家に遊びに来たママ友が勝手にワンピースを試着して破損、しかもハイブランドの一点モノ!これって弁償してもらえる?弁護士さんに聞きました

#くらし   
 『妖怪クレクレママ』より

なんでも人のものを欲しがる妖怪のような「クレクレ」ママ友。
一度断ってもなかなか引き下がってくれない、常識が通じない相手……あなたの身の回りにもいませんか?

共通の推しアニメを通して仲良くなったママ友を家に招き、グッズの開封式をしていた真由美さん。その会が発端となり、大事にしていたワンピースを破かれてしまったという悲劇のエピソードをご紹介します。こんなトラブルに巻き込まれてしまったらどう解決したらいいか、弁護士さんにもお話を伺いました。

悲劇の発端は、アニメグッズの開封式


『妖怪クレクレママ』より

共通のアニメを愛する真由美さんとれい子さんと皐月さん。家に集まってグッズの開封式を行っていました。ランダムのグッズなので真由美さんと皐月さんは推しキャラでないものを交換していましたが、れい子さんは「いらないなら、ちょうだい!」と一方的にもらうだけ。真由美さんはそこにほんの少し違和感を覚えていました。

『妖怪クレクレママ』より

グッズの開封式も一段落、お茶を飲んでいる時に、部屋にかけてあった真由美さんのワンピースにれい子さんは目をつけます。「いただいたものだけど、フォーマルなデザインだから子育て中はあまり着る機会がなくて…」と話すと、れい子さんは「着ないならもったいないからうちの娘にもらっていい?」と驚きの発言。

冗談だと思って笑って聞き流していたところ、「ところであのワンピース、うちの子にくれるってことでいいんだよね?」とれい子さんが執拗にワンピースをねだってきます。「いただいた大切なものだから」と真由美さんは何度も断りましたが、「子どもが似合わなかったら私が着る」と全然話を聞いてくれません。
そして…宅急便の受け取りのために真由美さんが席を外した際、悲劇が起こります。

『妖怪クレクレママ』より

『妖怪クレクレママ』より

真由美さんが部屋に戻ると、驚いたことにれい子さんは勝手にワンピースを試着しようとしていました。2人が慌てて止めるも、脱ごうとしないれい子さん。サイズが合わないものを無理に着ようとしたため、ワンピースは無惨にも裂けてしまいました……。

れい子さんは謝るそぶりを見せたものの、「あなたのサイズなら着られると思った」「これ安物だもんね」など、失礼な発言を連発。

『妖怪クレクレママ』より

真由美さんは怒り心頭で、そのワンピースがハイブランドでオートクチュールの一点モノであることを明かしますが、れい子さんは苦笑しながら「許してくれるよね♪」と軽いノリ。話にならないと真由美さんは、れい子さんの夫をこの場に呼ぶことに。

『妖怪クレクレママ』より

現れたれい子さんの夫も夫で、真由美さんが弁償を要求すると「そんなに高いわけがない」「金ぼったくるの?」「嵌められたんじゃね?」など失礼な発言を連発。話し合いを終えた真由美さんは思わず大きなため息をつくのでした。

『妖怪クレクレママ』より

後日、他のママ友からもれい子さんがクレクレ行為をしていることを真由美さんと皐月さんは聞きます。真由美さんは「いい歳をした大人だからってみんなが常識を持ち合わせているわけではないのだ」と実感するのでした……。

真由美さんとれい子さんのようなトラブルは、なかなか遭遇しない例だとは思いますが、このような事件に巻き込まれたら弁償を要求することは可能なのでしょうか。弁護士法人プロテクトスタンス弁護士の金岡紗矢香(かなおかさやか)弁護士にお話を伺いました。

ママ友が勝手に所有している服を試着して破損。弁償はしてもらえる?


──このエピソードでは、真由美さん所有のワンピースを見たママ友のれい子さんが、執拗にそのワンピースを欲しがります。さらに真由美さんが断ったにもかかわらず真由美さんが席をはずした隙に勝手に試着しようとして服を破いてしまいます。このような場合、破れたワンピースを弁償してもらうことは可能でしょうか? 

金岡紗矢香弁護士:
ワンピースはオーダーメイドでありワンピース自体を弁償してもらうことは難しいため、修理代金の請求をすることになります。れい子さんがワンピースを破いてしまったことにより、相応の修理代がかかりますので、まずは修理の見積書等を入手したうえでその金額をれい子さんに請求することになるでしょう。

『妖怪クレクレママ』より

──ハイブランドのオートクチュールのワンピースなので賠償額を算出するのは難しいかと思いますが、この場合、どのくらいの額を請求することが可能でしょうか。オーダーメイドなので同じブランドの既製のワンピースより値段は高いと思うのですが…。

金岡紗矢香弁護士:
ワンピースは新品で購入あるいは贈与された時から年数の経過により価値は下がっていますので、オーダーメイドにより新品で作った場合にどれくらいの価値があるかを算出したうえで、購入してからどのくらいの年月が経過したかによってそのワンピースの時価額を算出して賠償を受けることになります。

『妖怪クレクレママ』より

『妖怪クレクレママ』より

──破損された後、実費分の支払いを相手に渋られたり断られたりした場合、どのように対応したら良いでしょうか?

金岡紗矢香弁護士:
当事者同士では交渉がこれ以上難しい状況になった場合には、弁護士にご依頼いただき、請求根拠や証拠をしっかりと提示したうえで交渉することをおすすめします。その後もし訴外交渉で示談が難しいという状況になった場合には、訴訟によって解決することになるでしょう。

    *    *    *

破損したものとまったく同じものを弁償してもらうのが難しい、ということはよくありそうです。どうしても当人同士で解決するのが難しい場合は弁護士さんなど第三者に間に入ってもらうのもひとつの方法かもしれません。

またれい子さんのような常識が通用しないタイプでなくても、自分の子どもが悪気なく人のものを壊してしまうようなことは日常生活であり得ることです。予期せず加害者側になってしまった時に備え、個人賠償責任保険などに加入しておくと、トラブルに巻き込まれた時に役に立つかもしれません。

『妖怪クレクレママ』より

【取材協力弁護士】
金岡 紗矢香(かなおか さやか)/弁護士法人プロテクトスタンス
弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。浮気・不倫といった男女トラブルや離婚問題、セクハラ・パワハラなどの労働トラブル、相続手続きなど、さまざまな分野に精通し、女性からの法律相談に幅広く応じている。現在、2児の母親として子育てにも奮闘中(第一東京弁護士会所属)。

漫画=ヨシノミリ、真由美著『妖怪クレクレママ』/取材・文=レタスユキ

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