私ってうつ病にならないタイプ?精神科医だってかかるのがうつ病なんだ/マンガでわかるうつ病のリアル(15)

#くらし   
私はそういう病気になるタイプじゃないから!

『マンガでわかるうつ病のリアル』15回【全26回】


なにかと多忙な毎日を過ごす現代人。ストレスフルな社会環境のなか、こころのバランスを崩し、不調に陥る人が増えています。重度のうつ病に5年以上苦しむも、「メンヘラマッスル作家」として奇跡の復活を遂げた錦山まるさんもその一人。

うつ病患者の夢(ろまん)とうつ病に詳しいペットのまる、夢の友人の璃杏(りあん)が織りなすエピソードと共に、錦山さんの実体験を交えながら、うつ病の実態と「うつ病に関する間違った知識」をわかりやすく紹介します。なんとなく気分が落ちている…という人や、その周りの人に知ってほしいうつ病のリアルをお届けします!

※本記事は錦山まる著の書籍『マンガでわかるうつ病のリアル』から一部抜粋・編集しました。


登場人物


自分はうつ病にならない、自分は弱くない…そんなワケないでしょ。


精神科医だってなるんだぜ


「自分はガンにはならない」と断言している人がいたら、「なぜそんな事がわかる?」と思うよな。

 まる

「自分はうつ病になるかもしれない」と本気で考えたことがあるでしょうか? おそらく多くの人がないと思います。

むしろ「自分はそういう病気になるタイプじゃない」などと、まるでテレビ番組で詐欺の被害者を見たときのように“存在は知っているけどまさか自分が当事者になるとは夢にも思っていない”という人がほとんどではないでしょうか?

では「自分はそういう病気になるタイプじゃない」をうつ以外の病気に置き換えてみてください。「自分はガンになるタイプじゃない」「自分は気管支炎になるタイプじゃない」「自分はインフルエンザになるタイプじゃない」…違和感がありませんか? もし周りでこのように言っている人がいたらどう思いますか?

うつ病の話だと何だか筋が通っているように聞こえるだけで、実はこんなにもおかしな理屈なんです。

うつ病に苦しむ人は、日本に推定506万人もいるんだぞ。

まる

忘れられがち…というか変に区別されがちですが、うつ病は“病気”です。ガンや気管支炎やインフルエンザと同じ、世の中に無数にある病気のうちの1つです。職業も性格も性別も年代も関係なく、いつ誰がどんなタイミングでなったとしてもおかしくない。

うつ病患者さんは日本だけで506万人いるという推計があります(※1)。単純に計算すると25人とすれ違えばそのうちの1人がうつ病ということになります。目で見て分からないから意識できないだけで、あなたがお出かけするたびに何人見かけても実はおかしくないんです。

うつ病の生涯有病率(生きているうちに病気になる確率)は3~7%(※2)とされています。14~33人に1人はうつ病を経験する計算になります。ということは学校のクラスメイト、同級生、習い事で一緒になった人たち、バイト先、会社の同期など、あなたが今まで関わったあらゆる集団からうつ病患者が出ていても何もおかしくないんです。「自分はそういう病気になるタイプじゃない」なんて自信は全くアテにならないんです。

医者だって精神科医だってうつ病になるんだ。なぜなら、ただの病気だからな!

まる

『うつ病』と聞くとまだまだ「弱い人がなる」「ネガティブな人がなる」「運動しない人がなる」などというイメージが浮かぶ人は多いかもしれません。

ですが、「うつ病は◯◯みたいなタイプがなる」という先入観はとても危険です。「自信をつけろ」「もっと前向きになれ」「運動すればいい」なんて間違ったアドバイスで患者を追い詰めることにもつながります。あなたに異変が起きたときに「いや自分がうつ病なわけがない…」と、その異変を認められず受診が遅れることにもつながります。

うつ病はあくまで“病気”。病気のプロである医者だってうつ病になるんです。けっして自分から見て弱い人だけがなる遠い世界の話ではないんだと意識することが、あなたや大切な人を守ることに繋がるかもしれませんよ。

※1 世界保健機関(WHO)が2017年に発表
※2 東京大学医学部の川上憲人教授が2006年に発表し、厚生労働省のWEBサイト「みんなのメンタルヘルス」にも引用掲載中

著=錦山まる/『マンガでわかるうつ病のリアル』

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