、片方の目だけを描いて「なんだろう」という表情にするのが難しいと言っていたそう!


壁からひょっこり! 片目のミッフィーの魅力

いつだって正面を向いているミッフィーですが、なかには片目だけ見えているミッフィーもいます。
ミッフィーが友達と一緒に、壁から顔をのぞかせている姿がたまらなくかわいいこの絵。
これは2010年に開催された55周年記念の展覧会「ゴーゴー・ミッフィー展」でメインビジュアルにも使われ、話題になった絵でもあります。
ふだんは顔全体が見えていることが多いミッフィーですが、半分だけ見えていることで愛らしさが増しています。

これは、ブルーナさんもお気に入りの絵で、片方の目だけを描いて「なんだろう」という表情にするのが難しいと言っていたそう。
こういったミッフィーに出会えるのもブルーナ作品の魅力です。

ミッフィーの温かさに出会う

子どもにとって一番大切なのは、温かい家庭で育つこと。特に生まれて最初の6年は大切な時期だとブルーナさんは言います。

自身も家族の温かさに包まれて育ったブルーナさんが、両親からもらったその温かさを絵本の中に描くことで、読者の子どもたちにもそのぬくもりを分けられる――ミッフィーを見ていると、そんなブルーナさんの想いが感じられます。

お父さんと海に行ったり、大好きなおばあちゃんの死と直面したり、自分とはどこか違うお友達と出会って驚いたり…。ミッフィーの世界は広がりを増していますが、どれも深く温かな愛を感じられるものばかり。ぜひ、お子さんと一緒にブルーナさんが伝えたかった温かさにふれてみてはいかがでしょうか。

「シンプルにすること」に挑戦し続けているから

両手を上げている姿もかわいい!


文=宮本香菜

【ディック・ブルーナのプロフィール】
1927年、オランダ・ユトレヒト生まれ。
絵本作家、グラフィックデザイナーとして世界的に愛されている。日本でも1964年『ちいさなうさこちゃん』(福音館書店刊)以降、5000万部以上の絵本が刊行され、子どもが初めて出会う絵本作家として親しまれている。2017年永眠。享年89歳。

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