食べ過ぎてないのに胃がどんより…それ「機能性ディスペプシア」かも

#美容・健康   


◆胃の不快感が続いて日常生活の質が低下する

胃やみぞおちあたりに、原因不明の不快な症状が続く、機能性ディスペプシア。「ほかにも、食後のもたれ感、食事をするとすぐにおなかがいっぱいと感じる飽満感も代表的な症状です。これらが続くと、胃がんや潰瘍などの可能性を心配されますが、病院で精密検査をしても大きな異常が見つからない場合は機能性ディスペプシアと診断しています」と、木下芳一先生。

機能性ディスペプシアは、病態がはっきりしているわけではなく、さまざまな原因からなる“症候群”です。「胃が敏感になり過ぎたことで胃に痛みが現れたり、消化機能が低下して胃もたれを起こす、胃が働き過ぎて酸を多く作り、腸の粘膜が刺激されるなど、原因はさまざまで複合的です」。機能性ディスペプシアの影響で心配されるのが、日常生活を快適に送れなくなる、ということ。「例えば食事に出かけても、胃がむかむかするから少ししか食べられなかったり、気もそぞろになって日常を楽しく元気に過ごすのが困難になります」

気になる胃の不調が1カ月以上慢性的に続く場合は、まずは病院へ。「機能性ディスペプシアは命に関わる疾患ではありませんが、胃がんなどの重大な病気と区別がつきにくいので、自己判断は避けましょう。病院で問診や、場合によっては内視鏡などで検査を受け、大きな異常が見つからなければ投薬治療で様子を見ていきます」

◆毎日の生活の見直しが症状改善の大きなカギに

改善には治療薬も有効ですが、生活習慣を見直すことが大きな改善、予防、再発防止にもなります。「まず、気をつけたいのが食生活です。機能性ディスペプシアの患者さんの約4割が、胃が敏感になり、消化力が落ちています。そうなると、食べて胃が膨らんだときに不快に感じたり、食べ物をうまく消化することができません。そこで、胃を急激に膨らませることを避けるため、食事は一度にたくさん食べず、軽めの食事におやつを足すなど、4~5回に分けるのが有効。胃の中に長時間停滞しやすい揚げ物などの油っこい食べ物も控えましょう。油っこい食べ物が十二指腸へ一度にたくさん流れ込むと、上腹部の不快な症状を起こしやすくなります」

またストレスとのつきあい方も大切。「人間関係などのストレスはもちろん、胃の不調を気にし過ぎること自体もストレスになります。胃の調子は精神的な影響を受けやすいので、病院で検査をして、異常がないと分かれば気持ちが楽になり、症状が治まるケースも。このような精神的なストレス以外にも、睡眠時間の減少や、騒音など身体的なストレスも原因の一つになります。規則正しい生活や、心が落ち着く生活環境をつくることも大切です」。このように機能性ディスペプシアは、誰にでも起こりえます。バランスのいい食生活とストレスケアを心がけて予防していきましょう。

◆胃の不快感を予防する食事の選び方

機能性ディスペプシアは、食事の内容で予防が可能です。すぐに取り入れられる3つのポイントを紹介!

(1)主食はパンよりご飯に: 小麦、豆&いも類に含まれる不溶性食物繊維は、ガスをつくる原因に。お腹がはりやすい人は取り過ぎに注意し、小麦が原料のパンよりご飯を。

(2)カフェイン、アルコールは控える: 胃酸の分泌を促進させる原因の一つが、カフェインやアルコール。コーヒーや濃い緑茶、酒類は控えて。

(3)油っぽいものを控えて: 酸化しやすく、胃にもたれやすい揚げ物などの油は控え、良質な脂をとって。特に魚はDHAやオメガ3など体にいい脂を豊富に含みます。胃酸の分泌を減らす効果も。【レタスクラブ編集部】

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Information

教えてくれたのは、木下芳一先生
島根大学医学部内科学講座第二教授。同大医学部附属病院副院長。専門は、消化器、肝臓、検診予防内科。消化器疾患全般において、最先端医療による診療、若手医師の育成を行なっている。

『レタスクラブ』2013年11月10日合併号(9/25発売)に掲載







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