子どもは熱中症にかかりやすい! いざというときの症状&対処法/子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK(6)

#くらし   
熱中症になったら

『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』 6回【全8回】


子どもの体の心配ごとがあれば、どんな小さな体調の変化でも、いつ悪化するか、ケアが適切か、大きな不安に繋がりがち。特に深夜に体調が急変、突然の事故、災害…。不測の事態が起こった時にはパニックになり正しい対処が難しいことも。

そんな時でもすぐ開いて必要な知識が手に入るよう、症状別にホームケアや通院の目安を小児科医の佐久先生が解説してくれるのが、『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』です。
本書から、「この症状の時は病院に行く?行かない??」の判断材料になる、いざというときに知っておきたい情報をご紹介します。

※本記事は佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム、江村康子著の書籍『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』から一部抜粋・編集しました。

熱中症かも…!

今まで以上に気をつけないとね!


暑い時、湿度の高い時に起きやすい
熱中症

子どもは熱中症にかかりやすい!

熱中症とは、主に初夏から夏にかけて環境に体が適応できないことで起こる、様々な症状の総称です。暑い日だけでなく湿度の高い時期も起きやすく、「梅雨明けの暑い日」が最も発生リスクが高いです。子どもは体温が上がりやすく、脱水になりやすいこと、大人より背が低いため地表の熱を受けやすいなどの点で熱中症のリスクがあります。また低年齢ほど症状をうまく言えません。外出時の休憩や水分補給、室内の温度調整などは大人がコントロールを。

熱中症の症状は進行することがあるので、その後の経過に注意を。悪化するようなら速やかに医療機関を受診してください。

症状&対処法

I度 [軽症] 発汗、平熱

□めまい
□立ちくらみ
□筋肉痛(こむら返り、足がつるなど)
□どんどん汗をかく
□手足のしびれ
□気分不快感
・意識障害なし
・熱はあまり上がらない

I度 軽症(発汗、平熱)

▶︎▶︎応急処置:体を冷やして水分補給(下記参照)

II度  [中等症] 発汗、40度未満

□頭痛
□吐き気
□嘔吐
□だるさ
□疲れ
・発汗あり
・体温は正常〜40度未満
・意識障害なし
・夏に流行する胃腸炎などの感染症と紛らわしいことがある

II度 中等症(発汗、40度未満)

▶︎▶︎症状が改善しない場合はタクシーや自家用車ですぐに受診

III度  [重症] 異常発汗、発汗停止、異常な高体温

□呼びかけへの反応がおかしい
□けいれん
□まっすぐ走れない
□異常な高体温
□肝臓や腎臓の障害など (血液検査でわかります)
□ 異常な発汗もしくは汗が出なくなる(発汗停止)

Ⅲ度 重症(異常発汗、発汗停止、異常な高体温)

▶︎▶︎III度の可能性がある、ぐったり感が強い場合は救急車を呼ぶ

応急処置のポイント
体を冷やして、水分補給

1 涼しい場所に移動し、仰向けに寝かせる

クーラーがきいた室内など涼しい場所に移動し、仰向けに寝かせます。

涼しい場所に移動し、仰向けに寝かせる


2 身体冷却

服をゆるめ、保冷剤やタオルで首・脇の下・太もものつけ根など太い血管の部分を冷やします。肌に水をかけたり、濡れタオルなどで拭き、厚紙などであおぎます。

身体冷却

エタノール噴霧や制汗スプレーは、熱中症 の応急処置としては推奨されていません。

3 水分摂取

脱水の治療としては経口補水液(ORS)がおすすめです。

乳幼児
<何がいいの?>
・アクアライトORS(R)
・授乳中の児は母乳やミルク
乳児で脱水かもと思った場合は速やかに受診してください。

<どれくらい?>
乳児 30〜50ml/kg
幼児 300〜600ml/日

小児・成人
<何がいいの?>
・OS-1(R)
なければ市販のスポーツドリンクや味噌汁の上澄み、2倍に薄めたリンゴジュースも可です。

<どれくらい?>
学童〜成人 500〜1000ml/日

自家製ORS
1Lの水に砂糖大さじ2〜4杯(20〜40g)+食塩小さじ0.5 杯(3g)を溶かせば自家製ORSの出来上がり。

自家製ORS

意識レベルが悪い場合や嘔吐がある場合は、水分摂取は控えてください。

症状が改善しない場合は受診

タクシーや自家用車ですぐに受診
□経口で水分補給できない
□様子を見ていたが症状が改善しない
□意識障害はない
点滴治療が必要なためタクシーや自家用車ですぐに受診。

解熱材は使っていいの?
・熱中症の高体温→下がらない
・頭痛→鎮痛効果あり

ぐったり感が強ければ救急車でもOK

待つ間も応急処置を続けて!
III度の可能性がある場合救急車を呼んでください
□体温が高い
□意識障害が少しでもある
□けいれんがある
入院治療が必要(場合によっては集中治療も)なので、緊急で救急要請をしてください。救急車を待つ間にも、応急処置を進めてください。


著=佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム、江村康子/『マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)

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