「二度とできん」壮絶なつわりを経験したコミックエッセイの著者に聞く、妊娠と出産の思い出
激しい吐き気、止まらない嘔吐、味覚の変化に食欲不振など……
妊娠を経験した人の多くが経験する「つわり」ですが、中には入院を必要とするほどの症状が出てしまう人もいます。
漫画家の松本ぽんかんさんは、このつわりが重症化した『妊娠悪阻』を患い、医師からも入院を勧められるほどの体調不良の陥りました。その経験を漫画に綴りSNSに投稿した『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』は、「泣いた」「共感しかない」など、多くの読者の共感を集めました。
食べられるものがほとんど無く衰弱し、お風呂にもはいれない状況だった松本ぽんかんさん。病院に担ぎ込まれると、採血や採尿もできないほどの脱水症状をおこしていたのです。安定期に入った頃につわりは落ち着いたものの、今度は坐骨神経痛に襲われて満足に歩くこともできなくなります。車椅子や杖の助けを借りて移動するなど、心の休まる暇もない状況が続くのでした。
そんな『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』から、今回は妊娠後期から出産までのエピソードをご紹介します。松本ぽんかんさんにも当時の思いについてお話を伺いました!
妊娠はネガティブな思い出。だけど、子どもを産んで良かった
──妊娠後期も頻尿、不眠、便秘、いぼ痔、むくみ、こむら返り、貧血、尿もれなど、妊娠後期トラブルがフルコースですね。妊娠後期のトラブルの中で特にしんどかったもの、印象に残っているものや特に悩まされたものはありますか?
松本ぽんかんさん:
様々ありましたが、それでも私にとってはつわりに比べると大したことではなかったです。つわりを100とすると10にも満たないので、正直へっちゃらでした。ごはんを食べることだけが楽しみだったので体重管理はストレスでしたね。
──これだけトラブルがあっても、それでもまだつわりのほうが大変だったのですね…。
──陣痛が来てからもトラブル続出だったようですね。陣痛室が妊婦さんでいっぱいでなかなか入院できなかったり、タクシーの運転手さんもパニックだったり...。漫画ではテンポよく読みやすく描かれていますが、陣痛から出産までの出来事で、印象に残っているエピソードなどはありますか?
松本ぽんかんさん:
ほとんど漫画に描いたままですね...本当にテンポが良くて大変スピード感のあるお産でした。痛みが急激に強くなったのでパニックで呼吸法など何も意識できなかったことが悔やまれます。病院に着いてから3時間ほどで産まれたので、先に陣痛室に入っていた妊婦さんを ごぼう抜きしたと後で聞かされました(笑)。
──妊娠中のつわりが大変そうでしたが、出産は比較的スピーディだったのですね。出産の瞬間の率直な感想を教えてください。
松本ぽんかんさん:
妊娠終わったああああああああああああああああああああああああ です。
──出産の感動や爽快感と同時に、辛かったエピソードの走馬灯も描かれていて共感しました。作中で妊娠を「二度とできん」と叫んでいらっしゃいましたね。
松本ぽんかんさん:
出産はいいんですが、つわりが…まだ怖いです。
──つわりの経験を描いた『つわりが怖くて2人目に踏み切れない話』、出産後からの育児を描いた『ポンコツぽんかん育児録』の2冊が昨年秋に上梓されました。大変な経験を今年こうして書籍にまとめたことで、感じたことがあれば教えてください。
松本ぽんかんさん:
私の中で「妊娠」はネガティブな思い出でしかなかったんですが、ネタになるほど凄惨だったと思えば少しポジティブに変換できました。漫画としてアウトプットできて本当によかったです。昇華して次に繋がればもっといいんですが...
──この作品に勇気づけられる方は少なくないと思います。読者の方にメッセージをおねがいします!
松本ぽんかんさん:
私自身つわりで苦しんでいる時に、他の方のつわり体験記に大変救われたので、この漫画もそういった存在になれると嬉しいです。つわりを経験されていない方には、見えないところにいる妊婦さんの世界を少しでも知って頂けたら本望です。書籍の書き下ろしにもつわりに対する恨み辛み嫉みをふんだんに盛り込んでいますので、是非!読んでやって下さい!!!
取材・文=レタスユキ
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