保健室登校を続ける娘の日々。ビーズ作りに夢中になって3時間もいられるように!/娘が学校に行きません(23)

#くらし   
こうやって こうやって

『娘が学校に行きません 親子で迷った198日間』23話【全23話】


文部科学省が2021年10月に発表した「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、2020年度、小中学校における長期欠席者の数は28万7747人、そのうち不登校の児童生徒数は19万6127人に及び、8年連続で増えているのだそう。

数々の人気コミックエッセイを手掛ける漫画家・野原広子さんの娘・トモちゃんも不登校になった児童の一人。小学5年生のある朝「今日だけでいいから学校休ませて」と言い出します。野原さんが「今日だけだよ」と許可したところ、そこから学校の話をすると喘息や発熱するようになり、学校に行けず不登校状態になってしまいました。叱咤も励ましもトモちゃんには効かず、どうしたらいいのか悩む野原さん。暗く深い迷路に迷い込んでしまった気分だったそうです。

一時は「学校を辞める」と退学宣言までしたトモちゃんでしたが、保健室の先生からの声かけをきっかけに、夏休み明けの新学期から保健室登校をすることになりました。2時間いられる日もあれば、30分しかいられない時も。一進一退を繰り返すトモちゃんですが、先生や野原さんは焦らずにサポートしていきます。そんなトモちゃんの保健室登校の様子を見てみましょう。

※本記事は野原広子著の書籍『娘が学校に行きません 親子で迷った198日間』から一部抜粋・編集しました。


このころ2時間くらいいることができている

こうやって こう?

こんなにいられたね


一進一退を繰り返すトモちゃんの保健室登校。波はあるものの、不登校解決へ進むべき道筋が定まってきたこと、保健の先生の存在も心強く、親子で気持ちを安定させていきます。
朝起きて毎日外へ出る。簡単なようで難しい、規則正しい生活のリズムを作るきっかけとなる保健室登校。次第に長い時間保健室にいられるようになったトモちゃん。じっくりとビーズ作りに取り組み、気がつけば3時間も経過していました。

その後先生たちの連携プレーと周りの助言もあり、次第に状況が変化していきます。その中で徐々に回復し、学校に行けるようになったトモちゃん。その時のお話を野原さんにうかがいました。

「校長先生と初めてお話しした時に、教室まで戻る目標を遠くに置かれた時には『ありえない!』と怒りとともに思いました。後に先生が設定した目標は現実的だったとわかるのですが、そのころの自分は地図を持たずに山に登っているようなそんな気分でした」

「不登校、本当に大変です。修行でした。心は焦りまくっているのに、穏やかな顔で子どもに寄り添う。怒りが爆発しそうなときは先生の言葉を思い出して、心を落ち着ける。マックスで大変だったのは2ヶ月目くらいだったと思います。どうしても学校に行かないという娘を受け入れることができなかったんですね。本来の娘に戻るまでには1年くらいかかったように感じています。再び教室に通うようになってみて改めて、中途半端にエネルギーを充電した状態で教室に戻してはいけないんだということは感じました。」

「不登校に悩む親御さんは、子どもと一緒になって沈み込まないようにしてもらいたい、ということです。寄り添うのはいいのですが、親まで落ち込んではダメです。家庭ごと沈んでしまいます。悩んでいるのは子ども。元気になるように見守るのが親。と分けて考えてください。何を根拠に?と思われるかもしれませんが、『大丈夫大丈夫。なんとかなる』と嘘でも明るくしてください。そして子どもから見えないところで、時々吐き出してくださいね」

近年、世の中の不登校への理解はずっと広がっていると野原さんは言います。焦らず見守る。なかなか難しいことですが、本当に学校に行くのが辛いのなら、親もお子さんも「今はいろいろな選択肢があるから大丈夫」と心の緊張を取ることが大切なのかもしれません。

著=野原広子/『娘が学校に行きません 親子で迷った198日間』(KADOKAWA)

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