クスノキの葉は春に落ちる。芽吹きの季節に落ち葉が多い理由とは?/すごすぎる身近な植物の図鑑(4)

#くらし   
クスノキが燃えている!

『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』4回【全8回】


普段何気なく目にしている草木や花には、命をつないでいくためのすごい生態や、ユニークな特徴がいっぱい!

そんな面白さを教えてくれるのが、植物のガイドや写真家として活動する植物観察家の鈴木純さん。誰でも見られる身近な植物にスポットを当て、探し方から観察方法、知っていそうで意外と知らないトリビアまで分かりやすく解説。知れば植物への興味が深まる内容ばかりです。

花だけでなく、葉やタネ、根や茎にも注目したくなる、植物観察の楽しみ方を紹介します。

※記事は、関東圏で実際に観察した記録をもとにしています。地域によっては見られない植物があったり、観察する時期にずれがあるなどの可能性があります。
※本記事は鈴木 純著の書籍『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』から一部抜粋・編集しました


クスノキは春なのに葉っぱを落とす

クスノキ科 クスノキ属

見みられる時期:4〜5月
見みられる場所:公園、街路樹

クスノキが燃えている!

春にまちなかを歩いていたら、枝先の葉っぱが赤くなり、まるで燃えているようなクスノキを見つけました(写真①②)。

クスノキが燃えている!

まるで燃えているようなクスノキ


葉っぱの手ざわりはやわらかく、ツヤツヤとしているので、これは若い葉っぱのようです(写真③)。赤い新緑なんておもしろいなぁと思いつつ下を見ると、今度は赤や茶色の落ち葉がたくさん落ちています(写真④)。

若い葉っぱ

赤や茶色の落ち葉


どうやらこれもクスノキの葉っぱのよう。あれ?でもいまは春です。なぜ春に落ち葉がこんなにあるのでしょうか。

目のつけどころ

樹皮が細かく裂けている

葉脈が根元で3つに分かれている


芽吹きと落葉が同じタイミングで起きる

木には、落葉樹常緑樹があります。落葉樹は秋から冬に葉っぱをすべて落とす木で、常緑樹は1年中葉っぱをつけている木。クスノキは常緑樹にあたります。常緑樹にはいつも葉っぱがついているので、一度つけた葉っぱをずっと使っているように見えますが、じつは常緑樹も葉っぱを落とすタイミングがあります。クスノキの場合、それが春です。

クスノキは、春に葉っぱを落としつつ、同時に新しい葉っぱを出します。そのため樹木が裸になることなく、いつも葉っぱがついているように見えるというわけです。

落葉樹と常緑樹の違い

落葉樹

常緑樹


古い葉っぱを落としながら新しい葉っぱを出す

クスノキは古い葉っぱを落としながら新しい葉っぱを出す。

春だけ見られる葉っぱのカラフルコーデ

春のクスノキには芽吹きの赤や明るい緑の葉っぱと、落葉直前の赤や茶の葉っぱ、まだ落葉しない濃い緑の葉っぱなど、さまざまな色が見られます。枝のうしろから逆光で見るとすごくきれいです(写真⑦)。

葉っぱのカラフルコーデ


常緑樹の葉っぱの寿命は種類によってさまざまです。ユズリハの葉っぱは2〜3年の寿命で、ドングリがなるマテバシイの葉っぱは3〜4年もずっとついているといわれます。近くの常緑樹で長期間の定点観察にチャレンジすればなにか新しい発見があるかもしれません。

【豆知識】
クスノキの葉っぱには、3つにわかれた葉脈のつけ根にふくらみがあります。じつはこれもダニ室です。サンゴジュと同じ観察がクスノキでもできます。

著=鈴木 純/『ゆるっと歩いて草や花を観察しよう! すごすぎる身近な植物の図鑑』

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